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チェンソーマン前回連載(2024/9/4)の考察 「仲間」の銃の悪魔復活は宮沢賢治の「よだかの星」と関係があるのか?

お風呂のシーンで何も言わずに石鹸剣をヨルは作っていた。前々回(2024/8/21の連載の感想)の記事で書いたが、これまでの戦争の悪魔の武器を作る力は、弱い順に段階を追って書くと「触れて(武器の)名前を呼ぶ」→「触れずとも名前を呼べば作れる」→「触れないし名前を呼ばなくても作れる」。

そして戦争の悪魔が「自分の仲間(子)」と言っていた「戦車」と「銃」に関しては、その仲間たちを体の一部に同化(両腕)させることができる能力がある。

二部の最初の頃、チェンソーマンに助けられて、枕を殴って悔しがるシーンで、ヨルは「チェンソーマンに負けて、体の一部を喰われた」と言っていた。フクロウのような姿になった時も、戦車や銃みたいな「仲間」=体の一部が、チェンソーマンによって奪われたのかもしれない。

戦車・銃・核兵器

ロシアのどっかの山から出てきたのが、おそらく銃の悪魔だろう。なぜ山にいるのかはよくわからない。ロシアの持っている本体の銃の悪魔だろうか。いやむしろ片腕くらいの規模ってことは、ロシア国内に散らばっている肉片よりは大きく、本体よりは小さい銃の悪魔なのかもしれない。

あと、二部の初期には戦争の悪魔(ヨル)が「待ってろチェンソーマン 核兵器を吐き出させてやる」と豪語していた。この核兵器も、戦争の悪魔の仲間の一人なのだろうか。

前回、「二つ(戦車と銃)あればチェンソーマンに勝てる」と言っていた。だから、戦車と銃の武器を使ってチェンソーマンを倒した後に、核兵器を取り戻すつもりなのかもしれない。ヨルがチェンソーマンから取り戻したいものがあると言っていたものが「核兵器」(の悪魔)なのかもしれない。

チェンソーマン12巻 98話『鳥と戦争』より

宮沢賢治『よだかの星』との関連について

ヨル(戦争の悪魔)は、ヨタカ(夜鷹・よだか)のような見た目をしている。(単行本コミックスのキャラ紹介では「フクロウ」のような見た目をしていると書いてあるが。)

アサの苗字も、三鷹とタカの漢字になっている。また、アサが孤児施設で飼い猫に名付けたクラムボンという名前も、宮沢賢治の小説からきている。落下の悪魔の力で、人々が空に向かって落ちていく描写は、クラムボンと関係があり、正確にはわからないが、たしか元ネタは泡が水面に上がっていく小説の挿絵か何かだと言っている人もいる。何かしら宮沢賢治の作品からオマージュはされている。

宮沢賢治の「よだかの星」

宮沢賢治の「よだかの星」では、容姿がタカとまったく違うのに名前に「タカ」の字がついているからという理由で、よだかはいろんな鳥からいじめられる。そしてタカ本人が、よだかではなく別の名前を名乗れとおどす。絶望したよだかは、空に向かってはばたき、その身が燃え尽きるまで飛んで死ぬ。

ソ連はタカ派という政治派閥がある?

また、チェンソーマンで、一部のだいぶ初期ごろに公安の高官みたいな人が、マキマに向かって「ソ連ではタカ派の声が大きくなっている」というセリフがある。周辺のセリフから推測すると、タカ派というのは悪魔を軍事利用しようとする政治派閥かと思われる。

チェンソーマン1巻より

これまで一部の考察記事も含めて何度かこのブログにもかいたことからも、前回ソ連の山から銃の悪魔がでてきたのは、ほぼ間違いない。アメリカの銃の悪魔はマキマに倒され、いちばん銃の悪魔の保有率が高いのはソ連。前回の連載で、ソ連の山から戦車が出てきたのか、銃なのかという二択に絞られた。おそらくメキシコの方が戦車で、ソ連の方が銃だろう。

そのソ連でかつて「タカ派」(悪魔の軍事利用を提唱する政治派閥)が増えてきていたのだが、山から銃の悪魔が出てきたということは今は政府が管理しているわけではなさそう。今は軍事利用はしていないのだろう。

よだかはタカをこえて孤独な星になる

戦争の悪魔は、一部の時は弱体化していたので、そのときは銃の悪魔をソ連が「タカ」として復活させようとしていたとも考えられる。しかし戦争の悪魔が強化されたいま、その力が銃の悪魔を凌駕した。つまり、「よだか」である戦争の悪魔は、タカである銃の悪魔をこえた。よだかの星では、「よだか」は最後たしか星になる。「よだか」は、孤独な運命をまっとうし、星という形で輝きつづける。そういう「よだか」の運命が三鷹アサに投影されているのかもしれない。

その他どうでもいいこと・口の悪魔復活

また、前回最後のコマで、口の悪魔がチェンソーマンから吐き出されている。銃(銃右腕鎧:ガンライトガントレット)の攻撃による衝撃で、吐き出されたのだろう。最後のコマではヨルにも口がもとどおり描かれている。

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