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【準備編】4日間で25フライトした話

予定作成第一段階

そもそもの発端

筆者は元々鉄ヲタで、乗りつぶしを継続中である。
航空についても積極的に飛行機に乗ったりするようになったのは最近だが、見るのが好きとかそういう程度であれば幼い頃に成田空港の航空科学博物館に行ったり、あるいは羽田空港に行ってカラフルなJAS機が来ると特に盛り上がったりしていた。
鉄道の乗りつぶしはまだ道半ばとはいえもうそろそろ乗っていない路線を挙げる方がずっと楽な程度にはなっていて、じゃあその次はということを考え出す。…といえば聞こえは良いがつまり何か別のテーマが欲しくなった。
さすがに航空路線全制覇はハードルが高い、しかも路線の新設や廃止が鉄道路線に比べると珍しくないのでどうにもピンとこなかった…そうなると航空の場合次に出てくるのが「全空港制覇」ということになる。
空港の制覇と言っても人によって解釈はいくらでも成り立つ。バスや鉄道でその名が冠されたバス停や駅を通ればOK、流石に乗り換えなどで降り立ちたい、いやいやターミナルビルに入るべきだろう、最右翼としては往復利用しラウンジにも入るべきとなるだろうか。ひとまず私は搭乗降機どちらかで航空利用を基準としている。

空港っていくつあるの?

この記事を執筆している2023年2月現在国土交通省によると97箇所の空港(ヘリポートおよび非公共用飛行場を除く)が日本国内に存在している。

A.拠点空港にカテゴライズされた会社管理空港や国管理空港、特定地方管理空港は誰もが知っているか、あるいは空港があるということが容易にイメージできるだろう。どの空港も複数の路線を擁して国際線発着がある空港すら珍しくない主要空港だ。しかし続くB.地方管理空港はどうだろうか。そろそろ大まかな位置が覚束ない人が多くなってくるのではないだろうか、そりゃこれくらい暗誦できて当然という人もいるだろうけど。
C.その他の空港およびD.共用空港も人によってハードルはかなり変わってくるだろう。ミリタリーに造詣の深い人なら共用空港には見慣れた名前がずらりと並んでいるだろうし。
さて、上記リンクを見ると各社の航空路線図で見るような空港とそうでない空港があると気付くだろう。B.地方管理空港には定期便が運航されていないところが複数あるので以下に示す。

北海道地方
礼文
東北地方
なし
関東地方
なし
中部地方
佐渡 福井
近畿地方
なし
中国地方
なし
九州地方(沖縄県を除く)
小値賀 上五島
九州地方(沖縄県のみ)
慶良間 伊江島 波照間

以上8箇所の空港は通常の方法では探訪不可能と考えると、一般的な旅行者が訪れることが出来る空港は2023年2月現在で日本国内に89箇所ということになる。

アイランドホッピングツアーってのがあったんだけど

都道府県単位で見た場合に一番空港が多いのは沖縄県で、その数は13箇所になる。日本国内の空港の13%強が沖縄県にあるという計算だ。さらに面白い特徴がある。その沖縄県内の航空路線および隣接する鹿児島県の離島便がいずれも歴史的経緯からJAL系列の日本トランスオーシャン航空(←南西航空)と琉球エアーコミューター、そして日本エアコミューターによって運航されているという点だ。もちろん那覇ー石垣のような便数の多い路線で他社が参入していることもあるが、JAL系列の航空会社のネットワークは目を見張る物がある。
そして離島便というのは概して経営が難しい傾向がある。需要が限定的かつ減少傾向にあり生活路線としてあまり高価な運賃を提示できず、燃油価格が高騰し高速船がライバルとして立ちはだかることも多い。JALとANAがコードシェアを始めたと世間を騒がせた地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合(EAS LLP)もそれに対する答えの一つである。

