2024年6月7日(金)あなたはどんな人ですか
昨日は床屋に行ってきました。頭がさっぱりすれば少しはましな原稿も書けるかと思ったのです。髪を刈ってもらいながら、ずっと6/15の講演の内容のことを考えていました。書き直さなければならないと思いました。
ところで、これもずいぶん昔の話です。ぼくが高校生のころのことです。
ぼくが通っていた都立九段高校は、昼だけではなくて、夜間の高校もやっていました。
つまり同じ教室で、昼は昼の生徒が学び、夕暮れてからは、夜の生徒が学んでいたというわけです。
ということは、今考えれば、自分の机の中には、ものを残したまま帰る、ということはできなかったのだなと、思います。
机の中はからっぽにして下校しました。その机を、夜の生徒が使うからです。
そうしているうちに、ある朝、学校へ行くと、ぼくの机の中に、小さな紙が残されていました。
夜の生徒の忘れ物かと思って紙を開いてみると、「この机を使っている、もうひとりの人へ」という文字が書かれていました。
夜の生徒からの手紙だったのです。
文字の丁寧さから想像するに、たぶん女生徒だったのだと思います。
何が書かれていたのかは忘れてしまいましたが、たぶん、
お元気ですか、とか、
今日はどんな日でしたか、とか、
あなたはどんな人ですか、とか、
若い人らしい、他愛のないことが書いてあったのだと思います。
さて、ぼくはその手紙に返事を書いたのかどうかを、もう忘れてしまいました。
返事を書いて、また「もうひとりの人」へ質問をして、下校したのかどうかを、忘れてしまいました。
でも、その手紙を再び折りたたみ、大事にしまったことを覚えています。
きっと、ぼくは何かを書かないではいられなかったはずだと、思うのです。
「あなたは、どんな人ですか。」
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