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このもつ焼き屋のタン刺しのおかげで1週間生きられた【生き飯シリーズ #1】

皆さんごきげんうるわしゅう。
歩くミシュランこと、イチジョウコウタです。
ひとつよしなに。

これといった趣味もなく、美味しいご飯を食べる事だけを至上の悦びとするたれ目。
それが私。


たれ目ミシュランマン。

やぁ

ある日私は例の如くしょぼくれていた。
アルバイト先の喫茶店にて、ショボボ顔でコーヒーをチョボボ…と淹れていた。


はぁ。。。
これといった理由は無いけど、なんかもの悲しい。
なんだろこのズシリとした気持ちは。。


定期的に訪れるこのしょぼくれ、本当にナンセンスで救いがない。




しかし長年イチジョウという人間をやっている為、そのしょぼくれは変更不能の仕様であり、また簡単に解消できないと知っている。


こんな時はあれだ…‼︎


「ラーメンだ。」


店内に響き渡る美声でそう呟いて先輩に叱られると同時に、私はその夜ラーメンを食べると固く決意したのであった。


むしゃくしゃした時、私が食べたいラーメンは家系か二郎の2択と決まっている。


体の内側から溢れて止まらぬ私の暴力性を受け止められるラーメンはそれらの他ないのだから。

逃げても無駄だよ

バイトを終え軽快な足取りで店を後にし、1匹の狼は中野へ向かった。


今夜の獲物となるのは、中野にある二代目武道家だ。家系…家系をよこせ…。
家族になろうよ…!


男の血走ったたれ目がたれすぎて縦になった頃、その店は現れた。

この店構え。たまらんでしょうに。

"もつ焼き 山本"


ぐわあぁぁっ…‼︎
入りたすぎる…‼︎



なにこの溢れ出るいい店感。
絶対美味しいじゃん。
もう入らなくても美味しかったもん。
ご馳走様。


しかし今日は家系ラーメンを食べると決めたんだ。
上層部の決定は覆らない。


ぐぬぬ…うわああん!!


私は山本に背を向け走り出した。
決して振り返らないように。
鷲掴みされた後ろ髪を出刃包丁でバッサリと切り落として泣きながら走った。

そしてついに辿り着いた。
二代目武道家。


店内には大学生やサラリーマンがぎっしりと詰まっている大盛況ぶり。
そこにこだまする「せいーっ!」のかけ声。

これこれ。家系はそうこなくっちゃあ。


激ぺこちゃんの私は特製ラーメンをチョイス。
席について食券を渡し、硬め濃いめでオーダー。


店員さんのせいーっ!に合わせて小声でセイーッのコラボをさせて頂いているとあっという間に着丼。

特製ラーメン,ライス

これを。これを求めていたんだ。


卓上に鎮座しているだけで濃厚な豚骨臭が鼻腔をくすぐってくる。もう待てはきかない。

いただきます。

まずはスープをひと口。
想像以上にドロリッチな豚骨が前線を張り、後からキリリとしたかえしが追いかけてくる。

これは…

病み病みyummy‼


めっちゃ美味しいって事です。
説明さすな。察してくれ。


続いて濃厚スープから縮れた麺を引き上げ、勢いよく啜り上げる。ウマイ。



ご存知酒井製麺製の縮れ麺は濃厚スープの持ち上げも良く、そこにどっさりと盛られた九条ねぎを絡めて啜ると爽やかさがプラスされ言わずもがな。


家系におけるほうれん草やねぎ。
二郎におけるヤサイ。
チャンスの時間における西澤アナ。
POP YOURSにおけるピーナッツくん。


それ即ちオアシス。

ピーナッツくんはちょと違うか。


以前早稲田の武道家も食べた事があったが、私はこちらの方が好みかもしれない。
一見おもたそうな一杯だが、豚骨と醤油のバランスが良いゴクゴク飲めるヤツで困る。



血走った縦目はすっかり愛らしいたれ目に。
この世の全ての食材に感謝し、大満足で帰宅した。

今パトカーくらいなら持ち上げられる気がするわ



その日私は家に着き、気を失う様に眠りについた。
いわゆるドカ食い気絶部。


まぁおいらくらいになると部に所属なんてせず、野良でやらせてもらってますけどね。


ドカ食い気絶野良。


それから1週間が経った。


しょぼくれは消えていなかった。



おかしい…。あの日の二代目武道家で、形を持たないしょぼくれは退治したはず…。

どうして?


