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「安倍晋三はウソの始まり男」だったとしたら「小池百合子は嘘納めの女」になりうるか,しかしそうは問屋が卸させないほど日本の政治堕落度は重篤(2)

 ※-0 「本稿(2)」のための前書き的な記述

 a)「本稿(2)」を記述するに当たり最初に,『女帝 小池百合子』文藝春秋,2020年4月(文庫は2023年11月)の著者石井妙子が『文春オンライン』2024年4月11日,https://bunshun.jp/articles/-/70157 に寄稿した文章の

 その題名:「小池百合子都知事が『学籍詐称疑惑』に対して,常に『カイロ大学は “認めております” 』としか回答できないワケ」からは,その全部ではなく部分的に適宜に取捨選択する形式で,次項の b) に引用する(これはしばらく後段の場所からの記述となるが)。

 この引用を読めば,小池百合子の面妖さ,奇妙さ,曖昧性,矛盾性が,彼女「本来のどのような資質」から必然的に噴出していたのか,その原因=道理が理解できる。

 「本稿(1)」でも触れた点であったが,安倍晋三だとかこの小池百合子のような人間が,日本の政治を大破壊してきた。

 補注)「本稿(1)」のリンク先住所は,以下のものである。できればこちら( ↓ )をさきに読んでもらってから,この(2)に戻ってもらうのが,好都合である。

 
 かつては「日本は一番!(Japan as No.1)」だと誇れた時期もあったこの国が,21世紀になってからはますます,いよいよ「衰退途上国」の様相をさらに深めていく状況に置かれている。

 そうした現況にまで落ちぼれてしまったた「日本という国家」のなかで,安倍や小池のごとき,実はもともと「政治家まがい」にすらなりえなかった人材たち,つまり,政治屋「以下」の人物であり,より正直いえば屑同然であった「世襲3代目の政治屋」や「山師なりに政治家気取り」の「この男と女」とが,

 しかし,それでも庶民がなお,彼や彼女に対してそれ相応の支持を与えてきたという「日本国民:有権者」側における,こちらなりの「民主主義精神の成長度合」の「未熟・遅延ぶり」が問題にならなくていいという理由はなかった。

 日本国民たちの政治意識・経済感覚を基底から制約する〈民度の低さ:ひどさ〉によって支えられてこそ,安倍晋三や小池百合子のような政治屋が,それなりに大きな顔をしながら,増長しつづけているのが,まさに日本の政治だという理解は,けっして的を外していなかった。

 日本の政治全般がそうでありつづけてきたからには,21世紀におけるこの国の今後(「未来」というほどのものではないか?)は,いっこうに明るい展望が期待できないでいる事実には,それなりに納得せざるをえない。

 本日,2024年4月13日の『毎日新聞』朝刊1面にはつぎのような記事が掲載されていた。

2023年の人口統計は
「1950年以来で最大の落ちこみ」

 最近は,「人口統計の減少」が顕著な傾向となって現象している多くの国々が出てきた。換言すると,人口が減少するほかなくなっている国家がけっこうな数にまで増えている。

 ここでは,総務省が発表していた「先進国(?)」のうち,いくつかの国々における人口統計の変化(主に減少傾向)に注目してとりまめた総務省の図表を参照しておきたい。

必死になって人口の減少を止めるための対策を講じないと
その流れは食い止められない

 この『総務省』ホームページ,https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc143220.html に掲載された統計図表は,先進国のなかで人口が減少しないで,増加していくと予測されている国々については,主に移民やこれに属する人びとの出生数・率が高めに継続する傾向・趨勢が予測(予定?)されている。

 人口統計そのものは,国家の成長にとって基盤になりうる要因だと理解できるゆえ,国勢のありようを正直に反映させるひとつの数値とみなせる。

 だが,日本のような高齢化した社会が,しかもいよいよその歩調をヨリ早めている国では,たとえば「ヤングケアラー」の問題がすでに深刻な社会問題になっている。

 その「ヤングケアラー」とは,本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的にになっている「子どもたちの存在」を指すが,その責任や負担の重さにより,学業や友人関係などに影響が出てしまうことが懸念される社会問題となっている。

 すでに,「衰退途上国」化現象のはなはだしくなってきたこの日本国であっても,明石市のように,泉 房穂(いずみ・ふさほ,1963年生まれの政治家,弁護士,社会福祉士。明石市長(3期),衆議院議員(1期)などを歴任)が実現させたごとき市政改革は,まったくに唯一の例外的な成功例として挙げられる以外は,

 安倍晋三の国政や小池百合子の都政のように,国家じたいや首都そのものをぶち壊しまわる為政のための「負の逆手腕」しかもちあわせなかった,つまり,完全に「これダメ・政治屋」ばかりがのさばってきた「21世紀における日本政治」になりはてている。

 この a) における記述の終わりに,元東京地検検事で小池百合子とも政党活動を体験したことのある若狭 勝のユーチューブ動画サイトが語っていた中身を紹介しておきた。

 若狭 勝は,月刊誌『文芸春秋』5月号に掲載された記事「都知事の『ウラの顔』 小池百合子都知事 元側近の爆弾告発 『私は学歴詐称工作に加担してしまった』」に言及したユーチューブ動画サイトを介して,とくに,

 小島敏郎(元都民ファーストの会事務総長・弁護士)の発言に関して,2000年6月に駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された小池百合子のカイロ大卒の経歴を「証明する」とした,その声明の作成過程について解説している。

