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山形のプレイヤーに迫る 第4回

「山形のプレイヤーに迫る」
二人目の取材となる今回は“佐藤英人”さん

七日町にボタコーヒーを構えて、9年、
まちと共に営んでいるからこそ見えるもの、
学生の立場から気になるところを聞いてきました!

ご本人がなぜボタをはじめられたのか、
その思いは“ Real Local 山形 ”や
リリリリノベーションの記事にも掲載されています。
ぜひチェック!

略歴――――

東北芸術工科大学卒 馬場ゼミ出身
一度、東京の不動産会社に就職するも山形に帰郷
リノベーションスクールの
サブユニットマスターをしたことがきっかけとなり起業、
現在はボタコーヒー(カフェ)とボタシアター(貸しスペース)
ぼた(焙煎室)、つち(食事とお菓子)の4つの経営を行っている。

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今回の記事は対談形式となっています。
取材者(加藤)を A
佐藤さんを H として示しています。

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A:今回は取材にご協力いただきありがとうございます。
いきなりなんですが、“ボタコーヒー”が去年の芸工祭や
新庄の ”kitokitoMARCHE”(キトキトマルシェ)
出店されているのをお見かけしました。
調べたら沢山のイベントに出店されているとお見受けしました。

なぜ沢山のイベントに出店するのか

その理由をお聞きしたいです。

H:これは明確に二点あります。

一点目は経営面、
イベントで利益が出て
かつスタッフにお店任せて稼働することで
同時に利益作れるからです。

もう一点は
イベントならではの
空気感を味わえるからです。

また、そこでの新しいお客さんとの出会いもあるからですね。

店でただお客さんを待っているのと、
自分から動くのでは来てくれる人が全然変わってくるんです。

そういった理由でなるべく出店しようとはしてます。

ただ闇雲に(イベントへ)出店するのはやめたのは
昔と感覚が変わったところですね。

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イベント主催側はお客さんが何千人来ます。
売り上げもある程度見込めると思います。
出店しませんか?って声掛けてくれます。

しかし、イベントに出店して、
ただ沢山お客さんがいれば売れると考えることが
間違ってることに気づきました。

なのでイベントに出る際に
それはどういった開催の趣旨で
どういった属性のお客さんが来るかっていうのを
すごい見るようにしてます。

具体的に言えば、
他に出店してる店舗さんの顔ぶれを見ることです。

仲良い店舗さんって沢山いるんです。
そういうお店は
店やお客さんのキャラが似てることが多いんですよ。

そして
似た価値観の人たちが集まってるイベントは
良いものになるし
自分自身も商売してて気持ちいいし、
心地いいんです。

A:なるほど。

H:例えばキトキトは結構出ててますよ。
毎回来てくれるお客さんもいるんです。
それに、あのゆるい雰囲気がすごい好きなので
出るようにしてます。

A:確かに自分が以前うかがった時も、その雰囲気が心地よかったです。

H:それが好きでみんな集まってくるんですよね。
普通のマルシェって座るとこもないんですよ。

特に街中なんかでやると、
もの買ってすぐ帰っちゃいます。

キトキトはお客さんの滞在時間が長いんです。
あの芝生で、みんなダラダラしてるんですよね。

それに犬もいっぱい来るんですよ。
ボタちゃん(佐藤さんの愛犬)も連れてくから
そこで犬仲間で集まって
みんなでコーヒー飲みながら過ごしたりする。

なんかそれが好きなんです。

A:ありがとうございます。

次に移らせていただきます、
事前に記事を調べた中で、
「店を続けるためのコツは無理しないこと」
と書かれているものを拝見しました。
(下記、参考取材記事)

ならば、そもそも
お店を経営すること
まち興し活動を行うのに

向いてる人とそうではない人の違いってありますか?


