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ニンジャおばさん、現る        【夕暮れテニス日記#6】

【壁打ち沼 その1】
テニススクールに通い始めてから、
壁打ちにハマった。

初心者クラスから
初級クラスに上がったものの、
コーチからは1回1アドバイス。
物足りない。
ヘタなのは自分のせいだとわかってるけど。
週1回のレッスンでは
上手くなってる実感がない。

それでYouTubeのコーチ達といっしょに
ほぼまいにち壁打ちに行くようになった。

無料の壁打ち

ありがたいことに
壁打ちコートは家のすぐ近く。
その存在は前から知ってたけど
テニスを始める前は
こんなにありがたい場所だと思うことは
まったくなかった。

今じゃ、
家から双眼鏡で壁打ちコートをチェック。
周囲は緑のネットで覆われてるけど
誰かがやっているとわずかな隙間から
ひゅんひゅんと壁に向かっていくボールが見える。
ボールの気配がないときは
「誰かが来ないうちに~」と思いながら
急ぎ足でコートに向かうのである。

早朝か夕暮れに
壁打ちをやるようになって気づいたのだが、
時間帯によって来る人が決まっている。
早朝はほとんど高齢者か
チャイルドシート付きの電動自転車でやってくる
子育て世代のパパ。
夕方は部活終わりの中学生グループとか
かなり上手い若者が多い。

ニンジャおばさんは朝6時前後に現れる。
布製のラケットケースを背負い
ボールがたくさん入ったかわいいバッグをもって
ハッハッハッと走ってくる。

来ると最初は壁の近くに寄って
フォアバッグフォアバッグを
ちょっと前傾した姿勢で
タンタン、タンタンと繰り返す。
その素早い動きをみていて
「ニンジャみたい」と思ったのだ。

ニンジャおばさんは、コートの周辺を
朝散歩する高齢者の方々とも顔見知りのようだ。
歩いてくる人が「おはよー」と声をかけてくる。

ニンジャおばさんが一人で
サーブ&ボレーをしているのを
コート脇の通りからこっそり見たことがある。
壁のほうをまっすぐ向いて
両手をだらんとたらしたまましばらく動かない。
それからおもむろにサーブをし
バン!バンバン!とボレー。
ボールを拾わずそれを繰り返し
半面のコートはいつの間にかボールだらけ。
ニンジャおばさんの練習スタイルは
なんかかっこいいのだ。

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