見出し画像

事実は小説より奇なり-11:        世代交代の1963年 Indy 500

 それは1962年、Dan GurneyがF-1 GPで初めて採用されたモノコック・フレームのLotus25を見たことから始まった。
 その高い競争力に大排気量のエンジンをのせれば、Indy優勝も夢でないと考えLotusのColin ChapmanをIndyに招待しFord社の重役に引き合わせた。モータースポーツに挑戦し始めたFordにLotus 29で挑戦させるよう画策したのだ。

1/43 SMTS製 Lotus 29

 Ford FairlaneのV8 Engineは375HP、対するOffenhauser Engine(Offy)は400HPであった。Lotusは重量が100kg以上軽く、最高速は落ちるものの、コーナーリングスピードで上回り、タイヤの摩耗も少なく有利であると考えられ、63年のレースではLotusはJim ClarkとD. Gurneyがステアリングを握った。

一方フロントエンジンのロードスターはA.J. FoytParnelli Jones等当時の有名ドライバーが大挙参戦。レースはP. JonesとJ. Clarkの一騎打ちとなった。残り100マイルの時点でP. Jonesが首位にいたが、J. Clarkが段々と差を詰め交代は時間の問題と見られていた。しかし残20周でP. Jonesの車からオイルが漏れ、これにより路面が滑りやすくなり、J. Clarkもスピードを落とさざるを得なかった。当然ブラックフラッグが振られるものを思われていたが、オフィシャルは様子をみることにし(アメリカ人を優勝させたかったらしい)、遂にP. JonesがIndy初優勝となった。

1/43 両車ともSMTS製

 しかし誰の目にもロードスターの終焉とミドエンジンカーの曙が想像され、64年も何とかA.J. Foytのロードスターが優勝したが、1965年にJ. ClarkのLotus 38が初優勝(Lotus 34のP. Jonesが2位)するや、ロードスターは激減の一途となった。

1/43 奥 Spark製Lotus38、手前 SMTS製Lotus34(J.Clarkが64年に駆ったもの)
1/43 SMTS製 65年のP. Jonesが駆ったLotus34、No.と補助タンクの有無が異なる
(参考モデル)

 これを書こうと思った一因は2023.02.04 Face Bookにロードスターの写真が掲載されたことによる。

 以前から何かの折に書こうと思い、モデルを購入していたが、こんなことが無ければ永久にタンスの肥しになったかも知れぬ。

お礼に写真を掲載させて頂いた。

FBの写真より

引用文献

檜垣和夫 インディー500 二玄社 1994

Donald Davidson & Rick Shaffer INDIANAPOLIS 500 AUTOCOURSE 2013

林信次 INDY 500 1911-2017 三樹書房 2018

いいなと思ったら応援しよう!