マガジンのカバー画像

俳句を読む

65
運営しているクリエイター

#和田誠

俳句を読む 33 和田誠 檸檬抛り上げれば寒の月となる

檸檬抛り上げれば寒の月となる 和田 誠

檸檬の季語は秋ですが、ここでは、抛り上げられた空の季節、つまり冬の句とします。果物を抛り上げる図というと、わたしはどうしてもドラマ「ふぞろいの林檎たち」のタイトルバックを思い出します。また、「檸檬」という語からは、高村光太郎の「レモン哀歌」が思い出されます。そしてどちらの連想からも、甘く、せつない感情がわいてきます。句は、そのような感傷的なものを排除し

もっとみる