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いま、小劇場は何を見れば面白いのか(その2)なんと、22481文字!


TFCラボ プレゼンツ 『みんなで語る小劇場演劇』

【山下】続いて、「おすすめの小劇場演劇」のまた続きですが、「脚本に物語性があるもの」ということで、次のページを。まあ、いろいろ当たりはずれもあるのかもしれませんが、何本が続けて観て判断してもいいかなというようなものを取り上げてみましたが。まず、イキウメ、前川知大さん。谷さん、これ、最近、なんか、パルコで今度やるのかな? 有名なジャニーズの人が……。

【谷】今度、亀梨和也さんと……。やっぱり過去にやった作品の今バージョンでやるということで、『迷子の時間』という作品で……。

【山下】『迷子の時間』。

【谷】カタルシツという、イキウメの別室、語る室というのがあるんですよ。

【山下】別ユニットがあるんですよね。

【谷】それのバージョンでやるようですよ。

【山下】なるほど。チケットあるかなと思ったら、全部売り切れてました(笑い)。

【谷】ああ、そうですか。ああ、やっぱり亀梨さんの人気で。すごいですね。

【山下】すごいですね、ほんとに。

【谷】僕は運良く取れましたんで、月曜日に行ってきますけど。

【山下】谷さんは発売初日にちゃんと取られるから、素晴らしいですね。

【谷】初日というか、抽選ですけどね。

【山下】抽選なんですか?

【谷】ええ、抽選でした。

【山下】あ、そうか。あれもパルコ劇場ですよね?

【谷】パルコ劇場で。

【山下】そう。全く、私はパルコ劇場に、自堕落なので行けていませんが。

【谷】パルコ劇場って、パルステというアプリがあって……。

【山下】入れてます。

【谷】それで申し込むと結構当たります。

【山下】なるほどね。

【谷】それで、今回1人1枚なんですよ。だったんで、僕と妻の分と、同じ月曜日で、同じ日で取ったつもりが、なんと1枚は夜だったんですけど、1枚は昼で。

【山下】ソワレ、マチネで。

【谷】さすがに僕は昼に行くわけにはいかないので。

【山下】奥さんが。

【谷】ええ、昼に行って、その同じ日の夜を僕が行くという。なんか、よく間違えちゃうんですよね、昼、夜を、ぱっと見て押しちゃうと。

【山下】でも、1枚というのがすごいですね。2枚じゃないのがすごいですね。

【谷】そうですね。

【山下】ね、芝居は2人で観に行っても楽しいのに。

【谷】ええ。

【山下】まあ、それだけ人気なのかな。

【谷】コロナの影響もあるのかもしれませんけどね。

【山下】ああ。そうすると、市松模様で売っているんですかね?

【谷】いや、このあいだの宮藤官九郎のときは、もうフルで入れていましたから。

【山下】ああ、今、一応、行政としては、第3波が来ているから。

【谷】ええ、OKですからね。ただ、まだ、やっぱり自重している劇場は結構ありますけどね。

【山下】そうですね。なんか最近また増えてきているし、感染者が。

【谷】はい。また、だから、イベントを増やすのもちょっと延びたようですからね。2月まで様子みるというね。

【山下】ああ、なるほどね。

【谷】どうしてもこの季節だと危ない可能性もありますから。換気の問題は、どうしても出てきちゃいますから。前川さんの作品って、SF、オリジナルのSFですよね。

【山下】そうですね。あとは、昔話の、ホラーみたいな、妖怪ものみたいなの。

【谷】すごく、あの、なんて言うのかな、目に見えるものと見えないものとをうまく描いてくれる人で。

【山下】見えないものの捉え方が面白いですよね。

【谷】ええ。役者さんも、イキウメのメンバーがなかなかしっかりしていて……。

【山下】みんな面白いですよね。

【谷】浜田さんと、よくテレビに出ているのが、安井順平さん。

【山下】安井順平さんね。

【谷】あと盛さんと、森下さんと、大窪人衛さんという……。

【山下】大窪人衛も面白いですよね。

【谷】ちょっと声が高い人なんですけど。

【山下】声が高いというか、ちょっと、とっちゃん坊やみたいな人なんですけど、すごくキャラクターが面白いです。

【谷】面白いですよね。

【山下】最近、イキウメのメンバーもテレビで、見るようになりましたよね。

【谷】そうですね。ええ。

【山下】前川さんのやつは、本当に、僕はお薦めです。去年観た中で、やっぱり前川さんは1番だったかな。

【谷】去年、なんでしたっけ?

