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BRANDED SHORTS 2023 受賞インタビュー第一弾 GAZEBO監督(『AIM』)

BRANDED SHORTS 2022 ナショナル部門 Branded Shorts of the Year を受賞した『AIM』(株式会社Netgear)で監督を務めた、GAZEBO監督にBRANDED SHORTSに関するインタビューを実施いたしました。

現在ブランデッドムービーを制作している方、これからしようとしている方、そして BRANDED SHORTS 2023に応募を検討されている方にも、とても有益な情報になると思いますので、ぜひお読みください。



BRANDED SHORTSで受賞した感想を教えて下さい。

受賞を聞いたときはとても驚きました。
本編の最後に企業ロゴやコピーも出ない、一見すると普通の短編映画に見える『AIM』が、ブランディングムービーとして評価されるのは難しいんじゃないかと思っておりました。
しかし、審査員の方から『AIM』がプロゲーマーの方々が生きやすい環境を作る価値観の提供の映画になっていて、ひいてはそれがNETGEAR Japanのブランディングにつながっているというお話をしていただいて、まさにそれが目指していた形でしたのでそこを評価していただいたのはとても嬉しかったです。

受賞作品『AIM』について、どのようにして企画やストーリーが生まれたのでしょうか?

NETGEARはゲーミングルーターなどオンラインゲーム環境を向上させる商品にも力を入れていて、NETGEAR Japanの杉田社長から「eスポーツを応援するようなブランデッドムービーを作れないか」とお話をいただいたのがスタートです。
そこから脚本が出来上がるまで実は3ヶ月以上かかりました。
自分もモバイルでFPS(一人称視点)ゲームにはまっていた時期があったので、最初は自分の中にある経験だけでストーリーを構築できるんじゃないかと考えていました。
めちゃくちゃ強いプレイヤーが活躍する、ワクワクする話にしよう。当初はそう考えていました。
しかし、取材を進めていくうちに、”ゲーム”とe”スポーツ”は大袈裟にいうと”喧嘩”と”武道”くらいの違いがあるということがわかってきまして、ゲームを少しかじったくらいの自分には理解の及ばない世界があるようでした。
ゲームでお金を稼いで暮らしているプロゲーマー。一般的な仕事と置き換えれば理解できないこともなさそうですが、プロゲーマーの方がどういう気持ちでゲームを仕事にしようと考え、日々何を考えて生活しているのか、キャラクターを作って脚本にするとなると全然イメージが膨らんできませんでした。
さんざん悩んだ結果、わからないなら仕方ない。”わからない側”からの話にしよう。という境地に至り、この『AIM』のストーリーが生まれました。

受賞作品『AIM』の制作において監督が困難だと感じた点/挑戦だと感じた点は?

ストーリーがシンプルだったため、観客をミスリードすることでラストに驚きを作りたい。
また、実際のゲーマーの方が観ても楽しめるものにしたいというという思いがあり、
そのため”ゲーマーの演技をどうやってリアルにみせるか”というのが自分の中での一番大きな課題・挑戦でした。
当初、実際にゲームをプレイしたことのある俳優の方をキャスティングしようと考えていましたが、
演技力・キャラクターを優先した結果、ほとんどゲームをしたことがない小林桃香さんと髙橋雄祐さんのお二人にプロゲーマーの演技をしていただくことになりました。
そこで、リアルさを出すためにまずプロゲーマーの方に操作していただいた超絶上手いゲーム画面を収録し、その上にゲーム実況をされている方にリアルなアテレコをしていただき、その一部を言いたいセリフに差し替えたものを台本として、俳優のお二人に演技していただくという手法を取りました。
お二人の演技力にも助けられ、この点は上手くいったのではないかと思っています。

受賞作品『AIM』の制作において、大切なポイント、心がけた点を教えて下さい

短編映画として誰がみても面白いこと。

今回、BRANDED SHORTSへご参加頂き、ブランデッドムービーや、BRANDED SHORTSへの期待や可能性を感じて頂けましたら、是非、その理由を教えて下さい。

今後、『AIM』のような映画的アプローチのブランデッドムービーが増えたら面白いと感じています。
今後、企業や自治体などが社会とどのように関わっていくのか、その理念、哲学を人々に伝えることがより重要になっていくと思います。その方法として、視聴者により深い部分で共感を持ってもらえるブランデッドムービーという手法がBRANDED SHORTSを介して広がっていくことを期待しております!
広告として見てもらう映像ではなく、コンテンツとして視聴者に選ばれるジャンルに発展していくことを願っております。

GAZEBO監督にとって、素晴らしいブランデッドムービーの定義を教えて下さい。

定義みたいなことは言えないんですが、最近トップガンマーヴェリックを観まして、みなさんご存知の通りめちゃくちゃ良かったんですが、トムクルーズがしている腕時計、「ポルシェデザインのクロノグラフ1」だったりラストに出てくる「ポルシェ911」がすごくカッコよくて、観た後ちょっと欲しくなってて、ま、高くて買えないんですが、でも、今でも出てきたシーンが思い出せるくらいで、これって素晴らしいブランデッドムービーでもあるんだなぁ、と思いました。

これまで観た中で忘れられない映像広告又はブランデッドムービーは何ですか? その理由も教えて下さい。

ナイキのJust Do It.のシリーズは一貫性があって好きです。
去年の広告映像すごく良くて好きな企業になったのに今年は全然違う感じになっちゃった!残念!
というは広告には良くあって、まぁいろいろ事情もあって仕方ないと思うんですが、映像制作側としてはあんなにいいもの作ったのにもったいないなー!と思って見ています。
そんな中、ナイキはずーっとブランドメッセージに一貫性があって、企業としてカッコいい!
僕は運動しないんですが、Just Do It.の精神は心に持ち続けてます!

一番好きな映画は何ですか?

ニュー・シネマ・パラダイス


GAZEBO
1978年・静岡県生まれ東京都在住。
宮城大学在学中に自主映画の制作をはじめる。
その後、助監督・美術塗装スタッフ・制作などを経て、今はCMを中心にPVや映画など監督。
短編『ラブ・コネクト』『Vtuber渚』『BEFORE/AFTER』『AIM』
(『BEFORE/AFTER』はオムニバス映画MIRRORLIAR FILMS Season4の一篇として9月2日より全国劇場公開。)
好きなものは大滝詠一・藤子不二雄・深夜アニメ・深夜ラジオ。