22│10-11│Strawberry Margarita
■某日
会社の先輩に誘われ人生初のゴルフの打ちっぱなしに行く。父親がゴルフが好きだったのでゴルフ自体には馴染みはあるが、自分はゴルフをやる側の人種ではないと思っていたのでまさか。事前に初心者向けレッスンの動画を見て予習していったものの、見るのと実際に打つのは全く違う(それはそう)。先輩にフォームと打つ時のコツを教えてもらい、なんとなく前には飛ぶし、たまにまぐれでイイ感じのショットが打てる時もある。でもフォームを意識すれば意識するほど、どうやってそのまぐれ当たりが起きたかがわからず、打てば打つほど正解を見失い迷宮入り。反復練習が逆効果起こしてる気がする。再現性ゼロ。マジでムズイ。あとフォーム気にしなきゃいけないところ多すぎ。おまけに腰にくる。
でも先輩にゴルフの良さを懇懇と教えてもらう内になんとなくコースに出てみたいという気持ちにもなった。ゴルフならおじさんどころかおじいちゃんになってもできるしな。あと気持ちよく打てた時は気持ちいいし楽しい。マッチングアプリでゴルフ好きっていう女の子と話すネタにもなる(するな)。
人生経験程度のつもりで来たけど、やっぱ何事も自分でやってみないとわからない。ストレイテナーの"羊の群れは丘を登る"、ことあるごとに思い出す。
ってな。
今バンジージャンプとボクシングとギターやってみたい。会社の人にそのこと話したら「意味がわからない」って笑われたけど。
■某日
エルレの新曲"Strawberry Margarita"を聴く。配信日前日に突然謎のティザーがアップされ、その翌日には配信のスピード感。前作の"Mountain Top"はMONOEYESにも近いサウンドだったけれど、この曲はイントロを聴いた瞬間エルレだと思った。生方さんがアルペジオ弾いてたらエルレなんかと言われたら安直だが。でもエルレだと何より歌詞が違う。
MONOEYESからは1stの"Run Run"や2ndの"Two Little Fishes"では「逃げようぜ」、3rdの"Fall Out"は「抜け出そう」と、それはどこかまだ知らない場所に冒険に出ようという意志よりも、王道を外れても、気の置けない仲間たちとこのままずっとこうして生きていくという意志を感じる。手の届く範囲の、側にいる人たちのためのコミュニティの音楽。それは東北の仲間のために組んだバンドという成り立ちが影響しているのかもしれない。
対照的にこの"Strawberry Margarita"は「Step out(踏み出す)」。まだ見たことのないものに出会うために、何かが足りないこの場所から、新しい場所に旅立つ。エルレにもクラスの隅っこにいるような、周りとなんか違うんじゃないかって感じてる人たちにとっての居場所の側面はあるが、それ以上に曲からは満たされなさと、新しいことへの挑戦やまだ見ぬ場所への冒険心を感じる。
そして"Strawberry Margarita"からは、前作アルバムから16年という年月も感じた。この曲を聴いた時"No.13"を思い出した。爽やかで疾走感のあるイントロ。旅に出る者の歌。でも"No.13"は旅立つ人を見送る歌だった(そしてその人はきっと戻ってこない)のに対し、"Strawberry Margarita"は一歩踏み出そうとする自分をとどめようとする何かの歌だ。
今エルレが回ってる「Lost Songs Tour 2022」の感想をTwitterで検索した。付き合ってる恋人のSNSを見てもいいことがなんもないように、チケット全部外れたから調べても羨ま死するだけなのに(案の定セトリを見て希死念慮に襲われる)。その中にファンの人が"Strawberry Margarita"を披露する前の細美さんのMCをレポしてる人がいた。
自分が直接聞いたわけじゃないし、そのレポ書いた人もうろ覚えだというエクスキューズをつけるけれど、要約すると『細美さんの奥さんが表に方位磁針、裏には〈Best Travelers Award〉と、細美さんを世界一の旅人だと表彰したデザインのネックレスを細美さんにプレゼントした。そして方位磁針には「どこまで行っても帰ってきてね」っていう意味がある。そうして人生が変わったって歌が"Strawberry Margarita"。』(超意訳)https://twitter.com/ro_yta/status/1587428584225853442?s=20&t=-GBDyVj4-aMoaUtACgvTlg
そのレポを読んで自分の中で歌詞の変化が腑に落ちた。そして改めて曲を聴いたら、最初に聴いた時よりも更に何倍もいい曲に聴こえた。
細美さんも年を取った。それはおれが高校生ではなくなり、それなりの責任を自分自身でとらないといけなくなってきてるように。当たり前のこと。
変わっていくことは寂しいことか。もちろん寂しい時もある。でも変化を目の当たりにすると、歳重ねながら、同じ時代を一緒に生きてるなって感じられる。
■某日
10月に好きだった曲をまとめる。先月よりも追加した曲が多い。9月は全然音楽聞かないぐらい色々ヤラれてたのがこういうとこでわかる。
SHO-SENSEI!!の『The Telescope』が自分の好きな要素だけでできたようなアルバムでかなりハマった。いつまでたっても青臭いものが好き。ワンマンは仕事で行けなかったので2月の対バンは行きたい。
■某日
Teleのワンマンのために東京キネマ倶楽部へ。初ワンマンとは思えない完成度。サポートメンバーが全員ハイレベルなのはもちろん、Tele本人の物おじしないパフォーマンスに「ほんとに初ワンマン?」とビビる。
「思想のない音楽は鳴らしません。理想のない言葉は使わない。希望のない未来なんて意味がわからない!」
というMCが強く残っている。言い切るのは勇気がいる。でも人に勇気を与えられるのは勇気を出した人間だけかもしれない。
"夜行バス"、ライブで聴くとアウトロに毎回痺れる。新曲の"ロックスター"、こういうこと歌ってくれる人間が好き。"誰も愛せない人"、諦めてるけど諦めてない音楽。
リアルが求められる時代に「素晴らしいフィクションになる」と言ったTeleが作る音楽、本当に楽しみ。
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