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【PODCAST書き起し】「吉田大八さん山口貴義さん和田尚久さん三浦知之の落語放談」全9回(その9)最近興味のある噺家さんのことなど。

【PODCAST書き起し】「吉田大八さん山口貴義さん和田尚久さん三浦知之の落語放談」全9回(その9)最近興味のある噺家さんのことなど。

【和田】最近、何か注目している演者いますか、落語辺りで。

 

【吉田】落語聴いてないんだなあ。

 

【山口】僕はやっぱり、和田さんと一緒にやっている「せたがや演芸サミット」っていう、年末にやっている会で来ていただいた笑福亭喬介さん。

 

【和田】ああ、喬介さんね、喬介はいいですよ。

 

【三浦】「せたがや演芸サミット」今年もあるんですよね。

 

【和田】そうです、今年も12月の末に28、29、30やって。たぶんこれタイミング合わないと思うんですけど、11月18日に笑福亭喬介の会をやるんです。数日後ですけどね。

 

【山口】収録している数日後なんで、ちょっとあれですけど。

 

【三浦】どこでやるんですか、それは。

 

【和田】成城学園のところ。

 

【三浦】あっ、そうなんですか。あのアトリエ……。

 

【和田】第Q藝術ってとこで。

 

【三浦】第Q藝術。ふーん。

 

【和田】笑福亭喬介は、僕はすごい注目株だと思っています。

 

【山口】三喬師匠のお弟子さんですよね。

 

【三浦】笑福亭三喬?

 

【和田】そうです。三喬か、そうですね。

 

【三浦】上方の人ですね。

 

【和田】三喬というんだっけ?

 

【山口】あっ、そうか、ごめんなさい。今、松喬を襲名したんだ。失礼しました。

 

【三浦】笑福亭喬介。

 

【山口】和田さんと一緒にやってる落語会で、東京の人と上方の人と若手出ていただいているんですけど、大阪の人は僕が好きなんですよ。吉坊師匠と桂りょうばさんに来ていただいていて。毎月来ていただいているんですけど。そうすると和田さんがちょっと時期が離れて番外編みたいなので、やっぱり喬介さん呼ぼうとか、ゲストで笑福亭希光さん呼ぼうとか、そういういわゆる僕の趣味的な米朝系の方と違う、いわば何て言うんですか、笑福亭松鶴系というか、今でも大阪にはこういう骨太な大阪のおっさんぽい人が40前後でいるんだっていう。そういう大阪の落語会の、2つだけじゃないんだけど、まあ2つの典型的な流れの、両方バランス取って、和田さんちゃんとね、顔付けしてくださるので、すごいなっていう。

 

【三浦】さすが席亭ですよ。

 

【山口】いや、本当に。目配りが、東京に住んでいて、何でそんな大阪のことよく分かってるんだっていう、若手の人まで。

去年の希光さんも良かったですよね。

 

【和田】はい。キコウさんはね、希望の「希」「光」って書くんですけど、この人は大阪人なんですけど、今は東京をベースにしてやってるんで、東京に行っても……。

 

【三浦】何希光っていうんですか。

 

【和田】笑福亭希光。

 

【三浦】笑福亭希光。

 

【和田】鶴光さんの弟子。

 

【三浦】笑福亭の人たちと桂米朝系って、やっぱり全然違いますか。

 

【山口】それはもう違いますよね。

 

【和田】違います。

 

【三浦】それは柳家と古今亭の違い、以上に違う感じですか。

 

【和田】違うんじゃないかなあ。

 

【山口】全然違いますねえ。

 

【三浦】じゃあ、上方、流派によってすごく個性がはっきりしてるっていう。

 

【山口】カラーはね、やっぱりあれだけ強烈な米朝師匠と六代目の松鶴師匠が強烈な個性でしたからね。

 

【三浦】やっぱりその2人が……。

 

【山口】そうそう、四天王の中でもあの2人は巨大な存在だったんで、やっぱりそのお弟子さんたちは、それにあこがれて好きできた人たちだから、それを引き継いでますよね。

この前亡くなった仁鶴師匠もね、松鶴の落語を継いでたなと思いますし。

 

【三浦】笑福亭仁鶴。

 

【山口】仁鶴師匠はテレビの人気者のイメージ強いですけど、落語もすごい良かったですからね。

 

