ネタバレ無し『キラーズ オブ ザ フラワームーン』を観た
久々に映画館で映画鑑賞した。
夫婦で行ったら、夫は初めての劇場で鑑賞するスコセッシ作品とのことで興奮していた。
私にとっては『カジノ』以来ほとんど30年ぶりだった。
ポンジュノ監督がオスカーを獲ったときのスピーチで、「映画学科の学生だったころ強く感銘を受けた言葉は『最も個人的なことが最も創造的』という言葉。これはスコセッシ監督の言葉です」と言っていた。
現場のオーディエンスにはスコセッシ監督本人もいた。
さすが韓国人、先輩のヨイショは欠かさない。
その言葉どおり、当時、オクラホマでインディオの女性から財産をかすめとっていた多くの白人男性の、そのうちの一人の小さな物語を、大きく表した作品だった。
ハリウッド映画で、北米のネイティブアメリカンの問題をここまで深く掘り下げた作品はおそらく初めてなんじゃないだろうか。
アメリカ白人の、後ろ暗い歴史を面と向かって表現していて、一切ズルしない。さすが巨匠。
原作では、FBI創成期に告発されたネイティブアメリカン連続不審死事件という実話を元にしていて、ディカプリオは主役のFBI捜査官の役だったのを、ちょい役の少しかっこ悪いキャラを主役に変更して脚本も書き直しされたそうだ。町山さんのYouTubeで聞いた。
『ジョン・エドガー』でも『シャッターアイランド』でもカッコいいFBIを演じたからもう飽きたのかもしれない。
今回ディカプリオ演じるエルネストは、不器用だけど素直な人で、インディオの女性に恋して口説き方も不器用で、可愛らしさがあった。
また、インディオの女性役の役者さんの雰囲気が堂々とした風格で、衣装も手抜きなし、彼女を見るだけで楽しかった。
クライマックスのディカプリオの演技は素晴らしい。
ベテラン俳優が小手先で演じるようなものじゃなく、骨のずいまでエルネストだった。
集中してないと見逃すようなほんの一瞬の表情と行動で、深い悲しみが表現されていた。
長丁場だけど面白かった。
映画館まで行った甲斐があった。
おしまい
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