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ポケモン“で”学ぶ

 1996年2月27日……あの化け物タイトルが生まれました。『ポケットモンスター』です。
 いきなり余談ですが、これは筆者の生まれ年と一緒なんですよね。ただ、ポケモンは早生まれなので学年は違いますが。
 それは、さておきまして、私はポケモン大好きでポケモンと一緒に育ってきました。そんな、私が大人になり、そして今現在療育の世界で働いている身として改めて考えてみると、ポケモンというタイトルは非常に学習に良いと感じたのです。今回はそんな、ポケモンの学習ポイントを3選に絞って伝えていけたらと思います。
 なお、公式用語外の言葉を使用することもあり、また読みやすさなどを優先して一部公式表記ではないもの(ひらがなを漢字で書く)を使わせていただくこともあります。

①概念の理解

 概念という言葉単体でみると難しく思いますが、例えば重力というものを知らなくても地面に引っ張られる力があることは経験的に幼い頃から知っていることでしょう。同じように科学的なことはわからなかったとしてもなんとなくの理解ということはできるんです。
 さて、それがポケモンとどう関係があるのか、ですが。ポケモンには『タイプ』と呼ばれるものがあり『タイプ』には『相性』があります。タイプ相性はじゃんけんでいうグーはチョキに強いといった形で、このタイプのポケモンにはこのタイプの技がよく効くというようなことを表します。
さて、ポケモンには現在18種類のタイプが存在し、1~2個のタイプをポケモンは有しています。(非常に稀な状態ですが、3タイプにする、0タイプにすることができます)その中には『あく』や『フェアリー』といった曖昧なものも存在するのですが、『はがね』や『ほのお』といったものもあります。
 何が言いたいかといいますと、炎タイプは水タイプに弱く草タイプに強いんです!!
 ……つまり、炎は水をかけられると消えて、草を燃やしてしまうとい概念ですね。その他にも鋼のように固いものも炎では溶けることもあったり、水は電気がよく通ったり、虫は飛行(鳥)に食べられることが多かったりなど、なんとなくの概念を理解することが出来るんですよね。もちろん、現実世界のすべてに当てはまるわけではありませんが、ファーストステップとしてこういう事柄から理解していくのは面白いと思うんですよ。
もっというと、先に挙げた『フェアリー』つまり妖精は『はがね』タイプに弱いんです。これは妖精は冷たい金属を苦手とするといういわれを元にしているのではと噂になっており、こういったちょっとした雑学を知る機会になるかもしれません。
 概念の理解、そこからなんで!?となってみると科学的知識を導き出すことが出来るかもしれませんね!!

②計算

 ポケモンは世界観を大切にしているためそこまで表立っては現れませんが、当然ゲームですので内部データを調べたりすることで数値を割り出すことが出来ます。
 例えば、あるポケモンがあるポケモンに与えるダメージは
攻撃側のレベル × 2 ÷ 5 + 2 → 切り捨て
 × 物理技(特殊技)の威力 × 攻撃側のこうげき(とくこう) ÷ 防御側のぼうぎょ(とくぼう) → 切り捨て
 ÷ 50 + 2 → 切り捨て
 × 乱数(0.85, 0.86, …… ,0.99, 1.00 の何れか) → 切り捨て
で、求められます。(ポケモン大戦考察wikiより)
 これは難しい計算式……でもありませんが、もっと複雑な捕獲処理計算やポケモンのステータス計算なども存在します。ここまで行くとかなり難しい範囲で私も覚えていませんし計算ができるかも微妙です……。
ですが、例えばこちらではどうでしょう。あるポケモンがあるポケモンに与える技の威力について。
これはこの計算式で求められます。
【技の威力】×【技と同じタイプのポケモンなら1.5し、そうでなければ1.0】×【タイプ1の相性(0~2)】×【タイプ2の相性(0~2)】であらわされます。
 例えば電気タイプの『ピカチュウ』が水タイプの『ゼニガメ』に『
10まんボルト』という威力90、電気タイプの技を打ったとします。
この場合は
【90】×【1.5】×【2】=【270】という結果が求められます。
非常に単純な計算式ではあるのですが、小数点もある計算というのは意外と難しく、躓くお子さんも多いところ。これをポケモンで楽しく学べたら素敵だと思いませんか?
 その他、技の威力については、【いのちのたま】という道具を持たせると1.3倍されたりなど……細かな計算が常に行われ、このぐらいの計算は対戦をしていると頻繁にあらわれるのでよくしています。
 強くなるためには算数を勉強しなければならないのです。
 面白いですよね。えてして子供たちは負けず嫌いだったりしますから、ここから火がつくこともあるかもしれませんし、さらに進んでプログラムなどに興味をもつかもしれませんね。