【山下】なんかタイトル忘れちゃったけど、ええ(笑い)。もう、すごく面白かったです。
(※イキウメ「終わりのない」世田谷パブリックシアター)

【谷】あの、山下さんと初めて……。

【山下】池袋で。

【谷】ええとね、そういう意味では、初めて行ったのがイキウメ。

【山下】そうですね、お誘いして。

【谷】『新しい祝日』。

【山下】ああ、そうなんですね。

【谷】『新しい祝日』という。これ、まだ再演はしていないですけどね。そのあとは、『関数ドミノ』って、しょっちゅうやってますよね。

【山下】ああ、『関数ドミノ』、面白かったですね。あれもね。ぜひ、観に行くこと、お勧めです。

【谷】これは、僕は、イキウメは、だいたい2回観るようにしていますね。

【山下】素晴らしいですね。

【谷】2回観ないと、難しいんで。難しいというか、よく分かるんですね。で、場所変えて観るのが面白いんで。

【山下】ああ、それはいいですよね。

【谷】前のほうと、後ろから中盤あたりで観るというのがね。

【山下】それはいいと思います。

【谷】結構、息遣いとかも観られたり、もっと俯瞰で観るということが……。

【山下】いや、いや。そうですね。観る場所によって、印象が変わりますからね。

【谷】結構変わりますからね。

【山下】イキウメの次は、赤堀さん。赤堀雅秋さんという方がいて、この人、俳優としてもすごく面白いんですが、私が市井の人々が登場するブルーカラー演劇というふうに書いているんですけど、わりと、飯場で飯を食うとか、肉体労働の人が出てきたりとか、なんかそんな感じですよね。

【谷】工事現場ふうなところと、スナックがよく出てきますね(笑い)。

【山下】カラオケスナックはよく出てきますよね。

【谷】飲んでますよね、よくね(笑い)。

【山下】そう、すごいお酒を飲むのがあって、その、赤堀さんの独特なあの感じを。で、わりと、なんか、庶民的な感じなんだけど、それをコクーンでやったりするという。

【谷】だから、なぜコクーンが赤堀さんを気に入っちゃったのかというのが、不思議でね。

【山下】いや、いいことじゃないですか。

【谷】でも、必ずジャニーズの人が1人入るんですよね。それで客をきちっと入れるという。

【山下】そうか、それで、うん。いや、赤堀さんのやつは、なかなか根が深いというか、奥が深いところがありますもんね、やっぱり。

【谷】前回が、やっぱり、長澤まさみさんが、出てましたからね。

【山下】出てましたね。あれ、新興宗教みたいなものをネタにした話でしたよね。そういった、ある種、奥が深い、ちょっと毒も含んだテーマが根底に流れていて。もともと赤堀さんって、THE SHAMPOO HATという劇団があって、それをやっていたんですけど、もう最近全然THE SHAMPOO HATは活動していないので、休眠状態なのかな、あれ?

【谷】うん、まあ、そうですね。休眠なんですか。

【山下】で、赤堀さん自身は、自分で作、演出やっていて、THE SHAMPOO HATに出ていた俳優さんは出ていますからね。

【谷】THE SHAMPOO HAT時代の『葛城事件』というのが、すごい良かったですね。

【山下】ああ、面白かったですね。あれはすごい怖かったけど。

【谷】新井浩文さんですけどね。

【山下】新井さん。

【谷】今、ちょっと出られないですけど。

【山下】ああ、そうですよね。ちょっと事件を起こされたりしましたけど。

【谷】素晴らしい作品でしたね。

【山下】凄かった、激しい……。なんか、赤堀さんの映画もあって、結構面白くて。

【谷】ああ、あの『葛城事件』も映画になってますよね。

【山下】それ、新井さん、出られていたと思う。すごい良かったですよ。

【谷】あれは、池田小事件をモチーフにしたのかな。

【山下】池田小というのは、大阪の池田市の小学校に乱入して刃物で子供たちを刺したという、もうひどい話なんですけど、そういったのが、わりと、なんとなく鬱屈とした人々の気持ちみたいなのを、描くというのがあって、映画でいう『ジョーカー』的なところもあるので、『ジョーカー』とかが好きな人はちょっといいかもしれません。

