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地方創生の新手法。地方と創作者を繋ぐ「◯◯・イン・レジデンス」の取り組み事例

こんにちは!
ブランディングテクノロジーの公式noteに寄稿をさせていただいております、山崎です!

日本で人口減少が叫ばれるようになってから、地方はその影響を大きく受けています。人口が減り続ける中、移住者を呼び込もうと様々な策を講じるもなかなか定住人口の増加につながらずに悩む声も伺います。

これまでの地域への関わり方といえば定住・移住するか、観光に訪れるか、その二択がほとんど。

そのような中で、いま国内外のアーティスト、クリエイターが地方に出向き、滞在しながら創作活動に取り組んでいることをご存知でしょうか。

定住者でもなく、観光者でもない…地域と多様に関わる「関係人口」増加を目指す取り組みによってこれまでに関わりのなかった層との接点を生み出し、新たな街のイメージ・ブランドを作り上げようとする活動について考えます。

「関係人口」とは?

まず、「関係人口」とはどのようなものなのか。

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「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。
地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
(出典:総務省 関係人口ポータルサイト)

こうした繋がりを生み出そうと、下記のような取り組みが各地で起こっています。

1.政府・地方公共団体による取組
 ○ 「関係人口」創出事業
 ○ サテライトオフィス・マッチング支援事業
 ○ ふるさとワーキングホリデー
 ○ 農泊、農山漁村交流
 ○ 「お試し居住」・「二地域居住」 等
2.大学・企業による取組
 ○ サテライトキャンパス
 ○ 都市部人材と地方企業をマッチングする副業プラットフォームの運営
 ○ 移住希望者と地域のマッチングサイトの運営
 ○ 都市部と地方の住民の交流機会の創出 等
(出典:第1回人材・組織の育成及び関係人口に関する検討会)

それぞれの活動に取り組む方々は、このような取り組みを続けていくことが潜在的な移住・定住層に対する段階的な移住・交流支援に繋がることを望んでいるといいます。

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(出典:総務省 関係人口の創出に向けて)

兵庫県豊岡市における取り組み 「◯◯レジデンス」

各地でこの関係人口増加を目指す取り組みが行われる中、兵庫県豊岡市の取り組みが一部注目を浴びています。

▼アーティスト・イン・レジデンス

アーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence、以下「AIR」)とは、国内外からアーティストを一定期間招へいして、滞在中の活動を支援する事業です。日本においては1990年代前半からAIRへの関心が高まり、地方自治体やアートNPOがその担い手となって取り組むケースが増えてきています。
(出典:「AIR-J」日本全国のアーティスト・イン・レジデンス総合データベース)

同市では、2014年4月に城崎国際アートセンター(KIAC)が開館して以来、多くのアーティストが地域住民、観光客が出会い、交流を深め、優れた芸術作品を国内外に発信しているといいます。

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(出典:城崎国際アートセンター)

2015年には3万人を超える外国人が同市を訪れているが、3万人の中には観光客の他にこのような取り組みを通して訪れている外国人も数えられています。

以前寄稿をさせていただいた記事の中で徳島県神山町でも同様の取り組みが行われており、2017年時点では国内に60もの(アーティスト・イン・レジデンス)拠点が作られています。

同市ではさらに、前例の少ない独自の取り組みも。

▼ミュージシャン・イン・レジデンス

取り組み内容は、アーティスト・イン・レジデンスのミュージシャン版。ミュージシャンが同市に滞在し、楽曲制作にあたるというもの。

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(出典:MUSICIAN IN RESIDENCE toyooka)

この取り組みに参加し、制作にあたったミュージシャンの楽曲は実際にリリースされています。

地域の知名度にかかわらず国内外のクリエイターを巻き込むことができ、関係人口の増加に貢献しています。

クリエイターと創造する新たな地域の姿

こうしてみると、「◯◯・イン・レジデンス」という取り組みは、今後の地方活性化に向けて多くの地域にとっての希望の一つと言えると考えられます。

①インバウンド戦略としての可能性
→JTB総合研究所の調査をみると、訪日旅行者は毎年増え続けていることがわかります。この旅行者をいかにして呼び込むか。各地域は工夫を凝らしています。

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そうした中で、「◯◯・イン・レジデンス」のような取り組みがインバウンド戦略として有効だと考えられる大きな理由は、関係人口の増加に繋がること。一度だけ、一過性の、短期的な繋がりではなく、深く、ゆるく繋がり、中長期的に地域の潜在ファン層(=関係人口)と言える人が国外に増えることで、持続可能なPR・広報の形を作り出すことができます。

加えて、滞在してくれる方々の声を元にマーケットインスタイルで開発・改善を行うこともできます。

②クリエイターを巻き込むメリット
→「◯◯・イン・レジデンス」の取り組みの最も大きなメリットは、クリエイターを巻き込むことができるところにあると考えられます。

彼らは自らが感じたものを音楽、芸術等あらゆるものにアウトプットし、世に発信していく人たち。地域の魅力やキーワードをその中に含んでもらうことで、一つの広報活動に繋がります。

普段は地域名で検索されることが少ない地域や他地域と比べると知名度に劣る地域などにとっては、クリエイターが創作した音楽や芸術を通して自地域を想起させる新たなキーワードを見出すきっかけになる可能性を含んでいます。


先ほど紹介した兵庫県豊岡市では、取り組みを通して地域創生の主導者と地域住民、そして地域を訪れた人たちが関わり合い、その間に新たなその地域らしさが創造されていった好例と言えるでしょう。その後、その“らしさ”が地域内外に浸透し、やがてはその地域を物語る価値=ブランドへと成長していった…。

最後に

今回は、地域を訪れるクリエイターと地域ブランドを共創していった兵庫県豊岡市の事例をご紹介し、ブランド構築につながる取り組みとしての「◯◯・イン・レジデンス」「関係人口」について考えました。

自分が住む地域の価値を見出すことに苦労されている方々は、一度来訪者・クリエイターを積極的に受け入れてみてはいかがでしょうか。

ソトの目と感覚を取り入れることで、意外なところにある魅力や創造もしなかった表現方法にたどり着くかもしれません。


参考文献
「Discover Japan_LOCAL 地域ブランドのつくり方と働き方」エイ出版社

執筆者プロフィール

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山崎 貴大
1993年3月生まれ。文教大学 湘南校舎 国際観光学科卒。
旅行会社にて成田空港での訪日旅行業務に従事した後、経営者プラットフォームを運営するベンチャー企業へ転職。現在は、各社の経営課題の解決を目的としたコンテンツ企画・制作事業の立ち上げを経験し、同事業の責任者 兼 同社の編集長を務めている。
複業では、ブランディングテクノロジーの公式noteへの寄稿の他、経営者・起業家取材、採用広報コンテンツ制作等を行っている。