スーパーで私の恋は半額じゃない第四話
スーパーやまのぶの世界
私たちが最初にこの不思議な街「やまのぶ」に足を踏み入れたとき、信子さんが私に導かれていた。彼女はこの街の一部として、どこか自信に満ちた態度で歩いていた。当初、この街がどれほど不思議なのか理解していなかった。
信子さんと一緒に歩きながら、彼女はこの街の秘密を少しずつ明らかにしていった。スーパーやまのぶの世界では、私が知っている現実の概念とは異なり、店員たち、特にレジが早い人々がこの世界の権力を握っていた。信子さん自身も、このスーパーの中で一目置かれる存在だった。
その中で、この街の頂点に立っていたのが、八重子さんだった。彼女は64歳の主婦で、この街のすべてのスーパーやまのぶを仕切っていた。彼女の存在感は計り知れないものがあった。
一方、私はゆうたを見失ってしまった。どこに行ったのか、心配でならなかった。
ゆうたはこの奇妙な街で目にしたすべてが、スーパーやまのぶになっていた。店の外観、看板、入口のチャイム、すべてが「やまのぶ」の文字と共に統一されていた。私は驚きのあまり、足がすくんでしまった。
コンビニ、飲食店、さらには市役所や警察署まで、どれもが「やまのぶ」の名の下に統合されていた。警察署でさえもスーパーやまのぶの看板が掲げられていた。
私はこの街の秘密を探るた
めに、あらゆる場所を訪れた。しかし、この街の謎は深まるばかりだった。
ゆみが職場に戻り、いつものようにスーパーの半額シールを手にしようとした時、信子が怒りながらゆみに近づいた。
「ちょっと、ゆみさん、何やってるの!」
ゆみは驚きながら答えた。「え!もう夕方なので、半額シールを…」
「何言ってるの、ゆみさん!この半額シールはあなたたち庶民が触れるものじゃないのよ!」
ゆみは困惑して言った。「えっ、どういうことですか?」
その時、けたたましいサイレンの音がスーパー内に響き渡った。町中に響くそのサイレンに、店内の空気が一変する。売り場にいた店員たちが一斉に売り場の端に整列し始めた。買い物客も、店員と向かい合うようにして一列に並び始めた。
中央には、男性の店員が祭壇のようなものを運び、そこに置いた。しばらくの沈黙の後、スーパーの入り口が重々しく開き、ファンファーレが鳴り響いた。
金色のエプロンを着たおばさんが、黒服の男を引き連れて入ってきた。その威厳ある姿から、ゆみは直感的にその人が八重子さんだと感じた。
「これが、八重子さんなのか…」ゆみは内心で思った。
ゆみは八重子さんの姿を見つめながら、彼女がこの街の秩序を築いていることに驚いた。
「うん、でも何が始まるのか、よくわからない…」ゆみは周りの状況に戸惑いながらも、八重子さんの動きに目を凝らしていた。
このスーパーやまのぶの世界では、通常の常識が通用しない。ゆみはこの新しい世界に適応するために、自分の役割を見つけ出さなければならなかった。そして、何よりもゆうたを見つけることが彼女の最優先事項だった。
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