③物語・言語を知る

 先の二項目が理数的な方面でしたので次は文系学問から。
 ポケモンはゲームとしてはRPGになります。つまるところストーリーがあるんですが、それって物語を読むのと根本のところでは同じといえるのではないでしょうか? 特に最近のポケモンでは漢字表記を選べたりするんですよね。言葉を知る、そんな経験にもなりますし、物語を読む力というのは、案外こういうところから育つともいえます。世界観を楽しみロールプレイを行う……。たかが、ゲームと思いませんか? そうです。たかが、ゲームなんです。そんな簡単なゲームから物語を楽しめていけるのであれば最初の一歩としては十分すぎると思うんですよね!ここからうまく物語の世界に引っ張っていくことが出来ればいいわけです。
 そして、ポケモンは今や世界的シェアを誇るゲームです。ゲームの言語選択では当たり前に英語や中国語などが現れ、世界の人との対戦ではその国の言葉で書かれたポケモンと戦うことになります。
対戦をガチでやられている方であれば多くのポケモンの海外名を覚えています。それも複数言語で。
 いやいや、そんな固有名詞を覚えたところでなんの意味に? と思いますよね? では、問いましょう。『pikachu』こちら読めますか? そのままの発音で読んでください。『ピカチュウ』です。
ですが、なんとなくでも読めたのって英語の発音をなんとなく理解をしているからだと思うんです。これが小さなお子さんであるならば? そのファーストステップとして外国のポケモンの名前で英語の発音を覚えていくきっかけになるかもしれませんよね。
 その他、様々な言語を知ることで世界に目を向けてくれるかもしれませんし、筆者である私も英語でポケモンをプレイしたことがあるのですが(とある事情で英語でのプレイが有利になったためです)、そうすると少しだけ英語に触れる機会があったんですよね。
 はい、言語を知るいい機会かもしれません。
 その他、ファンの間では『あくび』という技は『欠伸』と、『いわなだれ』を『岩雪崩』と漢字で書くことも多くありますので、漢字を知る機会にもなるわけです。

④まとめ

 さて、今回は三つのジャンルに絞りましたがポケモンの世界に詳しくなろうとすればするほど、勉強に触れる機会がたくさん現れます。本当に書ききれないんです。
 しかし、同時にこのことも伝えなければなりません。せっかく近くに触れ合える機会のある勉強を生かすも殺すも大人である皆さん次第であると……。
 子ども達のなぜなに?に真摯に向き合いそして、勉強に活かしていくには、そしてそうなるように仕向けるには大人の皆さんの協力が必要不可欠です。これまでの事柄はあくまでも勉学に対するファーストステップ、つまりきっかけ作りでしかありません。そのきっかけをぜひとも皆さんで活かしてほしいと思うんです。
 これは他のゲームにも通ずるものがあると考えています。テトリス、ドラゴンクエスト、スプラトゥーン……。どのような分野であってもおそらくきっかけとなる何かがあると私は信じています。
 例えば、単純な対戦ゲームであったとしても勝ったり負けたりするので、負けたときなどの情緒の安定のさせ方を覚えたり、強くなるためにはどうしたらいいだろう?  という思考はテストにおける振り返りと一緒です。
 最後に……ゲームは善の面も悪の面もあります。そこでアメリカのプロゲーマーで世界で最も影響のある100人にも選ばれたことのあるNinjaさんの発言で〆たいと思います。
『まず当時やってたアルバイトと大学をちゃんと続けながらHALO(ゲーム)の大会や配信を頑張ったんだ。将来のことも考えて学校でしっかり勉強したよ。良い成績取ったりサッカーも頑張ったり、努力したらたくさんゲームする時間も許されたんだ。子供たちよ、全てを辞めてゲームで生活することに専念するのはダメだよ』

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