【谷】あと、赤堀さんは役者さんとしてもすごく味があって。

【山下】役者としてはすごくいいですよね。

【谷】僕がすごい覚えているのは、長塚圭史さんがやった『浮標』(ぶい)って……。

【山下】はい、はい。三好十郎の。

【谷】あれの、どういう役だったかな、ちょっと端役なんですけど、メインは田中哲司の長台詞ですから。そこで出ていた、手伝いさんみたいな感じの役で出ていたんですけど、味があって良かったですよ。

【山下】あのときは、少し抑えた演技でね。

【谷】あの人らしくない感じでね。

【山下】そう、そう。激しい演技をしなかった。まあ、長塚さんの演出なんでしょうけど、それがすごいいい味が出ていたという感じで、赤堀さんもこれからまたコクーンで何かやってくれるかもしれませんので、ぜひ観に行ってほしいと思います。

で、続いて、蓬莱竜太さん。モダンスイマーズの劇作、演出などをされていますけど、蓬莱さんは、去年か一昨年くらいに何回か観に行きましたよね?

【谷】ちょうど句読点三部作というのを何年間かでやって、それをまとめてシアターイーストでやったんですよね。

【山下】3本まとめて、毎月上演みたいな感じだったですよね。

【谷】やってくれたんですよね。しかも、あの劇団は、3000円で観せてくれるんで。

【山下】ねえ。安くてありがたいですよね。本当にありがとうございます。

【谷】本当に、役者さんも、すごいいい役者で固まってて。まあ、蓬莱さんは出ませんけれども、作、演出、蓬莱竜太で、素晴らしい、なんて言うんだろうな、なんて言ったらいいんでしょうかね、人情……。

【山下】人間の機微?

【谷】うん、人間味を出す、うまく表現する……。

【山下】人の、なんか、そうですよね。あと、嫉妬とか、そういうのも含めてですよね。そういう、ブラックなところも含めて出していくというのが、蓬莱さんの特徴だと思います。機微と言っても、昔の小津安二郎みたいな感じで静かにというのではなくて、なんかちょっと嫉妬とか、妬みとか、そういったものも含めて、それを描いて日常へ展開していくみたいなところがありますね。

【谷】あの、三部作が、たまたま出たんですけど、『嗚呼いま、だから愛。』というのと、『悲しみよ、消えないでくれ』と、『死ンデ、イル。』。この3本が三部作という……。

【山下】だから、句読点三部作なんだ。必ずタイトルに句点と読点がある。

【谷】そうです、そうです。

【山下】なるほどね。

【谷】あと、その年に、これは別の人の演出なのかな、モダンスイマーズじゃないので、蓬莱さんが書いたのは、『消えていくなら朝』というのがあって。これは素晴らしい作品でしたね。あと、『まほろば』という作品も再演でやりましたけど、これは岸田戯曲賞獲った作品なんですよ。これは素晴らしい作品でしたね。女の世界を描いたという、若い、おばあさんから小学生ぐらいまでの女の世界。あと、妊娠中の人という。それを描いてね、すごい、男でよくこれ書けるなと思いました。

【山下】ねえ、男性がね、女性のことを書くこと難しいですよね。

【谷】ちなみに、モダンスイマーズというのは、1番最初の作品が『モダンスイマー』という作品だったんで、そういう名前にしたらしいです。

【山下】もう結構長くやっていますもんね。

【谷】ええ、そうですね。彼らどこの……、彼、広島だっけな、蓬莱さん、広島だったかな。

【山下】僕も、最初観たの、15年以上前ですかね。

【谷】あ、そうですか。僕はそんな古くないですね。たぶん、『嗚呼いま、だから愛。』くらいからスタートかもしれない。

【山下】昔はね、モダンスイマーズ、わりと男臭い、激しい舞台だったんですよ。殴り合いとかやったりとかして。だから、全然、今と違うんです。で、今のほうが、すごくいい。

【谷】去年が、『ビューティフルワールド』って。あれ、良かったですよね。

【山下】ああ、行きました。

【谷】中年オタクが引きこもりで、主婦と、ある意味純愛という感じですよね。一緒に行ったんじゃなかったでしたっけ?