小島敏郎の告白

 元環境省官僚で当時,小池百合子が特別顧問を務める都民ファーストの会事務総長だった小島敏郎が公開した手記は,小池百合子から文書作成の協力を求められたとしているほか,作成にほかの周辺人物もかかわっていたと指摘したうえで,

 小島敏郎自身が卒業の事実に関して疑義を示している点や,元自民党の国会議員でかつて都知事選や希望の党で小池百合子とともに戦ったこの若狭 勝自身が解説するこのユーチューブ動画サイトは,つぎの住所(リンク先)で視聴できる。元検事なりの立場から若狭は冷静に分析,指摘している。

 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=-dFLoo_K410

 b)「小池百合子都知事が『学籍詐称疑惑』に対して,常に『カイロ大学は “認めております” 』としか回答できないワケ」『文春オンライン』2024年4月11日の紹介(以下の参照は全文ではなく部分)

  --石井妙子が『女帝 小池百合子』を単行本として出版したのは2020年5月30日,それから約3年半の歳月が流れた。

 ▼-1 テレビ番組は「ほぼ無視」

 そうしたなかでの出版となり,不安もあったが反響は大きく,主にネットメディアで取り上げられて本書は短い期間に版を重ね,発行部数は20万部を超えた。それに伴い,「女帝」という2文字は,小池百合子の代名詞として,または隠語として,雑誌や夕刊紙,ネット記事で使われるようになっていった。

 その一方で,テレビでは本書(あるいは本書の内容)が取り上げられることはなく,ほぼ無視された(それはいまに続いている)。その,あまりの落差が私には不思議でならなかった。

 本書の反響が大きかった理由には,出版直後の2020年7月に東京都知事選を控えていた,ということもあったろう。なかには本書を「小池氏の都知事再選を阻止する目的で書かれた批判本」と受け取った人もいたようだ。

 だが,私〔石井妙子〕の思いはそうしたところにはなく,もちろん選挙にぶつけて出版したものでもなかった。権力の階段を上りつづけたひとりの女性の半生を,彼女を生み出した社会や時代とともに描き出したい。それが執筆の動機であり,私のめざしたところだった。

 ▼-2 彼女が権力を求める理由(から)

 真贋を見極めることをメディアが放棄すれば,虚が実を凌駕するようになる。内面に蓄えられた実力というものが評価されず,自己宣伝に長けた人が跋扈する。

 平成から現代に至るまで,空虚な人びとが増え,社会そのものからも,実というものが抜け落ちていったように思える。有名になりたい,栄光をえたいという抑えがたい欲求から,虚の人生を作り上げてしまう時代の寵児たちの姿がある。

 小池百合子は,「上昇志向の塊だ」「権力に憑かれた女だ」と評されている。私も執筆中,そのように考えた。また,自分の「噓」を守るためにも,権力を保ちつづけなくてはならなかったのだろう,と。

 しかし書き終えてみて,彼女が権力をえようとするのも,すべては自分への賞賛を求めてのことではないか,と感じるようになった。礼賛の声を聞くために,光を求めて荒野を彷徨い,より強い光を浴びようと欲して権力の階段を上りつづけているのではないか,と。

 ▼-3 カイロ大学の不可解な声明

 そもそも,この「声明」がどのような意図にもとづき,誰によって出されたものなのか。本文庫化においても注として本文に追記したが,小池側からその後公開された卒業証書に書かれている文面の疑問点について,日本のメディアはなにも検証をしていない。

 私と文藝春秋は「声明」が出された背景をしるために,カイロ大学,また,在エジプト大使館に連絡を入れたが,担当者が応じることはなかった。

 ▼-4 思いつきの政策の数々

 2016年の都知事選では,「オリンピックの経費削減」を公約としたが,コロナという異常事態下での開催を都知事として決断。無観客でおこなわれた大会に都税はいったい,どれだけ使われたのか。都議会で質問されても国政の問題として言葉を濁し,関係者がつぎつぎと逮捕されても,都として検証しようという姿勢はみせない。

 都知事になるにあたって口にした公約は果たされず,公約にもなかったことが思いつきで決まっていく。メディア受けする派手なイベントによって,自分の価値を上げようとする。都政が私物化され,税金が知事の政治力維持に浪費されていく。

 補注)昨日の「本稿(1)」で挙げてあったが,つぎの「公約」関係の表を2点,再度参照しておきたい。

ペット関係は人間の問題じたいではない
 
『しんぶん赤旗』の指摘はよりきびしい評価

 現実として,日本の富は東京に集中している。それらが,いたずらに消費されてしまえば,やがて,その反動は東京だけでなく,日本そのものに及ぶことになるだろう。その時,責任は誰が負うのか。

 ▼-5 小池百合子という深淵

 女性活躍,女性の時代といった言葉の数々がある。こうしたかけ声を追い風に,あるいは巧みに利用して「小池百合子」は誕生した。女性であっても公人であるかぎり,その能力は冷静に批評されなければならないはずだ。

 だが,女性であるという理由〔だけ〕で,批判が「女性に対する差別」としてすり替えられてしまう。それもまた,彼女が現在の地位を築きえた理由のひとつとなっている。

 「小池百合子」は,小池百合子という,ひとりの存在によって作り上げられたわけではなく,私たちの社会が,時代が生み出したのだ。仮に小池百合子が去ったとしても,社会が変わらないかぎり,女にしろ男にしろ,第二,第三の「小池百合子」が現われることだろう。

