石原なんでも通信 令和6年度 No.4 です。 


今週の話題は日本のオリーブオイルです。

各種値上げ報道が続いています。円安が定着するなか、この流れは止まりそうにありません。我が香川県の小豆島が誇るオリーブは供給全体に占めるシェアは小さいですが、オリーブオイルの 価格が上がり、その需要が停滞気味であることは他人事ではありません。今回は日本のオリーブオイルについて報告します。

オリーブオイルと言えば、香川、小豆島と言いたいところですが、下の  グラフ通り日本産オリーブとしては圧倒的にシェアが高くても、オリーブ オイルとしては大半が輸入に頼っている状況です。2022年の日本の  総輸入量は下表通り約6万トンです。


日本のオリーブ収穫量、香川のシェアは9割


横浜税関 令和5年3月版資料より


 
オリーブオイルの値上げが続いているようです。主要な産地であるスペインで原材料のオリーブが2年連続で不作となっているためです。店頭販売価格が上昇するのに伴い、販売数量も減少してしまっており、メーカー各社は 顧客のオリーブ油離れを防ごうと色々対策を打ちだしています。

1.値上げと販売量の減少
全国のスーパーなどの販売データを集めた日経POS(販売時点情報管理) 情報によると、「エキストラバージンオリーブ油」は2022年5月ごろから 平均価格の上昇が続いています。22年3月は521円だったが、24年2月には34%上昇し700円に達しています。一方で販売数量は22年3月から24年2月までに18%も減少しています。

日経デジタル4月2日記事より



2.オリーブオイルの高騰、原因はスペイン産の不作
主因は世界のオリーブ生産の4〜5割を占めるスペインでの不作です ご理解通り、オリーブは温暖で適度に雨が降る地中海性気候での栽培が好まれます22〜23年はオリーブの収穫量に影響する春の開花時期に雨がほとんど降りませんでした。
欧州委員会によると22〜23年のスペインの生産量は前年度の45%ほどに  とどまったとのこと。23〜24年も例年の5割程度にとどまる見込み。2年間の不作でオリーブの在庫量は逼迫しています。今後生産量が回復しても高騰 した相場の先行きは不透明です。従い、スペインからの輸入に大きく頼る 日本のマーケット価格も先行き不透明です。


横浜税関 令和5年度3月版資料より


 
3.オリーブオイルの消費促進
 
そうめん、カツオのたたき……新レシピで知恵絞る
オリーブオイルは洋食に使われるのが一般的で、キャノーラ(菜種)油と いった汎用油に比べて現状では用途が限られます。重量あたりの販売価格が通常の食用油より数倍高く、嗜好品の側面もあることから最近は消費者離れが進んでしまっているとのこと。度重なる値上がりで皆さんも買い控えしていませんか?。 国産オリーブのNo.1産地の香川県民としては共に消費者 離れを食い止めるべく、新レシピを考えるなど知恵を絞る必要があるの  では、、、。
メーカーの一社は2月、ブレンド油で価格を同容量のオリーブオイル商品の 3分の2ほどに抑えた新商品(600グラム)を発売開始しました。オリーブ オイル6割に対しキャノーラ油4割を混ぜたもので、原材料価格を抑えつつ オリーブの風味を味わえるとの主張。
又、メーカーの一社はオリーブ油の食べ方の提案として和食のそうめんに あうレシピを提案しています。
各社は新しいレシピの提案にも力を注いでいます。定番のイタリア料理などだけではなく、和食での活用機会もうかがっています。あるメーカーは  ナスやパプリカ、ズッキーニなどの夏野菜をオリーブ油で素揚げし、冷水でしめたそうめんに盛り付けたレシピなどを提案しています。他一社はカツオのたたきにオリーブ油をかける食べ方を提案。


日経デジタル 4月2日記事より引用



販売金額、家庭用食用油の2割
エキストラバージンオリーブオイルはオリーブの果実を搾ってろ過しただけのもので酸度が100グラムあたり0.8グラムを超えない品質のものを指します規格に満たないオリーブオイルは精製されて「ピュア」製品として販売されています。
国内販売される家庭用オリーブオイルのうち8割以上がエキストラバージンオリーブオイルです。オリーブ本来の香りや風味があり、カルパッチョなど生の食材にそのままかけて食べるのに向いています。一方、ピュア製品は 加熱調理に向くとされています。
日本でオリーブオイルが広まったのはバブル期(1990年頃)の   「イタメシ」ブームが始まりだとされています。上の表の様にオリーブ  オイルは2022年度に家庭用食用油の国内市場(金額ベース)の約2割を  占めました。汎用油であるキャノーラ油と同規模で、食の多様化に伴い食卓の主力に育っており、この勢いを止めない様、消費を増やすことで支援していきたいものです。
 
 
 

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