ソープくんの話

ソープくんは、大学の同期だった。学部と学科が一緒。それは、サークルに入って知り合ってから、知ったんだけどね。
俺はサークルには、入学式の日に入会した。入学式終わって、学内歩いていたら、そのサークルの会員募集の貼り紙と受付してる研究室の名前が書いてあったのだ。
新入生だから、研究室の場所は知らなかったが、研究棟にあるのは学内案内図でわかった。そこで迷いながら、行ってみると先輩5人とソープくんがいたのだった。
つまり、新入生の入会1号がソープくんで、2番が俺だったのである。
その日は、他にサンマが入会して来た。
入学式の日の入会者は、この3人だけだった。
ソープくんは、お風呂の人では無い。この当時はまだソープランドと言う名称は、存在していない。その特殊浴場は、まだトルコと呼ばれていた。数年後に問題にされ、るーとこ、ソープと呼ばれるようになったけど。
このソープくんのソープは、洗剤の事である。

俺はソープくんとは、意気投合して仲良くなった。
学科が同じだったから、必須の講義が多い。だなら、教室で一緒になって隣に座ったりしていた、
講義終わってから、電車1本は新宿だったが、いろんな駅のケンタッキーフライドチキンを回った。俺もソープくんもケンタのチキンが好きだったのである。
大学のある駅にはケンタッキーフライドチキンは無かったが、2つ隣の駅にはあった。最初、そこに行ったが、ソープくんが、いろんな店舗に行ってみないか?と言うので、地方出身の俺は頷いたのだ。ソープくんは都内の出身で、勿論高校も都内だったから、ケンタの店舗にも詳しかった。
主に行ってたのは、池袋と上野のケンタッキーフライドチキンだった。
ソープくんは、当時はまだあった赤羽線の沿線に住んでいたから。今は埼京線だけどね。だから、俺は結構赤羽線にも乗った。
ソープくんの自宅に泊めてもらったりしてたからだ。ソープくんは、高校生の妹さんと両親と住んでいた。泊まった翌朝は、ソープくん憲子お母さんから、朝食作ってもらったりしたなぁ。

ただ、2年になって俺もソープくんも自分で別サークルを立ち上げて、そちらの活動をメインにしたから、遊びに行く事は無くなった。行っても2人だけではなく、他の人も含めて飲みに行く、そんな感じだったのである。
ただ、大学には自販機が10数台とハンバーガーやパスタの軽食を出していて、ソファーがたくさんあるサロンと呼ばれる場所があった。
サロンに行けば、誰か知り合いや友達がいたのだ。
1限から来てる人が、場所取りしていた。
俺は大学に歩いて行ける場所に住んでいたので、1限無い日も1限前に大学に登校して、サロンの場所取りをしていたw
昭和だから、まだ喫煙者は普通にいたから。だからサロン内は禁煙では無い。
そして、未成年喫煙とかも普通だった。高校生の喫煙は、補導されたが、高校卒業したら飲酒も喫煙も社会的に認められていた。
警官でも新歓で潰れるまで飲ませたりしていたし、これは同級生だった高卒で警官になった人から聞いてる、また大学でも新歓で教授も一緒に飲んでいたから。
また夏休みに中学の同窓会したときは、みんなまたほとんど18だったけど、元担任教師同伴でみんな酒飲んで煙草吸っていたから。
ちゃんと〇〇中学何年卒業何組同窓会と予約して、店の前にはそれが書かれていたし。

サロンに戻ろう。
ソープくんはまだ日本で発売されてないゲームを輸入販売してるショップで買って、説明書を自分で和訳してそれを書いて周りに説明して、そのゲームをやったりしていた。
またトランプもやってたから、サロンでの暇つぶしには良かったので、俺も参加していた。たまに隣に座っていた見知らぬ人も誘って、トランプしたりもしていた。知らずにトランプやった人が、後日「私は電波で見張られている」とかのヤバい系の貼り紙を大学の休講とかの情報知らせる掲示板の近くに模造紙に書いて貼っていた事もある。その時になって、ヤバい人と遊んでたのだ、と知ったw
何の被害も無かったけどね。

