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昼休みで。

昼休みに牛丼やラーメンを食べに行ったり、カフェや本屋さん、あるいは銀行や郵便局に行ったりする人はいるだろう。

私は先日ちょっと珍しい昼休みを過ごした。

昼休みに手術を受けた。

頭部(耳の後ろあたり)に変なしこりがあることに気づき、痛みはないもののしこりが育ってきた。
ここ最近急に大きくなり、首を動かすと突っ張る感じがある。

……なにこれ怖い……

私は怖がりなので何か異変を感じるとすぐ「重大な病気ではないか」と不安になり病院に行く。

行くも何も幸い職場が病院だ。

形成外科の先生が丁寧に診察と検査を行ってくれた。
「皮膚の下でかなり大きくなってるから取ったほうが良いと思う。」

取ろう取ろう。すぐにでも。

直近の空いている日時に手術の予定を入れてもらった。

手術時間は1時間ちょっと。
「昼休みにちゃちゃっとオペ受けて午後から仕事に戻れるな。よしよし。」

自宅のカレンダーに予定を書き込む。

ひらく 危!!! ダメ!絶対!!

なんという日に手術の予定を入れてしまったのだろう。私の馬鹿!
しかし調べてみると「ひらく」も「危」も悪い意味ではないと知りホッとする。

当日は開始時間の30分前に自分の部署から形成外科へ向かった。
バイタルチェックを受け、白衣から術衣に着替える。

看護師から患者へ早変わりである。

手術台にうつ伏せにさせられる。
指先には酸素飽和度を測る機械が、腕には持続で血圧を測る機械が装着された。
切開する部分の髪の毛は切られたうえに剃られてしまった。
もう逃げられない。

先生が「どうも〜。頑張ろうね~。」とゆるーく登場し、いよいよ手術が始まる。
手術用の大きなライトが点灯し、とても眩しい。
次の瞬間バサっと頭からすっぽり布で覆われた。

麻酔の注射が打たれていく。
チクっとした痛みと、薬が入って来るときはイヤな痛みがある。
薬が入ってきたとき急にオデコが熱く痒くなってきた。
先生に一応そのことを伝えたが「ハハッ」と笑われてスルーされた。

6〜7センチくらい切開すると聞いていたので、どうしても頭でイメージしてしまう。

怖い怖い怖い怖いよーー!
もし麻酔が効いてなかったらどんだけ痛いんだろうね!!ね!?

わざわざ自分で恐怖心を煽る。

先生が私を覆っている布をめくり「痛みが全然ないのが普通だから、もしちょっとでも痛かったらスグ言って。」と私に告げた。

頼もしい。好きになりそうだ。

そして肝心のそこから先であるが、実はもう書くことがない。

私は眠ってしまったのである。


気絶ではなく健やかな睡眠だ。
先生や看護師さんが懸命に頑張ってくださるなか1時間も爆睡。

手術を受けながらにして休憩もきちんと取ったのだ。効率的な昼休みだ。

後から看護師さんに「めっちゃ寝息たててるからビックリしました。」と褒められた。

つまり痛みは全く無かったということだ。
すごい。
そして傷を見て驚いた。
縫合跡がとても細かくキレイだ。
8針縫ってあるが芸術的に美しい!

仕事に戻ってからも痛みが全然なく、オーマイゴッドハンド!!と感動していた。
分厚いガーゼの隙間から同僚たちに傷を見せ自慢した。

一晩は痛みが強くジワジワと出血も続いたが翌日にはほぼ痛みもなく元通りの生活であった。

頭に長ーーーい縫い目がある以外は。

2週間後に抜糸をするまで私の頭部には長い縫い目がある。

傷を見て思う。
おお!大好きなブラックジャックのようで、なんだか少しカッコイイ。

せっかくなので久々にブラックジャックを読み直してみよう。
似たような長い傷のある今なら、殊更のめり込むことができそうだ。

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