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初恋は実る

Hくんと別れて4.5年経った。
その間に、一度だけ偶然コンビニで会った。
その時もっと髪も整えて化粧しとけば良かったと思った。私が振られた訳ではないけれど、別れた男の人に再会する時は、綺麗にみられたい。

気まずかったけど、「元気??」「元気」のお決まりの挨拶を交わしてすぐに別れた。5年も一緒にいた割にあっさりとしたものだった。
コンビニで会ったHくんは変わらなかった。
いつも通り明るかったし、好印象だった。
でも、やっぱり私にとって、ときめく対象ではなかったと、再認識した。

Hくんと付き合い初めの頃、部屋の中に箱があるのを見つけた。
その中には、ラブレターが入っていた。写真も入っていて、可愛くて純粋そうな人が写っていた。名前はゆかりちゃんだった。Hくんは、ゆかりちゃんと言う名前の子からモテるんだなと思った。
ラブレターをこっそり見ると、高校生ならではの初々しい内容で微笑ましい反面羨ましさからやきもちを焼いた。

H君の実家の写真もあって、2人は私が行く前から、お母さん、お父さんと面識があった。まさに、家族ぐるみの付き合いの2人。馴れ初めが気になって仕方なかった。

H君の友達経由で話を聞くと、2人は初恋同士だった。高校の先輩、後輩で初恋同士で付き合って、うまくいくなんて、私の青春にはなかった。ゆかりちゃんにやきもちを焼いている訳ではなく、思い出にやきもちを焼いていた。
しかも、その後3年付き合って例の事故の時もH君を支えてくれていたのもゆかりちゃんだった。

このやきもちで、よく2人は喧嘩した。
それを、曲にしてくれたんだけど、マイナーコードのなかなか良い曲だった。今でも口ずさめる。

そのラブレターの最後はいつも、Hゆかりと書いていた。
自分の苗字じゃなくて、彼氏の苗字を書くあたり、今で言うあざとい女子だったもかもしれない。

コンビニ再会から暫くして、Hくんが結婚する事を聞いた。
相手を聞いてびっくりした。
ゆかりちゃんだった。初恋が見事に実った。
もしかしたら、Hくんに取って、私は2番目だったのかもしれない。常にゆかりちゃんが、心の片隅にあったのかもしれない。
苦境を乗り越えた2人の絆は強いに決まっている。

念願のHゆかりになった、ゆかりちゃんに、心からおめでとう。幸せになってほしいと願った。
初恋が実るなんて奇跡的だ。

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