#久保田万太郎
俳句を読む 59 久保田万太郎 夏場所やひかへぶとんの水あさぎ
夏場所やひかへぶとんの水あさぎ 久保田万太郎
掲句を読んでまず注目したのは「水あさぎ」という語でした。浅学にも、色の名称であることを知らず、いったいこのあざやかな語はどういう意味を持っているのだろうと思ったのです。調べてみれば、「あさぎ」は「浅葱」と書いて、「みずいろ」のことでした。さらに「水あさぎ」は「あさぎ」のさらに薄い色ということです。そういわれて見れば、「水あさぎ」という音韻は、
俳句を読む 43 久保田万太郎 春浅し空また月をそだてそめ
春浅し空また月をそだてそめ 久保田万太郎
どこをどうひっくり返しても、わたしにはこんな発想は出てこないなと思いながら、掲句を読みました。昔、鳥がいなかったら空のことはもっと分かりにくかっただろうという詩(谷川俊太郎)がありました。それを読んだときにもなるほどと、うならされましたが、この句にもかなり驚きました。日々大きくなって行く月の現象を、作者はそのままには放っておきません。これは何かが育てて