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機関投資家の議決権行使結果の個別開示が出始めました - 2Q決算に向けてこの8月、9月に上場企業各社がしておくべきこと

機関投資家の議決権行使結果の個別開示が開始

本日は日経平均株価が2000円も下げましたね。私が保有する中小型銘柄も大きく下げました。円高がプラスに効く内需型の銘柄なのですが。株価が大きく下落した場合は買い増しのチャンスでもありますが、本日は一旦様子見をし、週明けに更に大きく下げた場合に拾って行こうかと考えています。

さて、多くの上場企業の株主総会も終わり1ヵ月が経過しましたが、国内機関投資家の議決権行使の個別開示が出始めました。私が把握する限りですと、ニッセイアセットマネジメント、フィデリティ投信、三井住友トラスト・アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、野村アセットマネジメントあたりが個別開示をしています。

ちなみに個別開示をご覧になったことのない方もいらっしゃるかも知れませんので、いくつかの投資家のURLを参考までに以下に紹介します。

野村アセットマネジメント
https://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/vote2024_q2.pdf

三井住友トラスト・アセットマネジメント
https://www.smtam.jp/file/204/voting_2024Q1.pdf

フィデリティ投信
https://www.fidelity.co.jp/about-fidelity/stewardship/voting-records

今後も個別開示する機関投資家は増えますが、では、この個別開示を見て上場企業各社は今後、何をすればよいでしょうか?

個別開示を踏まえ企業が8月、9月にすること

事前予想との比較が大事

まずは、事前予想と結果の比較です。議案の賛成率に不安を抱えている企業は、株主総会前に機関投資家各社の議決権行使予想をしていると思いますが、その予想と結果の比較です。株主総会での取締役選任議案の賛成率が思ったより良かったということで安心されている企業もいるかも知れません。総会も終わると、分析は疎かになる企業も多いのではないでしょうか。

けど、ここは気を引き締めてしっかりやった方がよいです。予想に反して悪かった場合もそうですが、良かった場合もしっかりとやるのが大事です。

予想に反して結果が良かった場合にも分析するの?

結果がよかったから不要では?と思う方もいると思いますが、分析は必須です。何故ならば来年も賛成が続く保証はゼロだからです。今年、予測に反して賛成した理由の1つにアナリストが期待して、大目に見てくれたということがあります。

2023年度の業績は悪かったが、2024年度の業績予想にアナリストが期待していたりする場合や、業績は良くなくても企業のコーポレートアクションから企業の変化に期待してアナリストが大目に見て賛成してくれた場合があります。けど、1Q決算も終わり、「あれ、思ったほど業績が今年も良くない雰囲気だぞ」となると、来年は反対する可能性も大です。だって、今年は大目に見てくれただけですので。であればこそ、賛成した機関投資家に賛成の理由を確認しておくことが大事です。

本日は短いですが以上になります。2024年度の1Q決算も終わり、夏休みも近づきほっとしている企業も多いと思います。けど8月、9月には機関投資家の自社の総会議案に対する議決権行使結果を1社ずつしっかりと見て、予想との違いをしっかりと分析することをお薦めします。

分析結果によっては、2Q決算説明会資料で開示や社長の説明を工夫する必要も出てきます。2Q決算のタイミングを考えると遅くとも9月中には十分な分析が必須です。この点は、また、来週にでも実務上のポイントを紹介したいと思います。