 私は小池百合子という個人を恐ろしいとは思わない。だが,彼女に権力の階段を上らせた,日本社会の脆弱さを,陥穽(かんせい)を,心から恐ろしく思う。

 「小池百合子」という深淵をのぞきこんだとき,その水底に映し出されるものはなにか。それは現在の社会に生きる私たち自身の姿であろう。ゆえに,彼女を何者かと問うことは,私たち自身をみつめ,現在の日本社会を問いなおすことになると考えている。

 ▼-6 実名証言に切り替えたわけ(以下は文藝春秋側の意見表明)

  ■ 1 本書の単行本では〔当初〕北原百代さんは早川玲子という仮名にしていた。これは北原さんの希望であった。

  北原さんが今回,実名に切り替えたいと考えを変えたのは,単行本の発表後も,メディアが小池の学歴詐称問題を取り上げようとしなかったことに大きなショックを受けたからである。

  「早川玲子という人物は,本当は存在していないのではないか」と疑う意見や,「実名でなければ信憑性は薄い」と批判する意見などがインターネット上にあり,そうしたものを目にして北原さんは苦悩した。

  また,昨今,ジャニーズ事務所の性加害報道において,被害者たちが実名で告発したことにより,大きく社会が動くのを目の当たりにし,北原さんは実名で証言したいという思いを抱くようになっていった。

  石井と文藝春秋は,北原さんの身に危険が及ぶことがないかを確認したうえで,北原さんの意思を尊重し,文庫化にあたって実名とした。

  北原さん以外にも,今回,仮名から実名になった方が数名いる。また,人によって,別の取扱いとさせていただいた場合もある。証言者の思いを,それぞれ尊重して変更した。

  ■ 2 小池百合子都知事には単行本の出版時,文庫本の出版時に何度となく取材を申し込んだが,一度も応じてはもらえなかった。

 以上,ここまでが※-0として,本日,2024年4月13日に書き下ろした段落であった。(すでに5千3百字を超えている)

 以下からの記述(話題・内容など)は,2年前の時期に書かれていた中身に戻る。

【参考動画】-とろい記者たちの小池百合子「学歴詐称疑惑」追及について鮫島 浩が解説-


 

 ※-1 2020年7月段階,まだ新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいつづけていたころ


 1)「全国で748人新規感染 東京295人,5日連続 200人超」『日本経済新聞』2020年7月26日朝刊28面「社会」

 国内では〔7月〕25日,東京都で新たに295人の新型コロナウイルスの感染が判明するなど,午後9時現在で748人の感染が確認された。東京都の1日あたりの新規感染者が200人を超えるのは5日連続。

 25日の295人は過去最多だった23日の366人に次いで多く,20~30代が185人,40~50代が75人,60代以上が15人だった。感染経路が不明なのは165人。都内の感染者は累計で1万975人となった。

 大阪府は25日,132人が新たに感染したと発表した。過去2番目に多く,100人を超えたのは4日連続。府が想定する「第2波」のピークである130人を2日連続で上回っている。愛知県や名古屋市などは10~70代の78人が感染したと発表。県内の感染確認は計1012人と,1000人を超えた。

 沖縄県は25日,14人の感染を確認したほか,在沖縄米軍内で64人の感染を確認したと米側から連絡があったことも公表した。県は米軍関係者を県内の感染者数に計上していない。(引用終わり)

 という具合に,直近(2020年7月当時)における新型コロナウイルス感染者数の増加傾向が記録されていた。だが,このところになってからは,アベ政権もコイケ都庁も,有効たりうるなんらかの対策を,必死になって講じている様子がみえなかった。

 安倍晋三君が誇ったはずの「日本モデル」なるものは,新型コロナウイルス側からみたら,ちゃんちゃらおかしい「アベの一人決め(独り相撲)」であった。

 このコロナウイルスの型そのものについてならば「何国型」というのはありえても,そのできもしなかった解決方法に “なんとかモデル” などといいだしたのだから,お笑いぐさになる程度のものであった。

 2)「風見鶏危機でも支持低迷の妙」『日本経済新聞』2020年7月26日朝刊5面「総合3」
 
  a) 2カ月ほど前のこと。永田町での取材で,ある英字記事が話題に上った。米フォーブス誌の電子版記事 “Most World Leaders See Approval Ratings Surge Amid Coronavirus. Not Trump.” (4月18日配信)だ。見出しを訳すと「新型コロナウイルス禍でたいていの首脳は支持率急上昇。例外はトランプ大統領」となる。

 新型コロナの感染拡大後,ドイツのメルケル首相を筆頭に多くの国の指導者の支持率が軒並み上昇したのに対し,米国のトランプ大統領にくわえて,ブラジルのボルソナロ大統領や安倍晋三首相の支持率は「上昇してもごくわずか。もしくは下がっている」と指摘。

 さらに,米調査会社モーニング・コンサルトがおこなった,主要7カ国でイタリアを除く6カ国とオーストラリア,インド,メキシコ,ブラジルの計10カ国対象の調査結果を引用し,安倍首相は支持率がもっとも低く支持率から不支持率を引いた「純支持率」の年初比の下落率が最大だったと報じた。

  b) この記事以降も,モーニング・コンサルトによる独自調査では,安倍首相の支持率が他の9カ国の首脳の後じんを拝している。一連の結果に対し自民党関係者は「海外でもアベノマスクなどと揶揄されてはいるが,国民からの信頼が他国と比べて劣っているとは」と頭をかかえた。「なにがそんなに違うのか」