https://press.jal.co.jp/ja/release/202208/006869.html

そんな離島路線の集客のためにJALグループではアイランドホッピングツアーが以前発売されていた。

https://www.jal.co.jp/domtour/oka/island_hopper/

航空会社のツアーとしても珍しい「フライトそのものを楽しむことが目的のツアー」で、現地での観光時間を設けていないと但し書きする様は一種の潔さすらも感じられる。上記リンク先の行程表も時刻表片手に見るととても空港を出てビーチを楽しむような余裕なんてないことが分かるだろう。裏を返せば泳ぐのに不向きな季節であっても飛行機が概ね定刻で飛んでくれれば満足というこの手のニーズは繁閑差を埋めるのにもってこいの存在と言える。
かくいう私もビーチで波と戯れビーチバレーに勤しむような性格ではなく、まさにこのツアーにもってこいの存在だった。

刺客(?)JALダイナミックパッケージ

しかし上記のツアーは2022年秋をもって発売終了となり、以後はJALダイナミックパッケージに変更となった。フライトとホテルをまとめて予約し、追加で乗りたい場合自分で航空券を適宜買い足してくださいというわけだ。

https://www.jal.co.jp/jp/ja/domtour/jaldp/shuyu/

最初に知った時はショックではあったが、しかし見方を変えればJALグループに限らず多様な航空会社の利用ができるためスケジュールをより自分好みに変えることが出来る。実際この後のスケジュールでおわかりいただけると思うが、上記ツアーのいずれかとして行っていた場合訪問不可能な場所を訪れることも出来た。難易度が多少上がってはいるがこのようなツアーが想定している顧客は概ね旅程作成にも明るい層であると考えられ、総じて見ればこのダイナミックパッケージは後継者として相応しいのではないだろうか。

さていくつの空港に行こう

ここでようやく旅程作成になる。全行程は仕事との兼ね合いなどを考えて土日を含む4日間、乗り継ぎが極めて多いスケジュールであると考えると荷物を機内持ち込みサイズ(それも主に搭乗するであろうプロペラ機サイズ)に抑え込みたいという要求もありこのくらいが上限だろう。JALダイナミックパッケージを使用するということで出発および最終目的地は同じ箇所にしなければならないためこれは半ば消去法的ではあるが羽田空港になる。このパッケージを使う上で唯一使いにくいなと思ったのがここなので、ここまでトンチキを極めなければ制約を感じさせない自由度の高さがうかがえる。
行きたい空港は概ね鹿児島空港以南全ての空港とするが、最低限押さえておきたいところとしては先のホッピングツアーで出ていた沖縄エリア8港とした。次いで同じく沖縄エリアにしてJALグループの就航こそないものの比較的便数が多い下地島空港、鹿児島空港から那覇空港までの間にある各空港…ただし屋久島空港と種子島空港は奄美大島方向に抜けるルートがないので今回の旅程に組み込むのはおそらく困難…と考え、まずはダイナミックパッケージで押さえられる基礎的な便と1,2泊目のホテルを予約した。以後はこれを基に追加で航空便とホテルを組み込んでいくという想定である。
その他、訪れておきたい場所としてゆいレール全線乗車があった。どこかで2時間位那覇空港滞在時間が要るだろう。

第二段階に向けて

この段階でできた予約

昨年11月時点で行ったダイナミックパッケージの予約は以下の内容となる。
1日目
JL905(羽田発那覇行)
NU847(那覇発北大東行)
NU736(北大東発南大東行)
宿泊:ホテルCoCo新都心
2日目
NU551(那覇発宮古行)
NU891(宮古発多良間行)
宿泊:ホテルCoCo新都心
3日目
NU721(那覇発与那国行)
宿泊:なし
4日目
JL918(那覇発羽田行)

