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太王四神記とは一体何だったのか。【ネタバレあり最終回考察】

【火天会の長老とは一体何者だったのか】
【最終回の結末の理由は】

これの2点ついて
私なりの見解を述べたいと思います。



2人の王子が、王を目指し競い合い、
それを巡る
大恋愛、大戦争が繰り広げられる
大スケール古代ファンタジードラマ。

懐かしいドラマの話。
「太王四神記」
これを私が初めて見たのは2008年の時。

テレビなんてロクに放送していなかった
私たちの地元で、
NHKの放送は唯一、
リアルタイムで確認できる外の情報でした。

そのNHKの深夜11:00枠で、
なぜか放送されていた「太王四神記」

「パイレーツオブカリビアン」の撮影が、
島の人口を5倍にし、
何もない所に道路を作り、
島一つ丸ごと変えてしまったのは有名な話。

ハリウッドが島の生活を一変させたとすれば
太王四神記は国一つ丸ごと作った。

50億円以上の破格の予算を費やし、
国一つ丸々セットを作り上げ、
恐ろしい数の馬と、兵士。
壮大なアクション。

ものすごい撮影技術を使った大迫力の映像。
見たことも無い特殊メイク。
当時最先端の今見ても美しいCG。

そして、久石譲さんの美しい音楽。
エンディングはめちゃくちゃ歌の上手い
新人アーティスト東方神起。

前述したようにテレビ番組のほとんどが、
まともに放送されていない
私たちの地元で、
このドラマは、大旋風を巻き起こしました。

今みたいに、
NetflixもU-NEXTも無い時代。
初めて見る、大迫力のテレビドラマ。
この衝撃は凄まじかった。

この衝撃を忘れることができず、
今でも定期的に見返しています。
今見ても、凄い笑

(ここからネタバレ、是非U-NEXT等で 
 全話観た後にお読み下さい)

さて、ここからが本題。
未だに議論されているのが、
なぜあんな結末になったのか。

余りにも、何もかも唐突過ぎて
誰も救われない感じのラスト。
あまりハッピーエンドとは言えません。

このドラマ好きだったけど、
この結末だけが、どうも気に入らない。
そんな人も多いのです。

久しぶりに見返したら、
いや、このエンディング以外あり得ないし、
これがエンディングになる事で、
こんなにも深い話を描いていたのかと
新しく涙を流さざるを得なかったのです。


【火天会の大長老の正体】


秘密結社のボス。
妖術を巧みに操り、
キハを最後まで苦しめ続け、
最後まで謎だったこの男。

死ねない寿命を持て余し、
自らが苦しみ続けた事がその原因だった。
と語られます。

生きたくもない寿命を持て余し、
自ら苦しみ続け、世界征服以外の
大した目的も持っていない。
明らかに人間では無い、
この男はいったい何なのか。

勿論、これは本筋とは関係ないし、
私の勝手な想像なのですが、


彼こそ、「ファヌンの成れの果ての姿」
そう考えれば、
ピタリと当てはまりませんか。

愛する人を自らの手で殺め、
生きる目的を失い、神器も封印したものの…
かと言って神の力を手放せず、
死ぬこともできない。

また同じように地上の人々に干渉すると
同じような悲劇を生む。
だからと言って、
自らの存在を無かった事にはできないし、
完全に消し去る事はできなかった。


勿論、ファヌンの生まれ変わりとして
描かれているのがタムドクであり、
そう言う事は一切描かれていない。
私の勝手な想像なのです。

しかし、第1話でキハの生力を吸って
初めて若返る大長老。
神話時代は出てこなかったのに、
チュシンの星が輝くと急に出てくる大長老。
ちょうど2000年生きている大長老。
あながち、無い話では無いのかも。

一歩間違えれば、
ファヌンの成れの果ては、
こんな姿になっていたかも知れない

仮に妄想してみれば、
この後のタムドクの行動が
理解できるのです。

【最終回の謎 
 なぜ天弓を
 壊してしまったのか】

黒朱雀となり、暴走したキハを止めるため
天弓を壊す事。
これは、黒朱雀だけでなく、
チュシン王本人。
また、神器の主の死を意味していた…


この結末だけは
いまだに好きになれない人が多いですね。

誰も救われないからです。

ようやくチュシン帝国を再興し、
優秀な部下も集まり、
世継ぎも生まれた。

愛する人を失ってでも
せめて天弓を使って亡き父の夢。
死んでいった数々の人々のために、
チュシン帝国だけでも
再建するべきだったのではないか。

なぜ自らを信じついてきてくれた、
周りの優秀な部下も巻き込み、
自らもまた死を選んだのか。
この残酷な、ある意味では、
全てを無にするような
ラストは何だったのか。

私も、これは謎でした。
ずっと心に引っかかっていたのです。

最初は、
コ将軍が亡くなったからだと思いました。
他にも大事な部下が死んでいる。
コムル村もほぼ壊滅し、秘密部隊も失った。
もう自分も楽になりたかったのか。

もしくは、運命に逆らい、
愛する人と共に死にたかったのか。


この2つは、確かに説明はつくけれども、
何かがしっくりこない。
ここまで大スケールで描いてきたのに、
余りにも最終回の結末として、
呆気無さすぎるからです。

思い返してみましょう。
タムドクは第2話よりずっと
チュシン王と言うものに
苦しめられて来た。

自らの祖父、父を共に失い、
本来、関係の良かったヨンホゲと対立する
原因となったのもチュシンの星が原因。

自らの叔母であるホゲの母を
手にかけなければならなかったのも、
チュシン王の座をかけての事。

決定的だったのは、キハとの関係ですね。
チュシン王の事さえなければ、
どこか平穏な農村で
2人のどかに暮らせたし、
それを望んでいた。

それをチュシンの民のため
ある意味、ぶち壊したのが彼の父で、
それによって殺されたのも父である。

王になっても、自らの決断で
多くの犠牲が出るのに、心を痛めていた。

特に最終決戦では、
チュシンの血のために、
多くの犠牲者を出した。

本来、もっと少なくて済んだはずだし、
そうやって戦って来た。
それこそが彼がヨンホゲや、火天会と
戦う理由だったはす…

それの責任を間違いなく深く感じていた。


ある意味では、神の意思による
1番の犠牲者がタムドクである

言えるのでは無いでしょうか。


きっと彼の出した結論。
それが、「天の助けは要らない。」
だったのでは無いでしょうか。

神の意思がこんな悲劇を繰り返すのだから、
自らの息子、そしてその国民には
こんな思いはさせない。

人間はこれから、人間のために、
人間が全てを決めていく。

ある意味では罰当たりな事かも知れません。
しかし、その良い事も悪い事も
誰よりも味わっている彼ならば、
それを決断する権利があるし、
充分そのバックグラウンドを理解できる。

つまり、この作品は「独立」を描いた物だと
考えれば、最終回の意味が見えてくる。
そんな気がするのです。

いろんな考察を
今になってもずっと考えられる。
何にせよ、深い作品である事に
間違いはありませんね。

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