本ブログ筆者はこの使いものにならなかった
マスク「現物」をまだ保管している

 「安倍首相は,西村康稔経済財政・再生相や政府新型コロナ感染症対策分科会の尾身 茂会長に任せすぎだ」。日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)の島田久仁彦理事(元国連紛争調停官)は,こう指摘する。「日本は感染者数が極端に少ないことで海外では『ジャパン・ミラクル』と評されているが,安倍首相がなにをしたのかは明確に伝わってこない」と続けた。

 島田氏によると,危機下におけるコミュニケーションの肝は「どう情報を伝え,リスクをマネージするかだ」といい,今回,新型コロナという危機に直面したさいの模範的なリーダーとしてメルケル首相を挙げた。

 「メルケル首相は専門家の話をよく聞いたうえで政策に生かし,悪い話も科学的データにもとづき正直に話した。解決策も示しながらみずからが説明したことで国民の安心感につながった」と評価。その対応は

  (1) 明確なメッセージ,  (2) 方向性の可視化,

  (3) 責任の所在の明確化, (4) 国民と寄り添う

などといったリスク状況下で指導者に求められる「すべての要素が備わっていた」と語る。

  c) 『危機が起きると本来はリーダーに支持が集まる』,そんな研究結果もある。

 1970年に政治学者で米オハイオ州立大学非常勤教授のジョン・ミューラー氏が,過去の米大統領の研究をもとに提唱した “Rally Round the Flag Effect” (国旗に結集する効果)によると,国際危機や戦争下では,国民の政府批判は減り支持率が高まりやすいという。

 トランプ大統領は,この効果の例外だ。支持率は低迷し,大統領選の世論調査でも民主党のバイデン前副大統領との差が広がりつつある。「トランプ大統領は安倍首相とは逆でいい過ぎている。しかも発言をころころ変えている点がリーダーとしては致命的だ」と島田氏は分析する。

 日本経済新聞社による最新の世論調査で,安倍内閣の支持率は〔2020年〕6月から5ポイント増え43%だった。「国旗に結集する効果」で下げ止まっているとみるべきか。今後,この効果が発揮される端緒なのか。まずは安倍首相から「Go To」事業の説明を聞きたい。(引用終わり)

 前段の記事は,日本の大手紙によるその世論調査の中身(数値)であったが,はたしてどのくらい信頼に値するか疑問も抱かれている実情のなかで,いまだに安倍政権の支持率が40%台も出せる世論調査がありうるのかと不思議に感じる。日経のそれについて本当は「43%マイナス20%=23%」だったとしても,まだまだ「好意的な数値」ではないか。

 『毎日新聞』の7月に実施された世論調査は,内閣支持率32%であって,不支持が60%にも上っていた。これらの結果にそれぞれマイナス20%とプラス20%したら,12%と80%であるが,われわれの政治的な体感温度で計測してみたら,いまの安倍政権は支持率一桁台のダメ為政であるといってもいい。安倍晋三自身がこのところ1月以上も「お隠れになっていた」事実も,指摘するまでもない。

 本日朝刊(『朝日新聞』2020年7月26日)の「首相動静」は,7月25日土曜日の安倍晋三君が「終日,東京・富ケ谷の自宅で過ごす。」と記録していた。一国の首相である,まだまだやるべきことなど,いくらでもあるはずである。だが,最近の彼はともかく逃げまわっているという「印象になるほかない姿」しかみせていない。

 

 ※-2 和田泰明「週刊文春記者が見た『権力に憑かれた女』 小池百合子の本質」

 この※-3は,和田泰明が書いた『権力に憑かれた女 ドキュメント東京都知事の1400日』という題名の本が,光文社新書として発刊されていたものを紹介したネット記事,2020/07/03 14:51,https://shinsho.kobunsha.com/n/n00bcd8bc5e11 を引用することになる。    

【筆者紹介】  「和田泰明(わだ・やすあき)は『週刊文春』記者。1975年広島県生まれ,岡山大学法学部卒業後,山陽新聞社入社,岡山県警などを担当。

 上京後,大下英治事務所を経て『週刊ポスト』記者,2005年4月より『週刊文春』記者として政治,年金問題の取材をつづけている。本書が初の著書となる。 Twitter @yasuakiwada

和田泰明

 なお以下に引用した段落は, 本ブログ筆者が ⑤ の記述中から適宜に取捨選択し,紹介する内容である。また,連番と見出しは筆者が付けた。

 1)演出・演技するだけの都知事,その政治屋の「本性の空虚さ」

 小池の発信は一方的だ。取材に応じるのは,視聴者や読者に伝えるためであって,目の前の記者の疑問に向き合うためではない。小池百合子が東京都知事を演じるのは,スポットライトが当たっている時だけである。

   〈NO! 3密〉
   〈感染爆発 重大局面〉

 小池が,緑地に白抜きのフリップをかかげたのは3月25日,新型コロナウイルス対応の緊急記者会見でのことだ。「このままなにもしなければロックダウン(都市封鎖)を招いてしまう」とも述べ,この日のテレビ映像は都民,国民の緊張感を一気に高めた。

 フリップを出してわかりやすくアピールし,記者からの質問にも当意即妙に答える。これぞ日本のリーダーにふさわしい……。小池には,そんなイメージが定着しているという。たしかに,顔にフィットしていない「アベノマスク」をつけて登場し,空虚な言葉を並べる総理大臣・安倍晋三との差は歴然としている。

この姿はだいぶからかわれていた

 補注)ところがというべきだったか,それともだからというべきだったか,小池百合子のこのイメージ先行だけの演技ぶりについては,こう批判されていた。

 東京都では〔7月〕2日,107人の感染者が確認されていた。都知事は,警戒レベル3段階目にあたる状況であるという認識を示し,「感染拡大要警戒」というフリップをかかげたのだが,その色はなんと緑色。緑に白字のフリップである。

