見出し画像

家族を片付けて起こったこと

家族を片付けた。

きっかけは、ネットフリックスで「KonMari~人生がときめく片付けの魔法」を見て、家の片付けに挑戦したことだ。
たくさんのものをときめくかときめかないかで分類し、手放すことで、自分の中のときめきセンサーが研ぎ澄まされていった。
その中で、母親を含め家族全員に一切ときめいていないことに気が付いた。
今まで家族という形を曲がりなりにも保っていられていたのは、家族というものに対しての執着であり、愛情ではないことに気がついたのだ。
そのとき、私は家族を片付けることに決めた。
一人暮らしの1Kの部屋で家族一人ひとりの顔を思い浮かべて「今までありがとうございました。」と心の中でいい、ひっそりと家族を片付けた。

片付けを終えて3か月ほど経ったころ、父親からLINEが来た。
「分かっていると思いますが、今月はお母さんの誕生日なので、メッセージを送るように」
私は父から送られてきたその上から目線のメッセージが心底不快だった。
私は父親のLINEをブロックした。

父親のLINEをブロックして、しばらくして2か月ほど経ったころ、母親からLINEが来た。
「母の日のケーキありがとう」
文章の後に、カーネーションでデコレーションされたケーキの画像が添付されていた。
もちろん、私は母の日にケーキなど送ってなどいない。
きっと、父親が画策したものだろう。
両親の勝手な行動に腹が立って、私は母親にLINEをブロックした。

家族を断捨離して、様々なことが好転していった。
まず、感情に起伏が穏やかになった。
家族を片付ける前は、過去のいやなことを思い出すと、泣いてしまったり、取り乱してしまったり、動悸がすることが頻繁に起こったが、家族を片付けてからは、それがほとんどなくなった。
それから、頭がすっきりして仕事に集中できるようになり、仕事に前向きに取り組めるようになった。
その反面、今まで自分がどれほど仕事に集中できていなかったのか思い知った。
会社での人間関係が円滑になった。
今までは、自分のことに精一杯で、人と接することが面倒くさいと思っていたが、家族を片付けて、精神的な余裕ができたことで、人と関われるようになっていった。
私のことを嫌っていた上司ともうまく付き合えるようになり、関係が改善した。

母親のLINEをブロックして、3か月ほど経った頃、母親が一人暮らしの家に訪ねてきた。
しばらく見てなかった母親の顔を見て、初めに思ったことは「この人誰?」だった。
じっと母親の顔を見て、何秒か経ったあと「この人、母親だ」と気が付いた。
その後、母親と二人で近くの喫茶店にお茶をしたが、話している最中、目の前に座っている中年の女性に対する違和感は消えなかった。
実家にいた頃、ヒステリーを起こし、暴力や暴言を吐いてくる母親は、まさに支配者で、私は常に母親の顔色を伺って生きていた。
だけど、目の前に座って、コーヒーを飲んでいる女性はただのどこにでもいる小柄な中年の女性だった。
私は生まれて初めて母親に顔をちゃんと見れたのだ。
家族を片付けたことで、母親の支配が徐々に消えて行っていることに気がついた。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?