【山下】あれ、シアターイーストとかでしたっけ?

【谷】そうです、そうです。

【山下】ですよね。蓬莱さん、多いですよね。あの池袋の、あそこでやるのがね。シアターイーストかウエストかはちょっと忘れちゃいましたけど。

【谷】いや、ほぼイーストですよね。

【山下】ほぼイースト(笑い)。それ、決まっているんです? なんか、指定?

【谷】ウエストは、やっぱり狭いんじゃないですか、ちょっと。

【山下】ああ、なるほど。

【谷】使いづらいんじゃないですかね。変な席がありますから、横に。

【山下】ああ、それ、それね。はい、はい。

【谷】あれがね、余計なんですよ(笑い)。

【山下】ああ、なるほどね。分かりました(笑い)。

【谷】よく分からないですけど、本当かどうか。

【山下】続いて、KAKUTA。桑原裕子さんという人がいらっしゃるんですけど、これ、谷さん、最近好きでご覧になっていますよね?

【谷】これは、今、渡辺えり子? えり?

【山下】渡辺えり、今は。劇団3○○。

【谷】渡辺えりさんが主演でやっていて、KAKUTAのメンバー、桑原裕子さんはじめ、いろいろ出ていた……。

【山下】そう、桑原さん、女優としても出演されますからね。

【谷】『ひとよ』、人よなんだ、一夜じゃないんだ、人よかな、一夜かな? One nightなんですよね。僕、人のことかと思っていたら、One night、ある夜。

【山下】ある夜の話と。一夜の話と。

【谷】あとは、『往転』というの、一緒に行きませんでしたっけ?

【山下】それ、スズナリでしたっけ?

【谷】スズナリ。はい。

【山下】はい、はい。観ました、観ました。

【谷】あとね、『彼の地』というのが、結構、北九州発のやつだったのかな。

【山下】北九州芸術劇場プロジェクトね。

【谷】なかなか、これもね、テンポがいいんですよね。それはテンポが良くて、桑原さんも、人情あふれるものをうまく書く人ですよね。

【山下】昔は、KAKUTAって、すごいポップで、わりと現代風だったんです。だから、いつ、どういうの書いたのか、全然違うんですね。KAKUTAも、やっぱり、それは成熟したころによって、今、みんなに受け入れられるような感じでやってきているというのがあって。

【谷】まあ、群像劇みたいな感じになるんでしょうかね?

【山下】そうですね、でも、群像劇は、昔からそうかもしれない、桑原さん。

【谷】KAKUTAというのは、どうやら、初期メンバーの頭文字で取って。KUは桑原さんなんでしょうけど、あとの2人は分からないです。もういないのかもしれませんね。

【山下】桑原のKか。ああ、じゃあ、KAさんと、KUさんと、TAさんがいるわけ。なるほどね。分かりやすいですね。
続いて、先日、素晴らしい舞台を観せてもらいましたけど、
iakuの横山さん、横山拓也さん。谷さん、どうでしたか?

【谷】僕、横山さんの作品って、まだ2作しか観てなくて。
このあいだ観たのが、『The last night recipe』というやつと、
その前が、アゴラでやった『あつい胸さわぎ』。

【山下】あれも良かったですよね。

【谷】あれは、母と子の、あれですよね……。

【山下】乳がんの話ですよね。

【谷】本当にその2つだけなんですよ。だから、三鷹でやったやつとかも、1つ公演が流れちゃいましたよね、コロナでね。『あたしら葉桜』かな。を、再演でやるはずだったのが流れちゃったんで。だから、まだ2本しか、僕は観ていないです。あ、もう1本ありました。俳優座でやったやつ。

【山下】あ、横山さんが劇作をしたやつ。

【谷】『粛々と運針』だったかな。
(※『雉はじめて鳴く』でした。『粛々と運針』も横山さんの作品ですが)
【山下】ああ、観た、観た。あれか。

【谷】あれ、すごい良かったですよね。

【山下】あれ、良かったですよね。

【谷】あれは、作だけかな、演出は別の方ですよね。

【山下】横山さんって、もともと大阪出身なんで、関西弁の女優さんとかがよく出てくるんだけど、この前の、『The last night recipe』も出ましたけど。でも、東京に出てきて、今、奥さんが、桜新町でしたっけ?