 3段階目はオレンジのはずなのに,なぜ1段階の緑なのか? ここはオレンジでしょう! とテレビに向かってツッコミを入れた。視覚的な色の効果はどこへやら,指標を示す側のいい加減さがみえてくる。

 だが待てよ。緑は確か都知事のイメージカラー。こんな時まで “百合子グリーン” で存在感を強調するのか。さすがは都知事選で圧勝しただけのことはあるなと,妙に感心させられた。

 15日のフリップはさらに混迷を極める。都知事は警戒レベルをもっとも深刻な「感染拡大警報」へと引き上げた。当然,フリップは4段階目の赤,東京アラート発令時の都庁舎やレインボーブリッジのような真っ赤な色かと思いきや,かかげられたのは下が黄色で上が赤の2色のフリップだったのだ。

 「なぜ???」 しばらくの間,頭の中の大きなハテナマークが消えなかった。感染拡大の兆候があるのか,拡大しているのか,2段階と4段階の中途半端な色分けに,判断の迷いや警戒感の甘さが感じられた。

 註記)「小池都知事の新指標と “フリップ芸” に見る警戒感の甘さ」 『BIGLOBE ニュース』2020年7月17日 7時5分(元記事『NEWSポストセブン』),https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0717/sgk_200717_1737069035.html

目先だけでチョロチョロと演技するのが得意であった小池百合子の演出力
 

 だが,一度,東京都公式ホームページにある知事の記者会見動画をみていただきたい。毎週金曜日におこなわれる定例会見は50分ほどだが,冒頭の発言に20分ほど費やされる。その後の記者との質疑では,要領をえない答えがだらだらと続く。時間稼ぎとしか思えない。

 ある都庁詰めの記者はこう嘆く。「聞きたいことを質問しても,分かるようで分からない答えが返ってくる。あとで文章に起こしたものを読み返すと,結局答えになっておらず,記事にできないこともあった」

 くわえて小池は,記者を指名する前に,手元に目を落とす。そこには私たち記者の座席表がある。厄介な質問をしそうなフリーライターや週刊誌記者を当てないようにするためだ。もしくは,どの社も報じないようなニッチな質問をするベテラン記者をあえて指名し,時間を稼ぐこともある。

 ところが「ニュース」になると,小池がフリップを出したり,「ロックダウン」と口にするところが切り取られ,有意義な記者会見がおこなわれたようにみえてしまう。小池の計算どおりだろう。

 「ワールド ビジネス サテライト」(テレビ東京)キャスターを経て政界入りした小池は, “切り取り” というメディアの特性を熟知している。ちなみにフリップを最初に使った政治家は小池だともいわれている。

 覚えている方は多くないかもしれないが,2016年6月,小池が東京都知事選の出馬表明をしたさいの公約は「任期3年半」であった。知事は総理大臣と違って解散権はない。

 知事の任期を変えるには,国会で地方自治法を改正しなければならない。つまり知事選での公約としてはズサンきわまりないのだが,メディアからすれば,小池が「自民党の了解をえずに出馬した」ことが格好のニュースになるのだった。

 以降,小池は,政界関係者の間でしかられていなかった “自民党東京都連のドン” こと内田 茂都議を炙り出し,五輪大会組織委員会会長・森 喜朗元総理,石原慎太郎元東京都知事といった実力者に,女1人で果敢に食らいついていく。

 さらにみずからを,火あぶりの刑に処せられたフランスの国民的ヒロイン,ジャンヌ・ダルクになぞらえる。いかにもメディアが飛びつきそうな構図である。

 2) みずからには「過ちがない」都知事小池百合子の倒錯

 築地市場移転,東京五輪といった都政の重要分野にメスを入れはした。メディアも引きつけた。しかし,結局はすべて元の木阿弥になった。あの騒ぎはなんだったのか。だが小池は,けっしてみずからの過ちを認めない。

 「小池知事に失敗はない。なぜなら絶対に失敗を認めないからだ」 ある東京都議会議員はこう指摘した。観客を最後まで飽きさせず,途中ハプニングがあっても平然と演技を続ける。そんな一流の舞台女優兼演出家が,小池百合子であった。

 小池が都知事選に出馬表明しても,特段の思い入れもないままに取材を開始したのだが,「小池劇場」の盛り上がりに私は興奮した。自民党という大組織に盾突いてまで出馬する女性候補の存在は,たしかに新たな時代の到来を感じさせた。

 だがすぐに違和感を覚えるようになった。小泉純一郎総理による「小泉劇場」,橋下 徹大阪府知事の「橋下劇場」と比べるとわかる。小泉なら「郵政民営化」,橋下なら「大阪都構想」という政策の旗印があった。

 しかし小池は,自民党東京都連を「ブラックボックス」だと目の敵にするだけだ。小泉は自民党,橋下は大阪維新の会を率いたが,小池はたった1人である。

 地に足がついていないのだ。頼るのは聴衆,すなわちメディアの盛り上がりだけだった。早晩,この手法では立ちゆかなくなるのは分かりきっていた。だがそれを指摘する報道は少ない。

 メディアは小池の繰り出す球を打ち返すだけで精一杯で,検証する間が与えられない。蓋を開ければ礼賛報道のオンパレードだ。それが “数字” を取るのだから修正されることはなかった。

