見出し画像

石原なんでも通信 No.15 (テスラの  価値)をお届けします。

今回は電気自動車の世界トップメーカーであるテスラ社と    イーロン マスク氏について書きました。
 
米国のIT ジャイアント、通称GAFAM( Google, Apple, Facebook, Amazon,Microsoft)を越える新たなAmerican Dream を作り上げてきたマスク氏によるテスラ王国に異変が  生じています。先月、日経新聞で特集記事あり、その掲載資料も  踏まえ、報告します。
 
 
 
1.  消えた2000万台構想

 
世界最大のトヨタが漸くたどり着いた1000万台などはものともせず、     マスク氏は2030年2000万台という目標を掲げていましたが、最近その看板を
はずしました。
 
2024年度1-3期のテスラの実績は前年同期比9%減の38万台。4年ぶりの減収減益。SUV「モデルY」とか小型セダン「モデル3」の販売で快進撃を続けてきましたが、その後投入が出来ておらず減速傾向が見えてきました。
 

6月10日 日経記事より

2.中国EVの躍進

テスラは中国の台頭のスケジュールを見誤りました。
中国勢トップの「BYD」は2024年度1-3期、前年同期比13%増の
30万台。このままいけば、24年度のEVトップが入れ替わる可能性が
でてきました。
4月に発売された中国 スマホ、家電大手の小米(XIAOMI) が発表したEV(SU7) はその価格は450万円、航続距離は800㎞と安価かつ性能も
見劣りせず、テスラ関係者にも大きなショックを与えてものとみられ、開発を続けてきた 低価格EVの開発を断念したという話も出てきています。
小米はEVをクルマでなく、スマホ、スマート家電との連携
可能なIT機器の一つとみており、同様の想いを持つマスク氏も脅威を感じているに違いありません。


6月10日 日経記事より


 
3.マスク氏の報酬 9兆円 

1-3期の業績減速を踏まえてマスク氏は世界で10%以上の人員
削減を発表しました。(従業員数は23年12月現在14万人)
 
これまでカリスマ、マスク氏の強烈なリーダーシップに迷いなくついてきた
関係者もマスク氏の描く世界に疑心暗鬼になり出しており、マスク氏の
報酬案に異議を唱える人も出ていました。
 
ただ、6月13日のテスラの株主総会ではマスク氏の560億ドル(日本円で約9兆円)規模の報酬が承認されました。とてつもない金額ですが、
マスク氏がこの現金を受領するということでなく、2018年当時に合意されたルールに基づきストックオプション(株式購入権)を獲得したというもの。

マスク氏の報酬は今回の株主総会で承認されましたが
あまりの巨大さから今後ともこの問題はくすぶり続けると思います。
 
なぜ、株主はマスク氏への巨額報酬を承認するのか?
これはマスク氏の手腕への期待しかありません。マスク氏はテスラ以外にも事業を持っていますが、株主はマスク氏にはテスラ事業に集中してもらう 必要があります。そのためにはマスク氏には巨額報酬が必要という
論理です。


6月10日 日経記事より


 
5.テスラはEV自動車メーカーではない。
 
中国に最早追い抜かれそうなEV販売。これだけみていれば、株主のマスク氏への期待の背景が理解できません。
 
そもそも、マスク氏はテスラ社を自動車メーカーとみていません、再生エネルギー企業でもありません。AI, そして自動運転に賭ける企業とみています。
 
マスク氏もテスラ社の株主も 今夏にも何らかの発表がなされるとみられている「ロボタクシー」にかけています。
同社開発の自動運転技術(FSD = Full Self Drive ) を搭載した自動運転  タクシー事業です。
 
AI, 自動運転、これは日本にとっても最重要キイワードです。人手不足に悩む日本こそが自動運転の先進国として動くべきですが、得意の「規制の多さ、複雑さ」というハードルが立ち塞がります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?