見出し画像

友達が好きになった人

看護学校時代に仲良くなったゆかりちゃん。
一つ年上で、学校でも中心的存在だった。
物事をハキハキいうので、女子の中では好き嫌いがはっきり分かれるような感じの人だった。

そんなゆかりちゃんのお気に入りが、Hくんだった。グループで何度か遊びに行って、いつのまにか、私たちが付き合っていたので、その後、なんとなく気まずい関係が続いていたけれど、グループで遊ぶ時はいつも一緒だったから、私が思うほど本人は気にしていなかったかもしれない。

卒業後は、お互い忙しくてなかなか会えない日が続いた。そうしている間に、私はフリーになり一人暮らしになった。
一人暮らしになった途端、ゆかりちゃんから頻繁に連絡が来るようになった。例の繁華街の近くに住んでいたからか、よく飲みにいくようになって、クラブにも2人で行くようになった。

ゆかりちゃんは、男の人と長く続いたことがなかった。いわゆる拗らせ女子??なのか、男の人に好かれる術が下手だなって思っていた。でも、それって中々説明しづらくて、恋愛相談は受けて、遠回しに、こうしたらいいんじゃないってアドバイスしても、自分の感情で突き進んではフェイドアウトってことを繰り返していた。

2人でいると、出会いはたくさんあった。Hくんと付き合ったからか、私も自己表現力が上手くなって、社交的になった。このことは、本当に感謝している。
男の人と楽しく飲んで踊って歌って、2人とも、楽しい話が大好きだから男の人も楽しかったと思う。
でも、ゆかりちゃんが、好きモードを発揮すると、途端ややこしくなって、いい関係が崩れてしまう。

ある日、ゆかりちゃんから、最近、歯科大生と知り合ったから、一緒に飲みに行こうと言われた。
何人か一緒かなと思ったら、1人だけ連れてきた。
名前は、琢磨と言った。琢磨は、3歳年下には見えない位落ち着いていて、背が高くおしゃれで、今で言うセンターわけがすごく似合っていた。声が低くて、瞳が茶色でキラキラして色っぽかった。寡黙であまり冗談も言わないようなタイプだった。かっこいい人だなっと思ったけれど、ゆかりちゃんの友達だからそのまま、解散した。それから何度かゆかりちゃんと3人で飲むことがあった。何度めかに、私も連絡先を交換した。
ゆかりちゃんは、琢磨の事を、私と2人の時は、女特有な感じでダメ出しや、悪口ばかり言っていた。

その後、しばらくして琢磨から誘われて2人でドライブに行った。琢磨は、物静かで一緒にいたら落ち着けた。学生なのに、歯科医の息子の琢磨はいい車に乗っていた。でも、誘われて行った食事は定食屋さんだった。チャラい医大生は好感が持てなかったけれど、琢磨のことは好感が持てた。結局の所ルックス重視なのかもしれない。
その後琢磨から告白されて付き合うことになった。

ゆかりちゃんにそのことを話すと、それ以来遊んでくれなくなった。おそらく琢磨の事を好きだったんだろう。それなら素直に言ってくれたらいいのにとも思ったけれど、もしゆかりちゃんが、好きと言っていても、2人は惹かれあったかもしれないと思うほど、琢磨との恋愛の始まりは、急速に好きが加速した。
それから、琢磨とは3年続いた。

好きなら、全面に気持ちを出さないと、相手にも伝わらないし、本気度も伝わらないんじゃないかと思う。
私みたいな、恋愛体質の友達に取られてしまう事を経験して、その後どんな恋愛をしたのだろうと思っていた。
数年後ゆかりちゃんは、20歳以上離れた離島の漁師と結婚したときいた。その後また数年して、街中で偶然出会った。遊んでいた時と変わらず、満面の笑みだった。それからは、SNS上での付き合いだけど、私がいろいろ経験して不幸のどん底の時、もしかしたら勝ったって思ったかもしれない。その位今のSNS上のゆかりちゃんは、幸せそうな笑顔をしている。

女同士で、本気で付き合えるのってほんの一握りだと思う。こんな私でも、ほんの一握りの女友達に支えられている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?