 私が小池をつぶさに観察し,任期を終えた時に1冊にまとめて世に問いたいと思い立ったのは,そんな現場の記者たちの苦悩をしったからでもあった。その思いは,小池が,市場移転の方針決定で情報公開がなされていない点を定例会見で突かれたさい,「それはAIだからです」と応じたことで,いっそう強くなった。この政治家は「検証」されたくないのだ,と。

 補注)2024年4月になっての感想。和田泰明『権力に憑かれた女 ドキュメント東京都知事の1400日』という本は,2020年7月15日に発刊されていたが,その後のいままでも「この政治家〔小池百合子〕は『検証』されたくない」のであった。

 しかしながら,このたび,政治屋・小池百合子にとっては,かつて側近であった小島敏郎が「この女性政治家に特有であった」「まがまがしさ(禍々しさ)」を,とうとうガマンしきれずに世間に暴露した。

 そのまがまがしさとは「何かよくないことがおこりそうな,いやな感じを催させるさま,不吉な様子」という字義をもつが,このまがまがしさを満艦飾にまとっていた小池百合子も,いよいよその仮面を引き剥がされる時が迎えたといえなくはない。

 小池百合子が日本の政治,東京都の行政にたずさわってきての話,はたしてこの国の全体かそしてこの東京という地域が少しでもよくなっていたか?
彼女の政治手腕というよりは「政治家をきどった演出家ぶり」は,政治・行政そのものを動かすものであったというよりは,彼女自身の自己顕示欲求を実現・達成させるためだけのそれであった。

 つまり,小池百合子は実は,政治に必要な人材としてはもっとも好ましくない,いいかえれば,国家の運営にしても自治体の方途にとっても,ただ毒素にしかならなかった素質しか与えられていなかったゆえ,国政や都政にとってこの首長(知事)として「自分になにが使命として付与されている」かどうかという認識よりも,自身がいかに見栄えよく世間に映ることしか念頭になかった。

 小池百合子が政治にかかわって実際に貢献しえた実績は,国家の破壊であって自治体の放置に過ぎなかった。なにかを新しく創造するとか,新しい局面を開削するとかいった次元には,まったく関心がなかった。だから,この人こそが本当は,絶対に政治家になってはいけない者であった。

 以上,本ブログ筆者の話に依りすぎたが,ここで,和田泰明『権力に憑かれた女 ドキュメント東京都知事の1400日』の話題に戻そう。

 3)「権力に憑かれた女」

 それ〔ここでは2016年〕から4年。小池は知事の任期を見事に泳ぎきった。しかし,新型コロナ禍というアクシデントに小池が日々対応するため,都政担当記者はまたも同じ悩みを抱えることとなる。任期を振り返る検証記事を書くべきなのに,記者の余力も,記事のスペースもない。気がつけば,都知事選に突入していた。

 本書のタイトルは『権力に憑かれた女』である。小池を追いかけてみて感じたのは,60代後半という年齢らしからぬ体力である(それは当時の年齢で2024年だと72歳になっていた)。振りまわされ,疲弊していく周囲をよそに,いや,それを糧にして小池は生き生きと輝いていく。なにかに取り憑かれたかのように。「なにか」とは,私は「権力」だと思う。

 このままでは,小池百合子という政治家の本質を見失うことにならないか。それこそが,彼女の思惑どおりなのではないか。小池にとって,都民にとって,国民にとってこの4年間は,なんだったのだろう。1400日をドキュメントで振り返って検証したい。

 4)小池百合子「学歴詐称疑惑」

 2020年6月18日告示,7月5日投開票の東京都知事選挙を前に,1冊の本が都政関係者を震撼させていた。5月29日に発売されたノンフィクション作家・石井妙子著の『女帝 小池百合子』文藝春秋である。

 石井妙子は月刊『文藝春秋』2018年7月号で,小池がエジプト・カイロ大留学時代に同居していた女性から詳細な証言を取り,小池の「カイロ大卒」という経歴に疑義を唱えるレポートを発表。それをベースとし,『女帝』では虚飾にまみれた「女一代記」を描いた。反響はすさまじく,都庁内の書店ではすぐに完売。ネット上でも話題になった。

 本書の「はじめに」で触れたように,小池は人気ユーチューバーとコラボ動画をつくるほど,ネット情報に敏感だ。自身の評価を確認する「エゴサーチ」もしているという。『女帝』の反応が目に飛びこまないわけがない。この定例会で,自民党都議から著書について質問をされたさい,小池は「本を読んでいない」と白を切ったのだが,関係者はこう明かす。

 「知事は発売前から中身を気にしており,側近が記者らに内容を探っています。本の隅々まで読む時間はないにせよ『文藝春秋(の記事)と内容が同じでよかった』と安堵したといいます」

 小池はこれまで「カイロ大卒」を選挙公報に載せてきた。もしウソなのであればれっきとした公職選挙法違反だ。都議会でも自民党や共産党が,卒業証書の議会への提出を求めてきたが,小池はどういうわけか拒否。

 一部メディアに不鮮明な画像のものを提示したり,6月9日にカイロ大学が突然,「卒業を証明する」との声明を出すなど,信憑性に疑問符がつく一方だった(6月15日の記者会見後,卒業証書を報道陣に公開。都知事選公報にも「カイロ大学卒業」と記載された)。

 そこで定例会最終日,議会として,小池に卒業証明書提出を促す「決議」を出そうとの動きが高まった。だが都民ファーストの会と公明党の “小池与党” が過半数を占めている以上,「決議」は可決されない。

