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ポケモンの「進化」について

ポケモンの「しんか」は進化ではない

巡回展「ポケモン化石博物館」Pokémon Fossil Museum - 国立科学博物館 (kahaku.go.jp)
ポケモン公式、「進化」と「しんか」の違い説明で話題 世界観を古生物学で解説「なるほどね!」「知見が得られた」 | ORICON NEWS

ポケモンの「しんか」は進化じゃない、というのはよく聞く話です。
実際、多くのブログやweb記事なんかでもこの話題については触れらています。「ポケモンのしんかは進化じゃなくて、昆虫の変態の方が近い」という主張を見かけます。実際、ポケモン化石展という博物館の特別展示では、ポケモンとしての(恐らく)公式な「しんか」の説明がされました。その中で、上記のようにしんかと進化は異なることが明言されたわけです。

じゃあポケモンは進化しないのか?
答えはNOだと考えます。

ポケモン ダイヤモンド・パール・プラチナ と ポケモンLEGENDS アルセウスを思い出してください。
これらの作品は、ポケモン世界の時系列で言うと、レジェンズ → D・P・Pt になっています。この2つの時代間で変わったことは町の発展だけではありません。ポケモン達にも大きな変化が見られます。ヒスイの姿と呼ばれるポケモン達が主な例です。その中に、何種か進化ではないかと考えられるポケモンがいます。

例えば、アヤシシ。
オドシシからしんかするこのポケモンは、P・Ptでは207番道路で出現するため、絶滅はしていないことがわかります。もちろん、第四世代ではアヤシシへしんかすることはできません。当然、そもそもデータ上に存在しないポケモンになれるはずもありません。でもまあ、そんなことはわかりきっている訳です。そんなことを言い出したら、ポケモン自体が架空の存在ですし。そういう誰にでも言える冷やかしは置いておきましょう。
とにかく、ポケモン世界の時系列では、しんかできていたのにできなくなったということになります。ここにはいくつか理由が考えられます。今回は、あり得そうな2つの要因についてご紹介します。


1. 「しんか」するための遺伝子が機能しなくなった

ポケモン世界には遺伝子が存在し、ポケモンも遺伝子を持っています。ポケモンの遺伝子という謎はありますが、とりあえず、現実世界の遺伝子と同じだと仮定して話を進めます。生物の体の変化に遺伝子は欠かせません。発生や成長はもちろんのこと、変態にも非常に重要なものです。胎児が臓器を作るのも、体が大きくなることも、幼虫やオタマジャクシから変態するのも、それぞれに重要な遺伝子が正しく機能することで行われています。
同じように、ポケモンの「しんか」にも重要な遺伝子があることは、全く違和感がないといってもいいでしょう。この仮定が正しければ、「しんか」できなくなってしまったのは、その遺伝子が無くなる/機能しなくなることが理由だと考えられます。

2. しんかに必要なバリアーラッシュを覚えなくなった

オドシシが進化するためには、バリアーラッシュという技を覚えている必要があります。これまでのポケモンシリーズをみると、タマゴ技(遺伝技)というものがあり、各世代の調整によってタマゴ技を覚えなくなることがあります。ここから、「ポケモンが覚えられる技には、何らかの遺伝子が関連している」ことが考えられます。とすれば、バリアーラッシュを覚えるために必要な遺伝子を持っていないために技を覚えられず、進化条件を満たせないため「しんか」できないことが考えられます。

退化ではない

これらの仮説が正しければ、オドシシをはじめとした一部のポケモンたちは、「しんか」できなくなる「進化」を遂げた、と言えます。

いやいや、そんなの退化でしょ?

違います。立派な進化です。
そもそも、生物学的な進化において、退化はありません(何らかの器官・機能がなくなることを退化と呼んだりはします)。それに、「しんか」しないことは悪いことだとは言い切れません。
基本的に、ポケモンはしんかすると体が大きくなったり、能力が上昇します。野生のポケモンもしんかすることで、食べ物や住処をめぐる争いや敵に襲われても生き残れるようにしていると考えられます。このことは、現実世界の野生動物にも言えることです。体が大きいと餌のや縄張りの争いに有利です。しかし、メリットだけではありません。
体が大きいと必要な餌の量も多いので、ちょっとした環境の変化(雨が少ない、気温が少し高いなど)によって餌が減るだけで死んでしまう可能性が高くなります。ハイスペックな体を維持するためには、それ相応のコストがかかります(例えば餌の量)。最初の草むらで生き残るのにバンギラス並みのパワーが必要ですか?過剰ですよね。ライバル達を圧倒しても、得られるメリットが少なければ赤字になってしまいます。つまり、オーバースペックであること自体がデメリットなんです。

これをふまえてオドシシが「しんか」しなくなった理由を考えると、アヤシシになった方が強いけど、それほどメリットがないならオドシシのままでいる方が結果的に良い、と考えられます。
アヤシシにしんかできないオドシシのデメリットはほとんどなく、アヤシシにしんかする方が相対的にデメリットが大きい状態が続き、オドシシたちはだんだんと「しんか」できない方向に進化していったのではないでしょうか?

まあ、実際の北海道開拓〜現代までの時間がそれほど長くないので、人間がオドシシたちの生息地を減らした結果、確率的に「しんか」できない方向に進化したことも考えられますが。
例. ボトルネック効果創始者効果など

結論:ポケモンは「進化」する、かも!

上記の内容は私の妄想です。
そもそも、ポケモン世界における遺伝子がどういった立ち位置なのかもわからないので、前提から間違っている可能性があります。ですが、リージョンフォーム(種分化)やウミディグダ(収斂進化)、ポケモンスナップから、ポケモン公式が生態学的な要素をかなり意識していることが伺えます。
とすれば、ポケモンが「進化」するという考えは、あながち間違いではないかもしれません。

それに、個人的な考えですが、ポケモンも現実世界の生き物と同じように「進化」していると考えた方が楽しい気がします。
以上、アシの(妄想的)考察でした。

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