ソープくんに話を戻そう。
ソープくんは、同期で同じサークルのマドンナだったマージョと付き合い始めた。マージョには、過去に5人の同期と先輩が告って断られていたので、その子と付き合ったソープくんは、一躍英雄になったのでした。
これは3年生の時。
ソープくんは、自分を持っていて、リーダーシップもある人で、後輩からも慕われていたのだ。
そんなソープくんを見て、マドンナのマージョは付き合うことになったのである。
ところが、ソープくんはマージョに溺れた。一緒に歩いているときは、ベタベタとくっついていた。そして、マージョが機嫌悪くすると、「俺が悪かったのかよぉ〜?ごめんよぉ〜」と言っていた。これは俺も後ろを歩いていて、本当に聞いたから。
為にソープくんは変わり、後輩からも「ソープさんは、堕落しました。変わっちゃいましたね」となげかれていたかのだ。

そして、数ヶ月後にソープくんは、マージョにフラれる。
未練タラタラのソープくんは、復縁しようと足掻く。
で、夜にマージョに電話したのである。
「なぁ、洗剤飲んだら死ねるんだって。俺今から洗剤飲むよ。やり直してくれたら、飲むのやめる」
だが、マージョは非情に断るのであった。
するとごくごくとソープくんは洗剤を飲んだのである。食器用洗剤だから、死ぬわけはない。野菜洗うのに使える食器用洗剤である。それで死んだら、野菜洗って死んでる人が山積みだろう。

ソープくんは、無傷だった。
だが、この洗剤事件は、すぐに広まった。ソープくんは他人に話すわけは無い。
そう、マージョが翌朝には大学で話していたのである。自分はこんなにもモテる的な自慢。
この話を聞いた俺たちは、彼のあだ名をすぐさまソープくんにしたのである。
ソープくんは、他人に知られている事は、知らないでいた。

大学4年の秋口、みんな内定がほぼ出揃った頃。
友人のKが内定出て、誕生日だった。
それで俺たちは、大学の学食でビール🍺を飲んでいた。16:00からはビールと焼き鳥とかも出ていたから。
ビールは瓶ビール。
俺たちは祝いという事もあり、どんどんビールを追加して飲んでいた。
俺たちを見かけて、仲間に加わる友達もいた。
野郎しか来ないのでw、俺は酔ってるので、サークルしてるマージョをその使ってる教室まで行って、拉致して来たw
ま、普通に本人が歩いて着いて来たのだが、来てよぉ〜と連呼して、呆れて来てくれたカンジ。
マージョが一緒にいたら、過去にマージョに振られた男が来たりした。
俺はマージョの肩を抱いて飲んでいたら、暑いと突き飛ばされたw俺は過去に振られた男がいるのを知って、「振られちゃったよ、でも俺はSみたいに何度振られても良いもん」とまたマージョの肩をだくのだった。Sはその振られた男。
居た堪れなくなり、Sが居なくなると、マージョは「Sくんは、一度じゃ無いよ。5回は振ってるから」

その後ソープくんも参加して来た。
俺はベロンベロンだったから、ソープくんを見つけて「俺はHじゃないから、洗剤は飲まないぞ。ビールだけだ」
この発言で、場が凍りついたw
みんなに知られてることを雰囲気で察したソープくんは、立ち去るのだった。
つーか、大学の学食で、ベロンベロンなるまで飲むなよなw
学食は18:00までだったから、もうおばちゃん達は、椅子をテーブルに乗せて、掃除始めていた。
そんな中、俺たちのテーブルだけ、まだ6人くらいで飲んでいたのである。
流石に「おばちゃん、ビールちょうだい」の声には、もう営業終わりだからと出してもらえなくなったけど。

今思うと、ソープくんには、悪い事したなぁ。
ま、よっぱっぴーだったから、誰も気にしなかったから。
多分ソープくん以外には。それが一番の問題だろう、と今は突っ込めるけど。

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