 さらに自民党は,小池への対抗馬擁立を断念した経緯がある。党幹事長・二階俊博の側近,林幹雄幹事長代理が都議会自民党幹部に「エジプトに喧嘩売ることになるぞ」と待ったをかけた。要は二階の圧力である。前のめりの一部都議や共産党との調整に手間どり,開会時間が遅れたというわけだ。

 補注)この「エジプトに喧嘩売ることになるぞ」というセリフは,まったくの虚言であった事実が,2024年4月の段階になっては明々白々である。エジプト政府やカイロ大学が「小池百合子の学歴詐称疑惑」に対して関与(口出し)する可能性は,いまも昔もほぼゼロであったからである。

〔記事に戻る→〕 待ちぼうけをくらった小池は,苛立つ様子もみせず,自身のタブレット端末を手にして時間をつぶしている。議事堂6階にある本会議場は吹き抜けになっていて,私たち記者や傍聴者は7階から入る。私はいつものように,知事や都庁幹部の席を見下ろす位置に座っていた。そこから小池の手元がよくみえるからだ。私は記者席から身を乗り出してタブレットを凝視したが,なんの画面かはわからなかった。

 5) 「思えば1年前はもっと長閑だった」

 2020年7月24日開幕の東京五輪を待つばかり。都知事選挙は五輪開会式の直前におこなわれ,そこで開催都市のトップを変えようとはなるまい。だから今後,安全運転で都政運営がおこなわれれば,小池の知事再選はほぼ既定路線とみられていた。

 その「半年ほどは,都庁関連のニュースは少なく,ローカル面以外に記事を書いた記憶がない。朝夕の知事のぶら下がり取材をする記者もいませんでした。あまりに原稿を出稿しなかったから,異動になるかも,と思ったほどです」 ある全国紙の都庁担当記者は,当時の雰囲気をそう回想する。

 そうした開店休業状態の私たち記者を叩き起こしたのが,マラソンと競歩の会場移転騒動である。都庁担当記者が異変に気付いたのは,2019年10月16日,都庁第一本庁舎7階にある知事執務室に,東京五輪組織委員会会長・森喜 朗と事務総長・武藤敏郎が極秘に訪れたことをキャッチしてからだった。

 さて,以上の「(つづきは,書籍にてお楽しみください)」ということなので,本ブログ筆者からは,つぎのように補足説明しておく。

 2020東京オリンピックにおける競技のうち「マラソンと競歩の会場移転騒動」とは,この2競技を札幌に移しておこなう件に関する話題であった。

 しかし,2020年に入って本格的に襲来してきた新型コロナウイルス感染問題のために,ひとまずこの東京オリンピックじたいが1年延期という措置になっていた。もっとも,大方の観測としては,おそらくこの東京オリンピックの開催そのものが,多分,困難だと予測されている。

 補注)2020東京オリンピックはそれでも1年後れで開催された。しかし,無観客試合を余儀なくされたので,本来のかたちでの五輪開催からははるかに離れた大会になった。

 6) なお,和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女-ドキュメント東京都知事の1400日-』光文社,2020年7月16日発行の目次は,つぎのとおりである。

  第1章 東京五輪と新型コロナ   第2章 女性初の東京都知事
  第3章 自民党東京都連のドン   第4章 側近政治
  第5章 築地か,豊洲か      第6章 「排除いたします」
  第7章 権力に憑かれた女     第8章 安倍と二階と官邸と

 この本の「内容紹介」はまず,「小池百合子は,メディアの特性を熟知している。築地市場移転,東京五輪にメスを入れはした。新型コロナウイルス対策でも,愚策をつづける安倍晋三と政権与党との差は歴然だった。だが,政治家としてのビジョンはなにもみえてこない。いったい,なにをやりたいのか? なにをめざしているのか?」と書かれていた。

 確かにそのとおりであった。2020年7月下旬の段階になっても,都知事であるこの小池百合子の立場・思想が,いったいどのような東京「都政像」を設計しようとしているのか,さっぱり伝達されてこない。

 その点の問題点は,小池百合子の「過去4年間における都政ぶり」をめぐって著わされたこの本の題名に,よく表現されている。まさしく『権力に憑りつかれた女』の生きざまの分かりにくさ・不可解さがとりあげられていた

 7) 「権力欲だけを志向してき生きてきた女流政治屋」の空虚さ

 和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女-ドキュメント東京都知事の1400日-』に対しては,アマゾンの書評が2件投稿されていた(2020年7月中のこと)。今後もたくさんの感想文が寄せられるはずだが(2024年4月13日の時点では47点まで増えていた),

 すでにこの2件を読んだだけで,小池百合子という政治屋の根源的な限界,すなわち「都民のための都政はできるわけもない・するはずもない」この人の特性が,的をはずすこともなく,いってみればたやすく指摘されていた。

 ▼-1 まおたん (^^) -5つ星のうち 5. 0 『女帝 小池百合子』とは良い意味で違ったアプローチの良書。2020年7月17日に日本でレビュー済み

 『女帝 小池百合子』(文藝春秋〔5月〕)はいろんな意味で驚きの書だった。今回,週刊文春記者が小池百合子を書くとのことで,さらなるスキャンダルが出てくるのかと期待をしながら本書を手にした。その期待は良い意味で裏切られました。

 本書は,政治家そして東京都知事として小池百合子がなにをしてきたのか,してこなかったのかを,地道な取材で集めたファクトを元に明らかにしている。週刊誌の記者が,どのように取材をするのかも伝わってきます。この4年間の東京都政がなんだったのかを,いくつかのテーマを立ててわかりやすく解説してくれる良書だと思います。

