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読書録 三浦綾子「続氷点(上)」より2014/2023

心にしみる名言にたくさん出会えた一冊。

三浦綾子「続氷点(上)」

「何度も手をかけることだ。そこに愛情が生まれるのだよ。ほうっておいてはいけない。人でも物でも、ほうっておいては、持っていた愛情も消えてしまう」(p315)

「自分一人ぐらいと思ってはいけない。その一人ぐらいと思っている自分にたくさんの人がかかわっている。ある一人がでたらめに生きると、その人間の一生に出会うすべての人が不快になったり、迷惑をこうむったりするのだ。そして不幸にもなるのだ」(中略)そして、真の意味で自分を大事にすることを知らない者は、他の人をも大事にすることを知らないともおっしゃいました。(p319)

一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである。(中略)おもしろいものだね。あくせくして集めた金や財産は誰の心にも残らない。しかしかくれた施し、真実な忠告、あたたかい励ましの言葉などは、いつまでも残るのだね。(p320)

自分が今まで「成功報酬」として価値を見出してきたものは資本主義のもとで得られるものだった。

しかし、資本主義以前にそれを支える無償の労働(ケア)に気づいた時、自分が追い求めている成功報酬だけがすべてではない、と思うようになった。

商品化されない、市場で交換されない家庭内の再生産労働があるから僕はこうして今日まで生きてこれた。

かけがえのない家族の愛情の深さに胸を打たれる。

今日も皆様にとってよい一日でありますように。

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