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【伝統文化と美意識】



先日、今サポートさせていただいている信楽の陶器メゾンHISSAN様におじゃまし、当主の 小川 公男 さんにお話をきいてきた。

私たち関西人にとって、信楽と言えば、たぬき。たぬきの置物と言えば、信楽というほど、たぬきブランディングが確立している信楽において、おそらく最も日本でそして世界で評価されている信楽焼の陶器メゾンがこちらのHISSANさん。

田んぼ道を車で走りながら、道沿いに置かれている沢山のたぬきさんに迎えられ、工房に到着。

これまでの歴史、苦難、技法をはじめ、なぜこのようなすばらしい作品がつくれるのかを根掘り葉掘り伺う貴重な時間・・・・

なぜこのような作品がつくれるのか・・・その理由が、今回わかったような気がした。


話は変わるが、今から、10年以上前、私がイギリスに行ってた頃、日本の魚や野菜を輸入して、ロンドンのレストランに卸す会社でアルバイトをしたことがあった。

日本以外にも、世界各国から送られてくる食材たち。いつも、梱包がやたら雑だったり、数が注文数とあわなかったりが当たり前だった。

そんな中、1週間に1回送られてくる日本の野菜だけば、別格だった。数が間違っていたことなんて、一度もない正確さ。

そしてロンドンに到着したダンボールを開けた瞬間、薄いペーパーの包装紙を取り除くと、そこには、本当に美しく形を揃えてつめられた日本野菜たちが光を放つようにきれいに並んでいた。

その沈黙の中に宿る美からは、それを丁寧にひとつひとつ梱包した人の心を映し出すようだった。それを見た瞬間に、私の中で、日本の田舎の風景や、おばちゃんが丁寧に出荷の準備をするシーンが思い浮かんだ。それは、まさにアート。

異国の地で感じた日本人の美意識、精神性の高さは、野菜さえもアートに感じさせてしまうほどレベルが高い。

それに一番気づいていないのも日本人である気がする。

私たちの中に眠る侘び寂びの感覚や美意識。それらを昇華しプロデュースした千利休の存在。そして、500年以上経っても今に受け継がれる伝統と技法。一方で、アニメなどの二次元でのストーリーのクリエイティビティ。

注目すればするほど、奥が深く、興味深く、そして日本文化を誇りに思う。

私の役目は、これを多くの人に伝えていくことだと最近あらためて感じている。




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