予約のねらい

実はここまでの基本的な行程についてはアイランドホッピングツアーの2泊3日13フライトコースの引写しでしかない。初日は羽田から那覇に飛んで大東回り、2日目に多良間に向かい3日目は与那国に向かう。元々のコース自体が効率最重視のものだからまずはこれになぞらえてルートを決めて行きたい空港をまず押さえ、それ以降を自分で肉付けしていこうというわけだ。
1日目は847便に間に合うことが一番重要である。乗り継ぐだけなら907便でも可能ではあるだろうけれどある程度は時間に余裕が欲しい。次に那覇に戻ってくるのは17時近くだから乗継前に昼食も摂っておきたいので無理のない範囲で905便とした。
2日目は多良間に行くのが主目的だ、それ以降はその後に決めることとする。3日目もほぼ同じく、とりあえず与那国を訪れる。それ以降は那覇に戻るなり石垣に行くなりで考える。最終日はほぼノープランなのでホテルも後日自分で確保すればいいやと後回し。
最終日はなるべく滞在時間を確保しつつ一応無理のない時間に帰宅できる時間の便を押さえた。
最後にホテルだが、これは純粋に費用とアクセスで決めている。このような行程である以上滞在時間は限られているため空港から早く確実に到着できて、早朝便に問題なく乗れるという機能が満たせれば必要十分となるためだ。ゆいレール沿線から良さそうなところを選択した。
かくして基礎的な行程は固まったので、あとを追加していく。

予定作成第二段階

1日目編

この日の追加要素はそこまで多くはない。那覇に帰って、あとはせいぜいどこか往復できるかどうかというところになる。翌朝も早いので、以下3便の追加に留まった(6フライト/日を少ないというかはともかく)。
NU868(南大東発那覇行)
NU881(那覇発久米島行)
NU884(久米島発那覇行)
久米島ではそのまま帰るのではなく「段落とし」してNU884とした。売店の様子など見られればなと考えた次第である。

2日目編

まず多良間から宮古に帰るわけだが、そこから石垣に向かうか那覇に戻るか、いやいや下地島に向かうなんていう手もあるもののこの日はとりあえず那覇に向かい、奄美方面を目指すことに。沖永良部に行って少し滞在時間を設定、直行便で鹿児島空港に向かう…とJALグループの便ではもはや当日に那覇空港に帰れる便はない。福岡経由なら最終便はNU065が21時近いが、18時に鹿児島空港に居るようでは新幹線経由ですら間に合わない。
しかし大きな問題ではない、ソラシドエア85便を利用することで21時過ぎに那覇に戻ることが出来るのである。実はこの旅行に先立って鹿児島から那覇まで空路と船便の時間をまとめた時刻表を自作しており、このソラシドエアに間に合うように鹿児島を目指せば良いという想定でスケジュールを組んでいたのである。鹿児島空港での滞在時間は1時間半程度あるので夕食をここで済ませて那覇に着いたらすぐにホテルに戻って寝ることが出来る。翌朝も早いのでありがたいところだ。
追加便は以下の5便、合計で1日7フライトとなかなか濃厚なスケジュールが完成した。
NU892(多良間発宮古行)
NU558(宮古発那覇行)
JL3715(那覇発沖永良部行)
JL3808(沖永良部発鹿児島行)
6J85(鹿児島発那覇行)
ちなみに船便の時刻を見ていると以下に気付いたというおまけがある。

