まじょのなみだ(27)

棺に納まる母はガラにもなく白装束を着せられ、
参列してくれた母の友人が

「まぁ、きれいな花嫁さん・・・。」と言った。

本当にウエディングドレス姿にしか見えなかった。

それからは葬儀の準備などで忙しく、あまり悲しむ間もなかったように思う。

遺影にする写真がなかなか見つからないのに苦労した。

普段から近くにいたから改めて写真なんて撮っておらず、
娘がケータイのカメラをおもちゃにして撮ってた画像ぐらいしかなかった。

その中の一枚、
ばぁばと孫ふたりでお茶しに行った時のショットらしいその画像の母は、
カメラを向ける孫が愛おしくてしかたない、といった表情で見つめていてすごく好きな写真だ。

だけど幼い娘が撮ったため、おそろしくブレていて遺影には使えそうになかった。

そこで、私が乳がん手術のための入院中、
母が孫と一緒に新車を受け取りに行った際に担当さんに記念に撮ってもらった写真を利用した。

遺影用に引き延ばすとやはり少しぼけるのだが、孫と一緒にいるときの表情は優しくていい。

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