【谷】なんか、定食屋さんみたいなのをやっているんですよね。

【山下】ねえ、定食屋さんやって、『セブンルール』という番組があるけど、それに出ていて、旦那が劇作家で、横山さん、ええっみたいな感じでびっくりしたんですけど、今度桜新町に行ったら、その定食屋さんでご飯を食べてみたいと思います。

【谷】なかなか行く機会がありませんね。劇場がないでしょ、あそこ。

【山下】まあ、劇場がなくても行きゃあいいんだけど(笑い)、サザエさんのあれは? 長谷川町子美術館とかね、行くといいと思いますけど。横山さん、わりと人間の本質みたいなところをね、ちゃんと描いて。

【谷】この間の作品もまさにそうですよね。ちょっと、なかなか難しいシチュエーションではあるとは思いますけどね、あのシチュエーションはね。現実的には。

【山下】続いて、今度12月に公演が久しぶりにありますけど、去年はお休みされていたけど……。

【谷】5年ぶりくらい?

【山下】いやいや、1年ぶりじゃないかな。

【谷】そんなもんでしたっけ?

【山下】山内ケンジさんという、CMディレクターをされていた方なんですが、城山羊の会という会があって、コンスタントに年に1回、あるいは2回、公演をしていたんですけど、去年は、何か映画を作るというのでお休みされていたんですけど、また12月に公演があります。石橋けいさんという、ちょっとセクシーな女優さんが登場するので、またセクシーなシーンがあると思いますけど。そう言えば、山内ケンジさんの舞台で、公共トイレでエッチをするというシーンがあったの、覚えていません?

【谷】なんでしたっけ、それ?

【山下】この前の作品だったかな。小劇場B1で。あのあとね、アンジャッシュの渡部さんの話が……。

【谷】(笑い) あったんですよね。

【山下】あ、そう、渡部さんの、あ、これは、演劇で描いていたけど、本当にあるんだ、というのをね、ちょっと……。

【谷】渡部さん、それ、観たんじゃないですか? あの作品を。

【山下】いや(笑い)、本当にびっくりしたんですけど。

【谷】僕は、結構、山内さんの作品は、山下さんから聞いて知ったくらいなんで、遅いんですよ。三鷹で初めて観たのかな、吹越さんかなんか。

【山下】だからね、来月、ゲストで三鷹の森元さんに来てもらおうと思っているんですけど。

【谷】で、森元さんが、いきなり前説して、殺されちゃうんですよね。

【山下】出演しているんですよね。

【谷】「なんだ、これ?」とか思って(笑い)。

【山下】「携帯電話をお切りください」と出てきたと思ったら、いきなり殺されているという。大変ですよね、でも、プロデューサーしながら出演もしちゃって。山内さん、すごく才能の豊かな方で、岸田戯曲賞を『トロワグロ』というやつでおとりになりましたけど。以前、10年くらい前から、もっと前から劇作を始めていて、最初に観たのが、僕は下北沢のOFF・OFF・シアターかなんかで、オムニバスの公演があったんですよ。それの戯曲を書いているからというので、教えてもらって観に行って。

【谷】へえ、じゃあ、ふじきさんとかとやってたんですかね?

【山下】いや、ふじきさんとかじゃない。ふじきみつ彦は、そのときは書いていないと思います。で、ああ、なんか、すごいなと思って。そしたら、本当に長い舞台を書かれるようになって。僕は、だから、城山羊の会は初回からずっと拝見させてもらっているんですけど、また、この12月に観てきたいと思います。

