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東京宗教建築散歩 3

シャレオツ東京カテドラル

●スケジュール
9:00:朝食/カテドラルにちなんでバチカンがあるローマの朝食スタイル、カプチーノと菓子パン、コンビニでも組み合わせられるお手頃ローマスタイル
10:00:東京カテドラル・聖マリア大聖堂/結婚式もできちゃう、日本のモダニズム建築のスーパーヒーロ丹下健三を堪能する
12:00:昼食/ジャーミー見学前にトルコ料理とトルコ菓子
13:00:東京ジャーミー/イスタンブールにテレポーテーション
15:00:日本ユダヤ教団広尾/華麗なる一族が手掛けた在ユダヤ人コミュニティーの拠り所 
18:00:夕食/ユダヤ教のご飯の定番コーシャを食べたいが難しいので、イスラエルの定番ファーストフード、ファラフェルサンドにしてみた

 午前中に日本が誇るスーパー建築家丹下健三氏が手掛けた東京カテドラル聖マリア大聖堂を目指す。東京23区で唯一山手線の内側にすっぽり入る(細かく言えばほんの一部だけ山手線の外側に出ているらしい)文京区は東京大学もあり、名前からもわかるように「文」が集まる街である。

 そして、その文京区に鎮座しているカテドラルが目当てだ。そもそもカテドラルとはキリスト教カトリックで、周辺一帯(教区)の一番権威のある大聖堂のこと。司教座を有する大聖堂である。カトリックの大聖堂で最も権威があり有名なものはバチカン市国にあるサン・ピエトロ大聖堂となるが、それもそのはずカトリックで最も権威のある法王が鎮座するわけで当然そうなる。所変わってこの東京文京区にあるこちらのカテドラルは、日本にある東京教会管区、大阪教会管区、長崎教会管区3つの教区のうちの一つであり、簡単に言えば日本で最も権威ある3つの教会の一つといえる。

  このカテドラルが建てられたのは1964年。それ以前にあった大聖堂は第二次世界大戦時に焼失。ドイツのケルンから多大な貢献を受け献堂されたのがこの大聖堂となった。建築を担ったのは、あしたのジョーのトレーナーでおなじみのおやっさん、世界的スーパー建築家の丹下健三氏である。丹下氏は国立代々木競技場、東京都庁舎などの建築で知られ、サウジアラビア王国の宮殿なども手がけた。その功績は「フランス建築アカデミーゴールドメダル」や「アメリカ合衆国AIAゴールドメダル」、「高松宮殿下記念世界文化賞」など数々の賞を受賞し、「文化勲章」、「レジオンドヌール勲章」、「ローマ法王庁聖グレゴリオ大勲章」などの章を受章し、さらに東京大学名誉教授にもなったスーパースターの御仁である。つまり日本建築界では大谷翔平超えである。

 建築好きなら言わずもがなな御仁ではあるが、この丹下氏が手掛けた東京カテドラルが誠に簡素でそれでいて素晴らしく美しい。カトリックの大聖堂というと、どちらかといえばものすごい装飾できらびやか、そしてその建築もまた西洋建築史の代名詞となっているほどである。しかし、この建築はそうした概念を覆しつつも、畏敬の念をいだかせる。

 西洋建築といえばビザンツ、ロマネスク、ゴシックとその様式はカトリックの大聖堂建築史と言っても過言ではない。ビザンツ様式ではイタリアのサン・マルコ聖堂、ロマネスク様式ではフランスのクリュニー修道院、ゴシック様式ではドイツのケルン大聖堂など時代を代表する建築は全てカトリックの聖堂である。ではこの文京区の大聖堂はというと、装飾は多くなく、むしろ建築物そのものが洗礼された装飾のように見える。では様式はというと伝統的なビザンツ、ゴシック、ロマネスクのどれにも属さない様式、ジャパニーズモダニズム建築様式といったところか。

 そもそもモダニズム建築を日本語にすると近代様式建築、つまり近代シャレオツ建築だ。その誕生には、近代の工業化がある。ものすごい暴力的で稚拙な説明を交えると、近代大量生産時代の主役である工場で建築鉄筋資材を大量生産するには、直線的な加工を沢山使ったほうが工場稼働効率が良い。したがって直線的な鉄筋資材を建築デザインに取り込むほうが良いとなる。そして、そんな鉄筋を包み込むのが、レンガや石といったものからのフリーダムとなる資材、コンクリートである。コンクリートは非常に便利で、建築家の思い通りの形になってくれる。これらを用いた、新時代である工業時代を見据えて「鉄は国家なり」の宰相ヴィスマルク工業国家ドイツに生まれた工業時代の芸術を提唱するバウハウス芸術学校が絡んでくる。

 その流れを組み、これを世界で称賛されるまでに底上げし、上り詰めたのが、世界三大建築家の一人であるル・コルビジェだ。そしてコルビジェに傾倒し、その弟子である前川國男の事務所の門を叩いたのが丹下健三氏であった。つまり、彼はジャパニーズモダニズム建築の申し子でなのである。また、彼の葬儀はこの聖マリア大聖堂で行われたこと、ローマ法王庁からの大勲章などを受賞したことからもわかるように、彼はクリスチャンであった。そうした背景を持つ人物だからこそ、この大聖堂のように神への畏怖や美しさを再解釈し、時代に合わせ再構築できたのかもしれない。こうして再び東京カテドラル聖マリア大聖堂を観察してみると・・・・うーんシャレオツ。

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)


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