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読書:ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
辻村深月
(2009年、講談社)

2024年9月20日読了

2009年(2019年じゃないよ、2009年!!)ラジオCMで頻繁に流れていたこちら、気になっていて忘れないように記事を残した記憶もある。2012年に文庫になったタイミングで本屋さんで見つけたらしく購入。
そして…読めたのは今!12年後の2024年。今です!!
家にあることを忘れていた時期もあるし、既に読んだ錯覚に陥っていた時期もある。
我が家にこの本が来てからこんにちまで、流れた時の分だけわたしにも変化があった。
この本で初めて知ることになるはずだった辻村深月さんを知ったのは子のリクエストで観たドラえもんの映画(月面探査記の脚本を担当されています)になってしまったし(なお映画は最高だった)、そもそもしっかり読書をする時間が手の中からスルリと逃げ続けている。
あとはもちろん、
「今日はこの本にしよう」
という気持ちになるタイミングが来なかったというのもある。
読書は、
「今日はこれしかない!」
という気分でベストマッチの1冊を選びたいタイプ。
「これでいいか…」
で妥協して、本の世界に入れなかった時に、本に申し訳ないので。

そんな温め続けたこの本を、わたしは体調の急変に伴いかかりつけ医に予約なしで飛び込んだ受診時の相棒に選んだ。大きな病院のため、名前をいつ呼ばれるか全く読めない、そんな時の相棒。
主人公は同い年の女性ふたり。
地方で育った幼馴染。
片方は自らの母親を殺し、片方はその彼女の行方を追う。
(この系統の本は、あらすじを書くことがとても難しいと感じます。わたしがあらすじを書くことで、読んだら響くであろうかたが「なあんだ、大したことなさそう」となってしまうのが怖い。読書の記事を残し慣れていないので、少しずつ書き方を確立させたいところです。でもどうか、気になったかたは書店で文庫本を手に取ってご自身で確認いただけたら嬉しい。)
待ち時間の間、貪るように読んでいた。
この本で良かった。
面白くて時間を忘れるし、どれだけ待たされても腹も立たない。
(病気自体はやはり「手術ですね~」という流れになってしまって、悲しい部分はあるのだけれど、待ち時間用の本を選ぶのにわくわくする部分もある。)
病院では読み終わらなくて、帰宅して残りを一気に読んだ。

読書量は多いほうだと思う。
だから、ある程度
「こうなんじゃない?」
と思いながら読み進めてしまう。
それを無理やりに覆す展開だと興ざめしてしまうけれど、本書はそれがなく、また予想通りの展開にも
「やっぱりね~」
という落胆はない。

少しずつピースが埋まってゆく感覚。
最後のピースが埋まった時、泣いた。
小説の世界が脳内に広がって、自分がその傍らで一部始終を見ているかのような気持ち。

作品を追いかけたくなる作家さんを、また見つけた。

*****

頓挫した実写化は、ヒロイン・みずほ役に素敵な女優さんが決まっていたらしい。
読後それを知ったわたしはあまりのイメージの合致具合に驚いた。正直みずほの台詞をそのまま彼女の語り口で再現できてしまう。
もう片方のヒロイン・チエミ役にも素敵な女優さんが決まっていたらしい。読後のイメージとは違うけれど、憑依型の彼女ならどんなチエミになったかなと想像するのは楽しい。
個人的には実写化はあまり好きではない。このため、頓挫したということについては安堵する気持ちもある。
ただ最近は幸せを感じる実写化もある(例えば「きのう何食べた?」はわたしの中では幸せな実写化)し、そちら側であれば実写化も見てみたい。

今この本を読めたこと、最高のタイミングだったと思っている。
そう思うと本を買って積んでおき、適した時を待つというのも意味があるのかもしれない。
いえ、ただの積読する自分への擁護だけれど(笑)。

病院にまた定期的に通うことになりそうなので、読書の機会も今より増えそう。
読んだ本の思い出も少しずつ記録したいと思います。

それでは。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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