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【読書記録】森健『勤めないという生き方』【人生の分岐点】

働き方に悩んでいる私なので、色んな方の生き方に興味があります。
本書は「勤めない」(取材時点では)という選択をされた方にインタビューされた内容となっています。


最初から「勤めない」方もおられましたが、就職をして転職をして、個人事業主に…という方もたくさんおられました。
その道のりは皆さん不安定で、悩みながら進んで、進んだ先に「偶然」の出会いがあった。
生き方がよく分からないのは自分だけではないのだと感じられた1冊でありました。

心に残った部分を引用していきます。

「直感的に、『時代は待ってくれない』と思ったのが一番大きな決定要因でした。環境の変化も地域の変化も、僕らが感じている以上に速い。その時点では、海士という場所が好きなだけで、僕には資格もなければ、やっていける理論もなかった。だったら、実践していくしかないと思ったんです」

「トヨタから小さな島へ。ここでも稼げる形をみせたい
「巡の環」代表・阿部裕志」より。

 取材中、金城が何度も口にしていたのが、「助けられている」という言葉だ。たしかに彼女の足跡には、家族のみならず、知人や友人の支えがそこここにある。振り返ると、労を厭わず、どこでも顔を出すタフさが金城の持ち味であり、突破力になっているが、まずは行動し、人に会い、教えを乞い、そこで人から知恵や力をもらって、その先に進む。その繰り返しが人を巻き込む一方、新たに関わった人たちが金城に手を差し伸べる。

「地元の新しい面に目をつける
酒造メーカー・金城祐子」より。

「フリーペーパーのときの体験で、いかに小さくても自分のメディアをもつことは大事なのだと知った。自分の媒体であれば、好きなことを発信できる。それに、雑誌では誰にでも会え、どこでも行ける取材という”魔法のじゅうたん”がある。しかも、情報は発信するところに集まってくる。やらない手はないと思ってた」(中略)
「おもしろがって紹介していた物件サイトが、こんなに求められているとは思わなかった。ただ、自分と同じような考えの人は十人に一人くらいいるだろうという、社会に対する信頼はあった。何か発信していけば、共感してくれる人は現れるに違いないと思っていたし、その考えはいまでも変わっていないよね」

「自分の気持ちをつきつめたら、こうなった
建築家・馬場正尊」より。

「時代が変わっていくなかで、見なおさなければいけない部分が出てきたというか。本当は僕はブラジルやオランダのような自由でイマジネーション豊かな攻撃サッカーが好き。だけど、日本代表が堅く守備的に行って成功したようなケースが人生にはどうしてもある。いまの時代はとくにそうでしょう。それなら、自分の本分に戻って、自分の強みをしっかり活かすことで信頼につなげていこう――そう思うようになった。ただ、付け加えていえば、身の丈でやるにしても、ゆるやかに、わからないくらいゆるやかでいいので、右肩上がりにはしたい。そうすることが続けていける希望だと思うので」

「趣味と嗜好を仕事の原点に置く
カフェオーナー・橋本徹」より。

「最初から計画立てて進んできたわけではないんです。ただ、そのときそのときに自分が身につけたほうがいいと思える仕事に就いてきたら、こうなってきた。まぁ、こうして話していると、つじつまは合っているんだなと自分でも思います」

「回り道も失敗も「夢への準備期間だと思う」こと
農園主・宮川哲治」より。

「たとえば、季節性の作物は種まきや苗付け、収穫がある。こういう時期って、ふつうの人はおおよその時期でやれば同じだと思うでしょう?でも、種でも収穫でも、まさに『今日』やらないといけない日が農業には確実にあるんです。それを逃すと、おいしさが減ったり、下手したらダメになってしまうこともある。そうなると、売上や経営にも関わるわけです。その日程感覚は教えられてわかるもんじゃないんですね。自分がやっていくなかで、自分がつかんでいくことなんです。空を見て、明日は寒いなとか雨だなとかわかるのも同じ。言ってみれば、自然と一体化してくるんです。それがようやく自分もわかってきた。それが……一人前の農家になってきたことでもあるかなと思うんです」

「学びながらも独自色を出すこと
ピクルス農家・川谷活心」より。

「むかし何もわかってない頃にお金だけに憧れたけれど、いざ自分がやってみると、仕事というのは、そういうことじゃないんです。結局、煎じ詰めると、仕事は自分を成長させる機会なんです。人との出会いが人生を変えることがあるように、仕事も人生を変える。二十四時間三六五日、自分の時間がすべて当初掲げた目標に向かっているんです。仕事が生きることと一致している。これ以上の喜びはないですよ」

「自分のルーツに、自分のやりたいことが埋まってた
養豚農家・宮治勇輔」より。

「こういうと誤解されるかもしれませんが、『額』という字は、客の頁と書きますよね。つまり、金額というのは、そのまま顧客名簿なんです。欧米のNGOがなんで規模が大きいのかと言えば、単純に寄付人口の分母が大きいからです。NPOの制度上の議論で、日本は寄付税制が整備されていないからダメだという話がよくあります。でも、現実はそういうことじゃない。いかに多くの市民を巻き込めるか、いかに母数を増やせるかが大事なんです。そのためには、伝えていくしかないし、だから僕は講演を続けるんです」

「NPOでもメシを食える仕組みを
テラ・ルネッサンス代表・鬼丸昌也」より。


回り道でも、色んな失敗をしながらでも、何とか前を向いていく。
その泥臭さが人生にはやっぱり必要なんだなと思いました。


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