【三浦】ああ、そうですか。

 

【山口】ええ、高座で。僕も数少ないですけれど、本当に落語好きでしたね。

 

【三浦】「四角い顔の仁鶴が、まるーく収めます」しか最近印象なかったですね、あのテレビ番組の。

 

【山口】そうですね、『(バラエティー)生活笑百科』長くやってましたからねえ。

 

【三浦】あれ、何十年とやってたんじゃ……。

 

【山口】何十年とやってましたからねえ。

意外と端正な落語でしたね、仁鶴師匠。

 

【和田】そうですねえ。

 

【三浦】落語もちゃんとやられてたんですね。

 

【和田】さんまさんが、彼が19か20歳のときに、梅田花月とかなんば花月とかで出番がなくて、進行係みたいな下っ端みたいなもの、要するに前説みたいなものをやってたときに、仁鶴師匠が寄席の出番もあるし、収録でなんば花月とかでやって。もう、すごかったと。天井が落ちるほど笑いがあったと。それはたぶん古典落語じゃなくて、小噺だと思うんですけれど、漫談っぽい小噺並べてたと思うんだけど。その時期の録音があったら聞きたい。すごかったと思うんですよ、おそらく。

それと別に、『池田の猪買い』とか『青菜』とか、そういう古典もやってたんで、それはたぶんそういうのできる場でやってたと思うんですけれどね。

 

【山口】あのときのスケジュールってどうなってたんかと思いますよね。落語やってるスケジュール考えられないですよね。それこそ映画も主演バンバン出てましたからね。テレビ、ラジオ、毎日出てて、高座もほぼ毎日出てて、落語会別にやってたのかっていう、気になりますね、本当に。

で、お昼ごはんね、家に帰って食ってたっていうね、愛妻家でね。奥さんとごはん。1時間空いたらごはんに帰って。10分家にいられるから帰るよって言って帰っちゃったんでしょ、あの人。ものすごい愛妻家で。だから、すごいですよ。

僕聴きだしたとき、昭和50年代終わりぐらいなんで、やっぱり初めて聴いたときにはもう、いわゆるブームの絶頂は過ぎてたんだよね。

 

【三浦】もう本格的でしょう?

 

【山口】僕初めて聴いたのが、「志ん朝・仁鶴の二人会」の京都の新京極にあった京都花月で聴いたんですけど。それはやっぱり何かね、初めて志ん朝聴いたのもそのときだったんで、志ん朝師匠の……。

 

【三浦】山口さん、京都ですか。

 

【山口】そうなんですよ、京都に住んでたんで。志ん朝のインパクト強すぎて、あんまり仁鶴師匠そのときは印象ないんですけど。

初めての東京落語は、志ん朝の『明烏』。衝撃すぎて。

志ん朝師匠って、松鶴師匠と仲良かったって、かわいがられていた?

 

【和田】まあ、そうですよね。二代目同士ってことでね。

 

【山口】それで仁鶴師匠とも。

 

【和田】でしょうね。

 

【山口】親しかったんでしょうね、きっと。必ず関西では割と二人会よくやっていらっしゃっいましたね。

 

【和田】まあね。こっちでもやってました。

 

【山口】あっ、そうですか。お互いにね。

そういうクラスの人ですよ。だから仁鶴師匠落語家として、志ん朝と二人会、バランス取れる。

 

【三浦】仁鶴の落語って、音源でも聴いたことないですね。

 

【吉田】でも80年代の頭に、図書館でカセット借りたころ、人気者の落語が並んでいる印象の中に、桂三枝とか……。

 

【三浦】仁鶴もありました?

 

【吉田】ありましたね。聴いたかどうか覚えてないですけど。

 

【三浦】この間亡くなられたんですよね。

 

【山口】ついこの間ね、亡くなりましたね。

 

【三浦】だから談志師匠も亡くなられたし、落語聴いてないと、どうもみんな年取って亡くなっていくから、やっぱり聴かないといけないですよね、できるだけね。

 

【山口】生ものですからね、何のジャンルでもそうですけどね。

 

【三浦】小三治も、吉田さんチケット買ってたけど。吉田さんでしたっけ?

 

【吉田】いや、チケット、坂田さんです。

 

【三浦】結局ね、それは行けなかったという。

 

【和田】じゃあ、ここ最近ですね。だって、ここ1カ月ぐらいってことでしょう。

 

【吉田】どうなったの、払い戻しになったの?

