見出し画像

英語は、とっつきずらいかな?

この国の若者は、小中高大と10年間も英語を学んでおきながら
その後、自由にそれを操れる人はごくわずかで、片言の英会話もままならない人が数多い。
その一因は文法主体の学習プログラムにあると思える。

定冠詞(the)不定冠詞(a)ぐらいで留めておけばいいものを
分詞構文とかカンケー代名詞とかやるからワケがわからなくなる。
「カンケー代名詞? カンケーないよ」とか軽んじずに、ここは読み進めていってもらいたい。

まずは映画・007のタイトルから
The Spy who loved me
定冠詞+名詞+関係代名詞∔動詞+名詞の文である。
邦訳は「私を愛したスパイ」
文法的に説明すると以上のようになるが
こんな文は文法的なものから入らなくてよい。
リズムで覚えていく。

私の中学の頃は、This is a pen.から入っていった。
そんなもの目の前にあれば説明なんて要らねーっつうの。
そして現在完了形とか過去完了形とかに発展していく。
文法の説明にややこしい日本語を使うから、さらに英語は難解になっていく。

英会話はどうか❓
筆者は20代に3年ばかり英会話をネイティブスピーカーの先生から習っていた。
初~中級クラスだったが、有意義で楽しい時間だったと思う。

楽しくおしゃべり

An apple
平たく読めば「アン アップル」だが
実際は違う。
「アナプル」だ。
このようなことは、実際の英会話の聞き取りではしょっちゅう起こる。語尾と語頭がくっつくのだ。
また、「心臓・心」を表す名詞Heart(ハート)の実際の会話での使われ方は「ハー」であろう。末尾の〝t〟は、ほとんど発音されない。

単語を一語一語区切らずにあちらの人に発音されると、ひじょうに聞き取りずらい。
だから何を言っているのか、わからなくなる。

これの克服法は「聞いて、聞いて、聞きまくる」しかないだろう。

実際の英語力は、ある一定のレベルまで伸びても、そこからは徐々にしか向上しないという報告もある。

日本語を学ぶ外国人もそうで、聞く・話す・読む‣書くという行動は、ことばへの造詣の深さがものを言う。

パソコンが普及しはじめてから、日本語は横文字(とくに英語)の浸食を受けている。
企業コンプライアンス、ステークホルダー、アプリケーション…。天ぷらでさえ外来語らしい。
私は文筆をたしなむ者として、日本語の番人を志したいとも思っている。

何でも言語中枢が固まっていくのは8,9歳らしく、周囲のことばに合わせて発想、行動するようになる。
それでもって4,5歳、小学校に上がる前から英会話を自分の息子なり娘にさせる親の気持ちはよくわからない。
母国語もおぼつかないのに、他言語を学習させていても、周囲からせいぜい〝カッコいい〟と言われるぐらい。メリットはあまり期待できない。
将来、バイリンガルを目指したいとか、国際的な仕事をさせたいとしているのか、はたまた通訳、翻訳者になってもらいたいと願っているのか……。
それらになることで高収入を得られると思ってのことだろうか。
人間、幼い頃は自分の意志より親の意志だから。

確かに通訳は、ある大企業の専属ともなれば年収数千万、ひょっとしたら億⁈
現在は社内公用語を英語にしているところだってある。
だけど通訳だって下積みでは食うや食わずの時期を経ねばならないらしいよ。

言語中枢が固まってから異国語を学ぶという作業は、「前頭葉の力」に依るところが大きい。何よりも本人の意志と意欲がものをいう。
筆者は国際交流団体の職員をしたことがあり、そこで英会話を習ったが、会話はあくまで「片言レベル」であり、留学生らから英語でまくし立てられても、さっぱり会話が成立しなかったことがある。

そして英語を母国語にしている友人らと撮影旅行をしたことがあるが
そのメンバーのひとりが言っていることがわかったのは「Press lightly」(プレス・ライトリー)ぐらいだった。「(カメラのシャッターを)軽く押せ」である。

英会話は、まず聞けるようになること。川の流れでいえば、その水をすくい取って、キーとなる単語をいち早く見つけて理解し、自分の言いたいことを瞬時に頭の中で整理できるようにすることだ。
そこまでになるには単調な繰り返しを含む訓練が不可欠だと言っておきたい。とくに言語中枢が固まってからは。

この際、「文法」なんてあまり重要ではない。
名詞と動詞を適当に組み合わせただけでも会話になるからだ。
盾となるのは欧米人コンプレックスと照れである。
「誤解されたらどうしよう」との不安に対する戦いもある。
「当たって砕けてしまえ」という根性も多少は要る。

何はともあれ、文法重視の英語教育なんて、ヤル気を滅入らせるだけだ。

  

今日の格言

彼を知り己を知れば百戦危うからず
(敵を知り自分を知れば、百戦百勝も夢でなくなる)

 孫子・兵法 より


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?