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ショッピングを楽しむように男性を選ぶ女性と自分という商品を磨いて待つしかない男たち~『婚活戦略 商品化する男女と市場の力学』~


印象に残った言葉(後で引用するときに楽になるので多めに記載します)

ここでも、彼らは結婚相手の収入や容姿についての高望みや選り好みをすることをやめ、自分自身の魅力を磨きながらも、地に足を付けた婚活をするべきだと伝え始めている。

p.ⅲ

実は、現在の日本における少子化は出生率の低下ではなく、団塊ジュニア世代(略)で未婚化・晩婚化が進み、人口を再生産するだけの子供が生まれなかったことが直接の引き金となっている(山田, 2010, 18頁)

p.4

他方で、女性は結婚後に専業主婦となり、家計維持を男性の収入に期待する意識にほとんど変化がみられていなかった(山田, 2010, 23-24頁)。その結果、男性が得ている年収と女性が求める結婚後の生活とに不一致が生じ、団塊ジュニア世代の未婚化、晩婚化が引き起こされたのである。

p.6

関口は女性が結婚に求める効用を、不安定かつ低賃金の雇用環境から脱却するための生存婚、高収入の年収800万円以上の男性と結婚し専業主婦になることを目指す依存婚、キャリアや趣味の充実を可能とするパートナーを求める保存婚に分類する。

p.21

具体的には、男性では登録会員の男性平均より身長が10センチ高く、正規雇用で収入が100万円多い場合に、結婚のチャンスが6.15倍高まる。(略)現代の婚活市場においても高身長・高収入はモテる男性の条件として機能していると、最新の研究調査は明らかにしている。

p.23

まず、高収入であるが容姿や性格に問題を抱える男性は、ファッションや髪型、体型など容姿を磨きつつ、出会いの機会を増やし女性とコミュニケーションを取ることに慣れていく必要がある。(略)
次に低収入の男性は、女性の設定している戦略目標そのものを動かしていくしかない。

p.24

オートエスノグラフィーは、客観性を担保し一般化可能性を導く調査方法や分析手続き、記述の様式にこだわるのではなく、読み手側が自身の認識前提の問い直し、自身の抱える(研究)課題に気づき、その超克を目指す(研究と現場の)実践をしていくように誘導するテクストの記述を追求していくものである。

p.29

僅かな可能性がある場合は儀礼的な会話で心証を維持し、条件に合わないと判断したら会話そのものを拒絶し次の機会を待つのが合理的な判断なのだろう。

p.47

端的に言ってしまえば、女性は年齢に価値があり、男性は年齢と年収の総和で価値が測られる。(略)
女性は年齢が若いほど価値が上がり、45歳を境に価値を失い、参加できる婚活パーティーがほとんどなくなる=市場から退場を求められる。

p.54

婚活パーティーは連日開催されており、常に次の可能性が担保されている。特に時間的猶予が残されている若い女性ほど、イケメン男性の行列待ちをする。

p.55

「そうか、私は陳列棚に並べられたバッグでしかないのか」
そして私は、「自分を装うのにふさわしいバッグだ」と私を見初める女性会員に偶然出会い、運よく手に取ってもらうまで、陳列棚に並び続けることしかできないのだ。

p.81

自分磨きを続け出会いの数を増やしていくか、筆者自身のように自身の無価値を確認し、婚活市場から退却を選択するのかの二択しか選択肢は残されていない。

p.84.85

婚活パーティーの二つの特徴。(p.56)

女性の結婚は人生を取り戻す行為と似ている。(p.92)

女性が婚活市場に参加することによるメリット。(出会いの幅が広がる、若さは絶対的な武器となる)(p.100)

マッチングの権利を持つのが女性だけという筆者の提案。(p.107)


感想

この本のおかげで、卒業研究のテーマをマッチングアプリについて関連したことで書こうと思いました。

婚活を経営学的視点から考察していく論文は面白いです。自分を商品に例えて、女性がショッピングを楽しむ購入者という例えも素晴らしいです。

男性は女性に”いいね”を送るのではなく、待ちの姿勢で女性からのアプローチを受けるという提案は凄くいいと思いました。

いいね”を送るのに労力を費やし、仮に会えたとしてもパパ活目当て、興味がないけど一応会ってみたという女性をふるいにかけられるのですごくいい。

後は、それを実践した結果のデータをこの本に載せてほしかったとは思う(婚活市場を撤退した高橋勅徳さんには気の毒だがデータが見たかった)。

最後に私はこの作者に申したいことがある。それは、

容姿については、178cmであり高身長とは言えない、(略)。

p.37

についてだ。
「身長168cmの私からしたら十分高身長だろ!」と語気を強めて言いたい。



書籍情報

婚活戦略 商品化する男女と市場の力学
高橋勅徳
中央経済社
2022年6月10日 第1版第6刷発行

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