いや、きっと最初からわかっていた。

ゴゴゴ

気がつくと山本の前に立っていた。


この1週間、頭の片隅にはいつも山本がいた。
いつも山本を探していた。


向いのホーム 路地裏の窓
こんなとこにいるはずもないのに



思えばあのしょぼくれは、私ともつ焼き山本を引き合わせてくれたキューピットだったのかも。


映画インターステラーよろしく、見えない彼が私に何かを伝えようとしていたのかも知れない。


前回映画の感想でもnoteにしようかと言っていたが、気づけばもつ焼きについて書いていた。


変な形で映画の話しちゃった。


味のある暖簾をくぐると、店内はカウンターが10席程度と掘り炬燵のテーブルが2つ。
店主とおじさん達の心地よい話し声ともつ焼きの香ばしいモクモクがお出迎えだ。



掘り炬燵に通された私は迷わずビールと"あれ"を注文した。

ハツ刺しとタン刺し


刺しが好きだ。



というか生肉全般に目がない。

刺し、ユッケ、たたき。
この文言を目にしたら反射的に入店する体になってしまっている。



生粋の生男。
A true raw food man.


見ただけで鮮度の良さが伺えるタン刺しを、ニンニクちゃん少し乗せてやり醤油につけてぱくり。


サクコリっとした食感の後に、舌の上でほどけるお肉のやさしい甘み。


断言しよう。

このタン刺しの為にこの1週間を生きた。生きててよかった。


脳内ではフラワーカンパニーズが絶賛熱演中だ。



ハツ刺しはあっさりとした味わいで、ついつい瓶ビールに手が伸びてしまう。
あぁ。ハツとタンを交互に攻める喜びよ。


気持ちはさながらヒロアカの轟くん。
個性、半ハツ半タン。

※半冷半熱の轟くん


ちょっと待ってくれ。


長くないか?


要約すると、ラーメン食べに行く時に見かけたもつ焼き屋が最高だった話だ。


現時点で2300字くらいあるぞ。


食に対する熱意えぐいって引かれるわ。


今までのnoteで1番長いぞ。

コンビ解散より余裕で長いぞ。
いい加減にしてくれ。


というわけでその後の注文はダイジェストでお送りさせていただく。同じテンションで書いてると5000字が見えてくる。

もつ焼きのタンとハツ。ディズニーとかもこれ売っててくれ。
もつ煮込み。私が死んだら仏壇にはこれを。
レモンサワー。スッキリと飲みやすい。
汚泥のような私もこんな人になれたなら。
もろきゅう。大人の遊び心が。
次号POPEYEの表紙はこれで決まり。


とまぁ、最高の飲み屋さんでした。
特に刺しともつ煮込みが美味しかったです。


もつ煮は味噌がしっかり効いた濃厚なもの。
もつ煮ひと口=瓶ビールのグラス1杯の等価交換。


このようにそのご飯を食べる為に生きれた、またはそれを食べたことで生きれた日々がある。


そんなご飯を生き飯と呼ぶ。



私が勝手に呼んでるだけです。
お友達やご両親にしたり顔で「これは生き飯だわ」とか言わないでね、村八分にあうから。


生き飯シリーズ、始動です。



これから生き飯に出逢えた時に、更新していきます。あなたの生き飯も教えて下さいね。


フォローしてくださると小躍りします。
ちょっと頑張れます。

ほにゃにゃ。

◆執筆中に聴いていたグッドミュージック◆
rinse in shampoo / showmore

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