H:その回答としては意外かもしれませんが
淡々と同じことを続けられるか”です。

日々の業務をこなす英人さん

始めることは、
ぶっちゃけると、超簡単です。
誰でも始めることって、
できる。

それ以上に続けることが難しいんです。

始めたばかりのころは勢いで出来ていたことが
ルーティンワークになった時、
頻繁に臨時休業したり、
オープン遅れたりするようになったとします。
そうすると当然、
お客さんの信頼を
その度にちょっとずつ失っていくわけです。

そしたら、(お店はお客さんありきだから)
このお店、続かないだろうなってなります。

すっげー当たり前のことなんだけど、
すごい難しいことですよ。

自分だって今年九年目なんですが、
これが結構大変ですね。

A:本当ですか?

H:そうですよ、
自分もスタッフも体調崩すことはあります。
やむを得ず店閉めた事もちろんあります。

A:

ご自身は淡々と続けることが苦じゃなかったですか?


H:最近、体力なくなってきたんだと思います。
辛いときは、あります。

ちゃんと休まないと辛いです。

前は夜営業もしてたし、
店に立つことが好きだったから
結構休まなくても平気だったんです。

あと今は、奥さんがいて、犬もいるので。

ちゃんと家族の時間も作んなきゃなって
意識するようになりました。

ここ一年ぐらいは
スタッフの状況にもよりますが、
奥さんの休みに合わせて日曜日に休んで
遊びに行くようにしてます。

それが前は
組織も小さくて、
人に任せるよりも
自分でなんでもやりたいタイプだったので
できなかったですね。

だから(当時)イベントが気晴らしになったりしてました。

働いてる感覚はあんまりなくて、
それこそキトキトマルシェは遊びに行ってる感覚でしたね。

この話に繋がることなんですけど、

「好きなことを商売にするとコスパがいい」

というのを芸工大の経済学の授業で伝えてますね。

もちろん好きなことを生業としていても
働いている時間は労働時間です、
でも自分は好きな事をしてるから
労働してる気分ではないんですよ。

これは税金の勉強をすると、
コストパフォーマンスがどれだけ良いかが分かります。

ざっくり言います。
(厳密に言えば違う点もでてきます)

例えば10万円の椅子を欲しいと思った時、
自分がただのサラリーマンの場合

13万くらい稼ぐ必要があります。

なぜかと言えば、
稼いだ分だけ所得には
所得税や住民税、社会保険料など
国に納める必要があるお金が発生して、
実際の手取り額は所得(総支給額)よりも低くなるからです。

しかし、これが自分で会社をつくった場合

会社の資産として現金10万円を残そうとすると
ここでも税金などが発生して3万円程度減って、結果7万円の資産になってしまうところを、その10万の椅子を会社で購入することにすれば
税金によって総資産が減ることがなくなるんですよ。

捉え方を変えれば、欲しかった10万の椅子を
実質7万で買ったようなものです。

つまり、サラリーマンと比べて、ざっくりと
椅子購入に必要な金額が5~6万円変わってくるわけです。

しかも、会社であれば
この椅子は、後々使用しなくなったら、
お客さんに売買して
現金に換えることもできる。

仮に売却金額が8~9万円だったとしても得にしか働きませんし、
もしかしたら購入時よりも価値が上がっているかもしれません。

こういった考え方で僕は物事を見てます。

僕の事に当てはめると
コーヒーもカフェも好きでやってます。
あとは建築も好きで、家具や雑貨集めも趣味です。

そんな“趣味”に堂々と“会社の経費”を使えるんですよ。

それが仕事になってるんですから。
好きなことして、好きなもの買ってるんです。

税金の勉強をすると楽しいですよ。
コスパ良く生きようって思えます。

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今回はここまで!

お金の考え方や店主視点でのマルシェの良さなど
学生では想像もできないようなリアルな話が聞けました!

自分も起業という、なんとも歯がゆい言葉ではなくて
好きなことで生きていく!
そんなワクワクする人生を想像できました!

次回予告!!
今後のボタの立ち位置と英人さんの考えについて、
この回はお話を聴いていて一番印象に残っています。

気になる方は是非、次回をお待ち下さい!!

お楽しみに!

文・写真:加藤瑛人

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