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旅と川とカップヌードル

夏休みの旅行に来ている。

プール付きだということで選んだホテルであったけれど、旅行直前になってプールが故障したとのこと。さて困った。夏のホテルの楽しみといえば、プールと部屋と大浴場の往復ではなかろうか。プラスαにちょいと観光に行くぐらいのスパイスがあれば何日でも居てられる。

しょうがないので、Googleマップで近場のプールを検索しておこうか。公営のプールでも充分喜ぶ夫と3人。屋内だと夫からブーイングが来るから、外で。

ホテル周辺で『屋外プール』と入れて検索する。思ったようにはいかない。近くにない。車で1時間……。さすがに旅行中に行くには遠すぎる。

屋内でもいいかと『プール』で検索する。……あれ? 川にプール? どうも河川プールとでもいう、比較的安全な川の一部を区切って駐車場やトイレ、更衣室を整備したところみたい。車で30分。まあ、許せる範囲。旅行中、ぜひ行ってみよう! マリンシューズをAmazonで慌てて購入して車のトランクに詰め込んだ。



晴れた夏の空。まだまだ日差しは強く、外にいるとうんざりするくらい暑い。もう何日も晴れが続いてるけど、川の水は少な過ぎず多過ぎずだ。雨降らなくてよかった。川って怖いイメージだもの。

透き通った水。緩やかな流れ。そっと足を入れる。冷たい。深くても腰くらいで、地元へ里帰り中と思われる小学生低学年くらいまでの子連れの家族がいっぱい。うちの子はちょっと大きいけど、すぐ飽きるかな?と見てたら、川は生まれて初めてだからか大興奮。魚がいる! 川底の石も珍しいみたいで延々と観察してる。

ほてった体に冷たい川の水が気持ちいい。全身濡れると寒くなりそうだから、腰くらいまでで、いい感じの日影の岩を見つけて座る。静かにしてると魚が何匹も近くを横切る。小さい魚、中くらいの魚。柔らかく風が吹き抜ける音。水音。ちびっこの声。上流の水の、日光に反射して光る感じ。遠くの山の深い木々。深呼吸。

プールにはない、自然に溶け込むような心持ち。


午前中ちょこっと1〜2時間くらいのつもりで行ったら、大ハマり。気づいたら14時過ぎてる。朝、ホテルでできるだけお腹に詰め込んだとはいえ、皆お腹空かないの? お母さんは疲れてきたなぁと思っていたら、胃の容積の小さい三男がホテルに戻りたいと言い出した。これは遊びに夢中でお腹が空いてるのを自覚できずに急激に疲れて機嫌が悪くなってきているやつ。やばい。食べ物何も持ってないから、早々に食べに行かないと。

更衣室の壁に張り紙。近くの入浴施設でカップヌードルやアイス売ってます。ええ!? 最高やん。

お風呂は利用せずに売店利用したいです、と受付のおじさんに断りを入れる。慣れてるんだろう、「はいはい、どうぞ」と入れてもらい、皆好きなものを購入し、ポットのお湯を入れる。川で遊んでお腹ペコペコで食べるカップヌードルほど美味しいものはなかろう。3人にっこにこ。私はクリームパンを発見し、買ってしまった。この世のものとも思えないほど美味いクリームパン。甘いカスタードクリーム、表面がちょっと光ってるふわふわのパン。絶妙な配分。体に染み込むようだ。ああ、幸せ。


ホテルのプールが故障したおかげで、こんな経験できた。一見不幸に見えることも、あとから考えたら幸運に変化するの、ほんとにありがたいなぁと思う。すべての精神的疲れが浄化されたわ。

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