 ▼-2 711 - 5つ星のうち 5. 0 週刊文春記者による丁寧な取材。2020年7月20日に日本でレビュー済み

 発売のタイミングから,話題の『女帝 小池百合子』と比較せざるをえない。『女帝 小池百合子』は小池百合子という「人間」が生まれたルーツを丹念にさかのぼりつつ,平成という時代とメディアを批判的に検証した,10年に1度の傑作ノンフィクションだった。

 『女帝~』はメディアにも読者にもおおむね好意的に受け止められている一方で,一部には「政治家は出自や学歴ではなく,政治家としての実績で評価されるべき」という見方もある。むろんその点は『女帝~』でも検証されているが,紙幅とテーマの関係性から,十全とはいいがたい。

 週刊文春記者の初の著書となる本書は,懸案となる小池の「政治家としての資質と実績」にスポットライトが当てられていて興味深い。さらに興味深いのは,『女帝~』と本書が異なるアプローチで取材・執筆されたにもかかわらず,描かれている小池像とその評価が驚くほど似ていることである。

 浮かび上がってくるのは,スポットライト好きで中身がなく,権力欲だけは異様にある空疎な政治家の姿である。

 週刊文春といえば,スクープとスキャンダルが金看板だが,本書にはスキャンダラスな要素はほぼなく,地道で丁寧な取材が印象深い。世の中をアッといわせるスクープは,このような取材の延長にあるのだと気づかされる好著である。

アマゾン書評

 石井妙子『女性 小池百合子』と和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女-ドキュメント東京都知事の1400日-』の公刊によって,小池百合子の「空虚な実像」,単なる権力志向マシン的な女性政治屋の素性(お里)が,要は余すところなく,歴然とあばかれいていた。

 さきほど「政治家は出自や学歴ではなく,政治家としての実績で評価されるべき」だという指摘がなされていたが,これは一知半解の政治学的な分析課題に関した理解である。

 というのは,「政治家の出自や学歴」についても「政治家としての実績」についても,彼ら・彼女らの全容を把握し,その政治家としての行跡を追究する必要があるからであった。

 安倍晋三という「世襲3代目のお▼カ政治屋」である存在についてだけでなく,自民党を中心に世襲政治家がそれこそ浮塵子(ウンカ)のごとく蝟集している「日本の政治」の実相を目前にして,

 「政治家は出自や学歴ではなく,政治家としての実績で評価されるべき」だというのは,99%間違えているか,そうでなければ問題意識を完全にとり違えている。

 安倍晋三に関するヨイショ本ではない,ごくふつうに解明している前段のごとき著作は,この晋三の「出自や学歴」にまつわる話題が,このボンボン政治屋の為政にどのような影響をもたらしてきたかを,詳細に説明している。

 これと同種の問題は小池百合子についても,当然にあった。石井妙子の本もそのあたりの形跡をくわしく書いていた。

 そうした観点にかかわる議論はいったん置いても,日本の国政と都政をになってきたこの2人のせいで,最近における〔2020年からの〕コロナ禍下のこの国やこの首都は,ほとんど大混乱と形容してもいいような “失政と混迷の渦巻き流” が吹きすさぶ地域になっていた。

 安倍晋三の無能・無策があれば,小池百合子の的外れだらけの愚策もあって,国民や都民(市民)の迷惑さかげんは,なみたいていではなくなっていた。

コロナ禍下のライトアップ
小池百合子好みに彩りされた東京都

註記)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/25/17.html

 2020年3月24・25日を境に,新型コロナウイルスに対する「東京アラート」とかの警戒警報を発動していた都知事小池百合子であった。だが,その後における対応をみたら,当初からあまりにもはでに「都庁舎やレインボーブリッジをライトアップ」したりで,はしゃぎすぎてしまった。

 そのために小池百合子はいまでは,それに代わる「都民向けに注目される対策」を打ち出せないまま,7月段階になって再現象してきたコロナ感染者の増大傾向に対して,ただ「都民に対して注意を喚起する」呼びかけしかできなくなっていた。いうなれば,現状(当時)において結局,彼女は「無為・無策・無能・無体」の姿勢しか採れていなかった

 つまり,現況(あのころ)のごときコロナ禍のなかで都民は,小池百合子都知事が「権力志向マシン」である自分の存在意義を,その実際の中身以上に誇大にみせつけることを許せなくなっていた。彼女にとってみれば,ずいぶん都合の悪い「都政をかこむ政治環境」になっていた。

 このところ〔ここでは2022年5月段階〕になっての話題となるが,安倍晋三首相がコロナ禍に対して以前(5月下旬)に宣言したつもりの文句,「日本モデルでコロナを撃退した,打ち勝った」とする「勝利宣言」は,それからちょうど2ヵ月が経った7月のいまとなってみれば,「コロナの再襲来」を受けているのだから,奇想天外的に笑止千万であった。そのバカバカしさといったら,無限大であった。

 新型コロナウイルス感染症の問題に対して,安倍晋三のように「日本モデルで征服した」とか自慢げに自己表現することが,いかに馬鹿げた誇大妄想的な発言であったかは,あらためて説明するまでもなかった。まるで稚児の発言そのものであった。

 首相官邸のホームページから早く削除したほうが,恥さらし状態を避けるために必要だと思われるが,いまだにその「日本モデル」をデンデンする醜状を世界に向けて公開しつづけている。

 ということであり,「政治家の出自や学歴」も「政治家としての実績」も併せて解明すべき彼らや彼女らの「政治家(政治屋)としての行跡」を検討すべきである。深く考えるまでもなく,当然の手順である。

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