「食堂み」の女たち4

「えらい難しそうな問題やな」響子は宿題プリントに顔を近づけた。「簡単や。おばはん分からんの?」「おばはん言うなって言うとるやろ!このボケ!」

こいつはうちのことだけおばはんと呼ぶ。他の二人には、光恵が呼ぶのと同じように
ノリちゃん、ミナちゃんなのに、響子だけキョウちゃんではなくておばはん。ワケを聞くと「おばはんやからや」としか答えない。(うちはまだ二十四や)

毎日のように俊一が宿題を始めると、響子は寄っていってちょっかいを出す。初め俊一はうっとおしがっていたが、響子に問題を出したら、むちゃくちゃな答えが返ってくるのがおもしろく、響子が仕事から帰ってくるまで宿題をしないでいた。そんな響子と俊一の関係を見て、光恵は笑っていた。
「まるでほんまのキョウダイみたいやな」言うと響子は「あんなめんどくさい弟いらんわ」と言いつつ、いつも俊一の隣には響子がいて、俊一も響子の後をついていく。

続きは明日


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