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コワイ!からスキ!にかわったもの

すごく怖かったんだけど、その正体を知って好きになったもの。

私は自転車で市街を駆けめぐります。
電話でアポイントをとることもありますが、飛び込みメインの営業です。

いつからか 目にすることが多くなりました。ガァ!という野太い声は力強く怖いなぁ、と思っていました。

ある春の日、いつものようにお客様と電話。基本的に外回りなので、電話は、人目につかないビルの隅などで手短に。ですが、今回はちょっとしたクレームで、状況の説明とお詫びもあり長めの電話でした。

日差しが段々と強くなってきた時期で木陰に入ってお話。
ふと見上げると、枝の間にもじゃもじゃとした物体。

何だろう、あれ?

でもあまり気にすることなく、
目の前にあるお客様の対応に夢中に。
電話が終わり、木陰から離れようとすると、カチカチカチ!という音が。
何の音だろう?と思いつつも、自転車に乗って次の訪問先に。

次のビルに到着するとまた聴こえる。
カチカチカチ・・・。
耳をすませて音をたどってゆくと・・・

電線にとまるカラスを発見。
どことなく気配や視線も鋭く感じる。
もしかしてついて来た?
気味悪くて「カラス 鳴き声  カチカチ」でググってみる。

・・・?

カラスがカチカチ鳴くときって威嚇しているときだって!

いやはや!
でも何で?

春から初夏ってカラスの子育てシーズンなんだって。オスメスペアでヒナを一人前にするため、かなり気が立ってるって。
巣がある木には近寄っちゃダメなんだって!

実際、もじゃもじゃ部分はもっと小さかった。

それじゃ、あの時のもじゃもじゃはカラスの巣だったのかしら?
最近木陰で電話はしょっちゅうだし、あの時もこの時も、カラスにとってダメなことしていたのかも。。

振り返ってみると、以前から頭上から視線を感じることはあった。
カッカッカッ!という鳴き声をきくこともあったし、何なら頭上から急降下で飛んでこられたこともあったような気もするけれど、、

・・・もしかして

ワタシって、カラスから嫌われてる??

調べれば調べるほど、不安はますます膨らむ。
それからというもの、カラスが集まっていたり、激しく鳴いてるのをみると緊張が走る。狙われるかも・・と妙に意識してしまう。恐怖はつのる一方。

これからも外で仕事しなくちゃいけないのに、どうしよう。
同僚や家族にこの不安を話してもわかってもらえず、悶々とする。
「自転車で営業 カラス」とか何とかで調べても、そもそも同じ境遇の人をみつけられない。
カラスに襲われた時の対処法なんかを読んでも不安は増す一方で安心もできない。

仕方ないので、アプローチの方法を変えてみることに。
もっと彼らのことを深く知るため、カラスに関する本を色々かじってみました。

松原始さんの文章が読みやすく心地よい。
カラスに対する愛も伝わり、そんなに怖がらなくてもいいんじゃないのか?って思えました。

カラスの群れ誘導大作戦から始まり、ドローン搭載カラスのはく製のお話、動物鳴き真似の江戸屋小猫さんと組んでカラスと話すお話、カラス料理のお話・・etc
塚原さんのユーモアセンスのある表現に吹いて笑いました。

読み進めるうちに、どこでもいるけれどカラスは奥が深いと実感。
まだまだ知られていることも少ない中、様々な実験で明らかになる習性。
とても賢くて人間にも近いような、、

急にカラスに関する本を読み漁って、家族からは気味悪がられつつも、私の心は落ち着いてきました。
そんなに怖いヤツじゃないし、何なら人間味があふれていて可愛いヤツだな~と思えるようになり。
そんな気持ちでいると、今まで怖いと思っていた黒い姿や鳴き声なんかは気にならなくなりました。
一緒に外で活動する仲間なのかも・・と友達のような感覚も持つようにもなりました。

そして、来年の春から夏は絶対に巣のある街路樹には近づかないようにしよう、一人心に誓いました。
早いもので、季節はもう秋になりつつあります。

なかなか共感してくれる方は少ないと思いますが(笑)
たまにカラスのお話なんかも書いていきたいと思っています。

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