自分個人でもいつかこの辺りを船と飛行機で組み合わせて旅したいという思いがあるが、誰かの愉快な旅程作りに資することができれば幸いである。

3日目編

この日が一番楽というか、面白がって作れた気はしている。別に帰りは那覇でなくてもいいので朝与那国に着いたらあとは好きに組めるわけだ。まず石垣に行って次は那覇だろうか?いやRACで宮古に行くという手もある。しかもそこからバスで下地島空港へ移動すればスカイマークで那覇に行けるじゃないか!!是非どこかのタイミングで行きたいと思っていた下地島に行けるとなるとこれをやらない手はない。更に宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋も渡ることができ旅程の効率も上がる。
那覇に着いてからは翌日出来るなら鹿児島から那覇の間の空港を回りたいのでそう考えると鹿児島入りを前提としたい。この時間なら福岡空港に行っても新幹線で当日中に鹿児島中央に行けるので翌朝鹿児島空港に行くことも十分可能だ。ただ夕食の時間を確保したいこと、また空港前のホテルを利用したかったためソラシドエア86便を利用して鹿児島空港に向かい駅前もとい空港前のかごしま空港ホテルに宿泊するという旅程を選択した。今になって思うと本当にこれで正解だったとしか言いようがないわけだが、それはまた当日編で…
追加便は以下の4便、3日目は5フライト/日というおとなしい日程となった。
NU742(与那国発石垣行)
NU832(石垣発宮古行)
BC546(下地島発那覇行)
6J86(那覇発鹿児島行)
ホテル予約:かごしま空港ホテル(by楽天トラベル)

4日目編

こうなると残りは最終日、これまでの日程で消化してきたことを基にこの日にやりたいことをまとめると
・奄美諸島の空港をなるべく回る
・ゆいレール乗車時間の確保
・可能なら奄美大島↔喜界島の短距離便に乗りたい
以上3点になる。
鹿児島空港から那覇空港に到着するJAC,RAC便は
与論空港からのJL3866,NU816と沖永良部空港からのJL3716の3便となる。
うち沖永良部は2日目に訪れているので与論からの前2者に絞られてくるが到着するのはどのみち奄美大島からのJL3861なのでその続きのJL3866を選択して那覇での滞在時間に振ることにした。RAC唯一の沖縄県外便になるので、いつかは乗ってみたい便なのだが…
JL3861で奄美大島を発つということでその前の時間もだいたい決まり、最終的には鹿児島→喜界→奄美→与論→那覇という経路が繋がった。帰りのJL918までの時間も十分確保し、那覇での滞在時間もかなり自由度が出来た。搭乗便は帰りの羽田行き含めて5フライト/日でゆったりした日程となった。

…と簡単に終わらないのが私というもので、一旦予約してみた後に時刻表を見てみて気が付いた。「あれっ?JTA運航の久米島便往復してもゆいレール行けるんじゃね?」
1日目に久米島には行っただろうってツッコミは至極最もだ、しかしそれはRAC運航便、こちらはJTA運航便。前者の使用機材はボンバルディアDHC8-Q400CCで後者はボーイング737-800だ。100kmに満たない路線で同じグループに属する会社、しかもこの区間はRAC便が所要時間35分でJTA便が40分、なんとジェット機で運航される便の方が遅いという世にも珍しい路線なのである。これはもう実際に乗り比べてみるしかない。気が付いたら予約決済更には座席指定を済ませていた。はい7フライト/日、更にはゆいレール乗車…あれこれってめっちゃ忙しい日程…
こうして追加便6フライトを入れて予定が完成した。
JL3783(鹿児島発喜界行)
JL3830(喜界発奄美行)
JL3861(奄美発与論行)
JL3866(与論発那覇行)
NU211(那覇発久米島行)
NU212(久米島発那覇行)

今回取り残したなあと思うこと

・屋久島,種子島,徳之島各空港に行きたい
・RAC与論便に乗りたい
・フェリーと組み合わせた旅行などはやれないものか
・第一航空で粟国空港行ってみたい
・J-AIR運航便を行程に取り込んでみたい
総じて4日間の日程1つにしては入れたいテーマを入れられたものと自負しているが、それでもこのくらいは残ってしまった。忘備録ついでにここに記しておくものとする。

おまけ的なアレ

実行1日目は2/11だったのだが、その前日は首都圏で降雪があり一時はかなりの大雪になるのではという予報もあった。最悪どうにかこうにか蒲田辺りまで出れば翌朝の飛行機には乗れるななんて考えていたものの、幸い全くの徒労に終わった。いやはや…

実行編はこちら


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