続いて、ヨーロッパ企画。京都の劇団なんですけど、上田誠さんという方がいて。これ、谷さん、いかがですか? 上田誠。

【谷】上田さんのヨーロッパ企画は、相当数やっていますよね、本数は。調べたら、39回公演をやっているという。

【山下】なるほど。20年くらいやっているのかな、39回ということは。

【谷】そうですね。スタートいつなの……、98年結成ですって。で、上田誠さんって、同志社の工学部なんですよね。

【山下】あ、工学部なんや。へえ。

【谷】で、諏訪さんという役者さんと一緒に作った。諏訪さんも工学部で、だから、すごくトリックをうまく入れ込む。タイムマシンの話もそうだし、テレビでやっている、TVKで、『ヨーロッパ企画の暗い旅】ってあるんですよ。それ、30分番組なんですけど、京都KBSでもともとやっているヤツを再放送しているんですけど、いろんな、要は、お笑い的な、なんですけど、いろんなトリックをゲームにしたり、やっていくというヤツなんですけどね。ここ最近、僕、観て、15年くらいからずっと観ていますね。すごくハッピーになりますよ。この人の……。

【山下】マア、馬鹿馬鹿しいね……。

【谷】ええ、馬鹿馬鹿しいんだけど……。

【山下】面白い。

【谷】面白い。

【山下】わらえちゃう、本当に。

【谷】結構、オチがうまくできていて。

【山下】でも、今、工学部と聞いて、なんとなく腑に落ちましたね。構成がロジカルじゃないですか?タイムラインがここからここに戻るとかというのが、すごい綿密に考えられている。

【谷】あれ、普通の人じゃ、できないんじゃないかな。

【山下】そう。だから、普通に物語紡いでいくと、スト-リーが破綻してしまいそうなのを……。

【谷】うまくつないでいますよね。

【山下】上田さんに聞いてみたいけど、事前にプロットとかを考えて、こういう構造でって、やってから、やっているのかな?

【谷】やっているんじゃないですかね。

【山下】だから、それがあとでスポッとはまると気持ちいいですよね。

【谷】ちょっと、ある意味、テレビゲーム的な感じですよね。

【山下】プログラムを書くみたいなことでやっていらっしゃるのかしらね。

【谷】あとは、映画でも、『前田建設ファンタジー営業部』。

【山下】アレは、うちの英監督が、演出したんですよね。

【谷】それで、上田さんが、やっぱり……。

【山下】脚本。

【谷】脚本。で、『夜は短し歩けよ乙女』というの。森見……。

【山下】森見登美彦。

【谷】これはアニメーションですよね。これもそうだし。

【山下】あれ、京都の話ですよね。

【谷】あと、『サマータイムマシン・ブルース』という本広監督の……。

【山下】はい本広監督の。

【谷】この3作品は、彼が、上田さんが絡んでいる作品ですね。

【山下】舞台の『サマータイムマシン・ブルース』も、むちゃむちゃ面白いですよね。本当に笑いました。

【谷】僕は『ワンスモア』のほうしか観ませんでしたけどね。

【山下】僕もそっちのほうですよ、観たのは。『ワンスモア』。

【谷】でもう、すごい面白かったですよね。

【山下】面白かったですね、本当に。

【谷】こんなうまい構成よくできるなと思いましたけどね。

【山下】ということで、脚本に物語性のあるものというのを紹介してきました。
続いて、アート、音楽系というものなんですが、好きになると好き過ぎて毎回行くようになる劇団。好きにならないと行かないということなんですけど。

で、私も、この前はチケットを取り損ねて行けなかったんですが、木ノ下歌舞伎。木ノ下裕一さんが、補綴(ホテツ)という、独特な、補うに綴ると書くんですけど、という役割で参加されていますが。谷さん、どうですか? 木ノ下歌舞伎は。

【谷】木ノ下歌舞伎は、もう、本当、このタイトルと同じで、好き過ぎて毎回行くようになっちゃいましたね。

【山下】(笑い) そうなんですよ。それで、あと、歌舞伎のファンの人もいらっしゃるんですよね。

【谷】僕、歌舞伎って全く観ないんですけど、でも、すごく面白くて、木ノ下さんの、木ノ下さん自身の人間の魅力もあるんでしょうけど。たまに、公演というか、学校をやってくれるんですよね、彼が。葛飾区かなんかと一緒に。  (※墨田区です)
【山下】学校って、講座をね。

【谷】それで、彼が、能だったり、狂言だったり……。

【山下】伝統芸能をね。

【谷】伝統芸能系を、全部、あらってくれて、それを、彼なりの説明が、すごく、やっぱり面白くて。

【山下】面白いですよね。

【谷】何回か通っていますね(笑い)。両国かなんかでやって。

【山下】あ、両国でね。今、木ノ下さん、ラジオで、古典芸能を語るという番組を、NHKで。

【谷】まだやっていましたっけ?

