無理に忘れなくてもいいし、無理に許さなくてもいい。


「親といるとなぜ苦しいのか」という本を読んだ。


わたしはここ数年で過去のつらかったことについて自分の中でずっと考えてきて、たくさん本も読んだし色んな人に話した。少し時間が経ち、物理的距離があることもあって前よりは整理できた。過去の事について誰の事も恨んでいないし、もう許した。自分が変えていくしかないことも分かっている。

なのに、自分だけがあの頃に立ち止まっている感覚がある。

親にも親の人生があり、親もまた苦しんでいたのだと分かっているのに。
もう忘れなきゃいけないのに、いまだに思い出して涙が出る夜もある。
自分だけまだ薬を飲まないと眠れない日々を送っていることに強い自己嫌悪と、それと同時に強い怒りを感じていた。
相反する気持ちを持っているときほど苦しいものはない。

自分が弱いからダメなんだ。仕方がない事だったのにいつまで他責にして自分のやるべきことから逃げているんだ。と、毎日毎日自分に厳しい言葉をかけた。

この本を読んでいる途中で気づいた。
私はまだ、許せていなかったんだ。

「もう親の事はいいんです。親もまた一人の人間ですから、仕方がないことだったんです。」
そう言いながら、心の中では傷ついて怒っていたんだ。
早くこの苦しみから解放されたいと急ぎすぎて、自分の気持ちにバツをして自分に言い聞かせてきてしまったから苦しいんだ。

悲しかったし、つらかったし、さみしかったし、もっと構ってほしかった。
そういう自分の気持ちを全部なかったことにして、大人のように振る舞うのはもうやめようと思っていたのに、無意識で抑え込んでいた。
わたしは、もっと愛されたかった。
今さら何かが変わるわけでもないけど、自分だけは自分の気持ちを大切にしてあげないといけないから
我慢するのはやめよう、もう私は自由なんだから。

辛かった記憶は、辛かった記憶のまま置いておいたって良い。
無理に許したりする必要もない。
ただ時間が経って、もっと大人になって、心から「もういいや」と思えたらその時の気持ちに従えばいい。
それでいいんだ。

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