 

【坂田】お金入金する前に分かったので、入金しなかった。

 

【三浦】それは三三との会?

今度その三三との会ってのが予定されてて、それは三三が小三治師匠を偲ぶ会に変わってました。それはそれでもしかしたらいいんじゃないかと。もうすぐあるんですよ、たぶん、25日かな、11月の。

あっ、と思ってると亡くなってしまったんだってことが起こり得ますよね。

 

【山口】三三、最近聴けてないんですけど、小三治、継いでる感じなんですか。

 

【和田】いやあ、どうなんだろうなあ。

でも何か喜多八さんがね、三三が小三治になりゃいいんだよと、生前おっしゃってたとかいう話しも聞くし。その流れは自然な感じはしますよね。師匠が亡くなって、三三さんがスライドして、偲ぶ会みたいなのをやるっていうのは。

 

【三浦】私も三三は最近あんまり聴いてないんですけど、非常にやっぱり上手いですよね。聴いててすごく安定感もあるし、満足もするなあっていう。

 

【山口】僕のイメージだと高座数すごい多くて、ネタ数をものすごい拡げてるイメージがあったんで、1番そういう時期にたぶん聴いていたと思うんですけど。聴くたびにどんどん新しいネタを、ネタ卸ししてて、すごいなあと思っていたんだけど。その拡げる時期のあとたぶん絞っていくと思うんで。

 

【三浦】これからどうしていくか。

 

【山口】それでどうなっていったのかなというのは、ちょっと気になっているんですけどね。もうお弟子さんもね、どんどん育てて。いやすごいですよね。

さっきからあんまり小さん師匠の話をしてなくて、何かまずいんじゃないかという気がちょっとしてるんですけど。小三治の師匠の小さんの話はしなくていいんですか(笑い)。

 

【和田】いや、どうなんですかね。

 

【山口】小三治の話題が出て、小さんの……。

 

【和田】いやでも小さんさんは別にいいんですよ、もう。

(3人の笑い声)

 

小さんさんはもう大巨匠だから。つまり小さんさんって、問題作じゃないんですよ。

だから、小三治、談志、または志ん朝は、やっぱり全部絶賛する気になりゃできるし、破壊者とも言えるし、結構問題作なんですよ、あの人たちは。

だからすごく意味があるんだけど。小さん師匠は、本当に普通にいい芸された人だなってことですよ。そう思う。

 

【山口】大きすぎて、どうこう言う感じじゃない。

 

【和田】普通じゃ名人ですよ。

 

【山口】それがね、一般って言ったらあれだけど、特に最近落語とか聴くようになった方の間で、そういった大前提持ってないんじゃないかという気がしてるわけですよ。

 

【和田】まあね。

 

【山口】ちょっと問題なんじゃないかと。東京の、それこそ円生も大事だけど小さんの巨大さっていうの、まずベースがそうなんだよって、今の東京落語会のほぼ本質、全部そこの幹につながっていくんですよっていうのは、ちょっと、ねえ。

 

【三浦】確かに昭和の名人を辿るときに、円生師匠とか志ん生を聴こうとかっていう意思が出たとしても、確かに小さんにいかないかもしれないですね。

 

【山口】そうそう、要するに普遍的すぎて、意外と聴いてない人もいるんじゃないかっていう。

 

【三浦】それを今言われて気づきました。実は私も小さんってそんなに。本当に最晩年しか、紀伊国屋ホールで聴いてないので。実は小さんをもっと本当は聴きたいなと思うんですけど。つい、円生を聴いてしまったり。しまったりってことはないんですけど(笑い)。

 

【山口】それは別にいいでしょう。

 

【和田】この話になると、結構もう長い話になるんで、それはまた改めて。

 

【山口】そうですね。

 

【三浦】あの、時間も時間なんですけど。さっき山口さんおっしゃられていた、年末にやる落語会のお話、あと和田さん今チラシをお持ちになっている、これを最後告知して終わりませんか。

 

【和田】これはね、この間も話しました、さん喬さんの独演会を11月30日にやりますので。「さん喬双つ玉」っていう、結構大きなネタを2本やりますよっていう会なんですけど。今年は『鰍澤』と、新作落語なんですけど『声色や』っていう噺をやります。