【山下】まだやっているんです。4月から、また新しいのを始まって、10月もやっているんじゃないかな。

【谷】まだ、小芝さん? 小芝風花さん? 相手は。

【山下】ああ、だと思いますけどね。小芝さんとしゃべっているんですよね。

(※NHKラジオ第2 毎週木曜・金曜 午前9時30分から「おしゃべりな古典教室」)

【谷】この人、変わっていて、小学校3年のときに……。

【山下】落語。

【谷】上方落語に、聞いて、衝撃を受けて、それから独学で落語を始めて……。

【山下】それで、伝統芸能を学んでいったんですよね。

【谷】それで、2006年に木ノ下歌舞伎を立ち上げてたということらしいですね。

【山下】2006年ということは、20……。20歳か。

【谷】くらいかな。20、10……。

【山下】大学に入ってからだ。

【谷】ああ、そうですね。19歳かな。

【山下】京都造形芸術大学、のご出身なんですよね。

【谷】21歳か。

【山下】で、そのときに、杉原邦生さんとかが同級生だったんですよね。

【谷】杉原さんと一緒にやっていますよね。

【山下】杉原さんとの二人の話、面白いですよね。アフタートーク。

【谷】そう。すごく……。(笑い)

【山下】むちゃくちゃテンポが速くて。

【谷】面白かったですよね。

【山下】むっちゃ面白い。それで、聞いたところによると、木ノ下さんって、小学校で落語にはまって、中学のときに歌舞伎を見始めて、高校で能を観たと。という、もう本当、伝統芸能のすごいオタクな人なんだなと思って。

【谷】だから、本当に彼の話聴いていると、「ふむ、ふむ」ってもう、すごい説明もうまいし。

【山下】圧倒的な知識量だったんでしょうね。

【谷】ええ。すごいですよ。

【山下】好き過ぎてというのはそういうことなんだろうなと思いますけどね。

【谷】で、決して形式張った歌舞伎ではなくて、すごくアレンジが入っているんで、本当に、芝居として、お芝居として観られて、僕が本当に感動したのは、『勧進帳』がめちゃくちゃ面白かったですね。

【山下】ああ、『勧進帳』ね。弁慶。

【谷】『勧進帳』は、弁慶がお笑い芸人の外国人の太った方なんですよ(笑い)。それがまた、関西弁でしゃべるんですよ。「なんとかやねえ」とかって。

【山下】ああ、そうか。おもろいやないですか。

【谷】本当に楽しかったですね。アレはKAATで観ましたね。

【山下】木ノ下さんって、でも、歌舞伎の、歌舞伎ってこの前伝統芸能部のポッドキャストで言っていたけど、俳優というか、役者を観に行く人が多いんですって。で、筋立て、物語で観に行く人があんまりいないという。あ、なるほどなと。で、逆に、この木ノ下歌舞伎は、物語の構造がわりと明確になるじゃないですか。その物語が、江戸の中期とかに書かれたやつとか、すごくそこのポイントがよく見えるんですよね。だから、俳優は決して歌舞伎役者じゃないので、歌舞伎役者の身体はないんだけど、その物語の面白さが見えてくるというのが、やっぱり。

【谷】演出家ごとに、作風が変わりますからね。このあいだ、糸井さんがやっていて。

【山下】糸井さんね。ラップとか入りました?