『鰍澤』が大ネタで、それこそ円生さんとかやってたやつなんですけどね。『声色や』というのは、逆にちょっとかわいいお噺で。

 

【三浦】新作なんですか。

 

【和田】新作です。10年ぐらい前に作られたのかな。

 

【三浦】もちろん聴いたことない。

 

【和田】翻訳家の黒田絵美子先生という方が作った作を、さん喬師匠がやっているっていうやつなんですけども。

 

【三浦】それが11月30日の「さん喬双つ玉」の……。

 

【和田】はい、浅草見番っていうところでやりますんで。

 

【三浦】おどりの稽古とかするところですね。

 

【和田】そうです、そうです。

 

【三浦】観音裏ですね。

 

【吉田】靴脱いで……。

 

【和田】そうです、畳敷きのとこで。

 

【三浦】2階に上がるところでしたっけ。

 

【和田】そうです。

 

【三浦】あと年末にあるのが、12月の……。

 

【和田】28、29、30。これは「せたがや演芸サミット」というので検索してもらうと、吉坊さんの会とか。

 

【山口】28、「吉坊ひとり会(@成城)」ですね。

 

【三浦】29は。

 

【和田】昼間が柳亭市弥の「いちやかい」というのがあって。

 

【三浦】柳亭市弥? 市馬の弟子ですか。

 

【和田】はい、市馬さんの弟子で。夜が桂りょうば独演会。

30日が昼間が、富士綾那という浪曲師。二席やる会。富士綾那は僕はいいと思います。とても若手です、まだ5年とか、それぐらい。

それで夜が、三遊亭萬橘の「師走の萬橘」っていう会をやります。

 

【山口】これも面白いです。

萬橘師匠の落語一席と、和田さんとの対談。

 

【和田】だべり。

 

【三浦】ああ、なるほど。それ30日。

 

【和田】その5回ですね。

それと11月18日、これ終わってるかもしれませんけど、「笑福亭喬介の会」というのがあります。

 

【三浦】アトリエ……。

 

【和田】第Q藝術劇場。

 

【山口】小田急線の成城学園前ですね。

 

【三浦】聞いていただいている方、よろしければ是非、足をお運びください。

 

【山口】よろしくお願いいたします。

 

【三浦】じゃあ、山下さん締めますか。

 

【山下】皆さんに何か最後、どうでしたかと。それで終わりましょう。

 

【三浦】今日は昭和の名人を辿るというところに行きかけて、今日は長引きそうなので(笑い)、これで終わりにしたいと思いますが。

ちょっと一言ずつ。じゃあ、吉田さん。

 

【吉田】今日は勉強になりました。またこれからもこのPodcastを楽しみに聞きたいなと思いました、改めて。

 

【三浦】また是非、お見えくださいませ。

 

【吉田】もうちょっと勉強し直して。

 

【三浦】いやいや、映画の話もすごい面白かったです。

山口さん。

 

【山口】何かお邪魔してすみません。あんまりとりとめのない話ばっかりしてすみませんでした。久し振りに皆さんと会えて楽しかったです。

ありがとうございました。

 

【三浦】ありがとうございました。

和田さん。

 

【和田】そうですね。小さんの成り、何ていうのかな。時間が経っちゃって値打ちが分かる芸と、分かんなくなっちゃう芸があるんですよ。小さん師匠は分かんなくなっちゃうんですよ。

 

【三浦】そうなんですか。

 

【和田】と僕は思ってる。だから難しいんです。

 

【三浦】ここからまた続きそうな……。

(全員の笑い声)

 

【和田】なので、この話は改めて。

 

【三浦】ちょっと最後に、非常になぞな含蓄のある言葉が聞けて。次にまた、すごく楽しみな期待が持てると思いますので。

本日は、本当にありがとうございました。

 

 

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/

 

 

担当者:伊藤ゆみ子

この度はご依頼いただきまして、誠にありがとうございました。

仁鶴師匠はテレビから受けた、やさしい笑顔の関西のおっちゃんのイメージが強く残っていますが、落語だけではなく映画でも活躍されたすごい方だったのですね。

こうしていろいろな落語家さんのことを聞かせていただくと、何となく人物像を想像したりして、落語が身近なものに感じられます。これはやはり実際に落語会に足を運ばねばと思いました。

またのご依頼を、心よりお待ちしております。

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