【谷】いや、ラップじゃないですね。ラップは……。

【山下】ラップは、アレか、杉原さんか。

【谷】ええ、杉原さんですね。だから、バイオリンが入ったり……。

【山下】へえ。洋楽器が。

【谷】よく出てくる女性がいるんですよ。糸井さんの芝居で。あのときも出ていましたよ、にぎわい座で観たときの。あの人が出ていて、その人がバイオリン弾いていましたね。なかなかないシーンですよね。

【山下】でも、やっぱり木ノ下さんは、その物語の本質がすごく見えているから、そこを外さないから、だから歌舞伎ファンも観るようになって、チケットが取りにくくなっている。本当、早目に売り切れちゃいますよね。それだけ、ちょっと困っているんですけど、本当に。

【谷】木ノ下さんの役者さんと、木ノ下歌舞伎に出る役者さんというのは、元の歌舞伎を、通しで……。

【山下】完コピするんですよね、1回。

【谷】完コピしてからオリジナルのバージョンに落していくんですよね。

【山下】だから、すごい手間かかっていますよね。完コピすると、歌舞伎役者の身体が、普通の俳優だとできないということを、まず分かるということが、そこからやると言っていましたね。いや、本当、不思議な人ですよね。でも、木ノ下さん、これから本当に小劇場界と伝統芸能界で、こうやっていろいろと発信してほしいと思うんですけど。

【谷】まだ若いですからね。そういう意味ではね。

【山下】85年生まれ?

【谷】85年生まれですからね。
【山下】36歳か。若いですよね。しゃべりも面白いですよね、木ノ下さん。なんか柔らかい関西弁でね。すごくいいと思います。

【谷】結構、図体でかいんですよね。

【山下】木ノ下さんもぜひ来てほしいと思います。来てください。

【谷】(笑い) お願いいたします。

【山下】続いてマームとジプシー、藤田さん。藤田貴大さん。

【谷】藤田さんは、たぶん、来てくれないと思います。


【山下】いや、分かんないですよ、それは。マームとジプシーは、僕も好きで、ずっと観ています。よく出演する女優の青柳いづみさんという人がね、とても素敵な俳優さんなんですけど。

【谷】僕は日本一の一重まぶたと呼んでいますけどね。

【山下】日本一の一重まぶた(笑い)。昔の美人じゃないですか。

【谷】昔の美人です。あの方の一重瞼が素晴らしいんですよ。

【山下】奥二重とかじゃないんだ。

【谷】ええ。

【山下】へえ。そうなんですね。声もいいですよね、発声もね。

【谷】ええ、そうですね。ちょっと高いんですけどね。

【山下】いやいやすごく残ります。藤田さんって、桜美林大学出身ですよね。

【谷】もともと北海道出身で……。

【山下】そうですよね、北海道ですよね。

【谷】北海道の高校で演劇やっていたときに平田オリザさんから評価受けて、平田さんが、……。

【山下】当時、平田さん桜美林大学に教えにいらっしゃってたんですよね。

【谷】当時、桜美林でやっていて、そこで、桜美林大学の文学部に演劇やっている学科があって、そこに進学決めたということみたいですね。

【山下】なるほど。じゃあ、本当に好きなんですね、そういうのがね。

【谷】大学4年で、マームとジプシーという団体を旗揚げしたという。

【山下】そうか、大学4年に始めたんですね。

【谷】最初は横浜辺りで、STスポットかなんかで。

【山下】STとか、急な坂スタジオ、あの辺でやっていましたね、そう言えば。僕はそのころはまだ観ていないんだけど。

【谷】僕も全然知らなかったですね。

【山下】青柳さんも桜美林なんですよね。同級生か後輩か分からないけど。

【谷】僕がびっくりしたのは、藤田貴大さんの横顔がBRUTUSの表紙になったんですよ。

【山下】なっていましたね。

【谷】あのときはびっくりしましたね。

【山下】2、3年前、本当に。ああ、もう藤田さんの時代だと。

【谷】もっと前じゃないかな。

【山下】あ、そうか。なんか、おしゃれな……。

【谷】これからの時代とかという感じでね。で、かっこいいんですよね、また、本人はね。

【山下】そう、なんかすごいイケメンで。マームとジプシーはちょっと特徴があって、見に来るお客さんがみんなおしゃれなんですよね。普段の劇場で見る人たちとは違う、ファッショナブルでおしゃれな人が、みんないっぱい来るという。

【谷】変な格好で行けないんですよね(笑い)。

【山下】そうなんですよね。だから、皆川明さんという、ミナペルホネンの展覧会やっていたんですけど、そこでも藤田さんが演出されていて。

【谷】あと、靴も、trippenという靴とコラボしていたり、結構ファッション系はすごいですね。

【山下】なんか、ファッション系はやっぱりおしゃれですね。当たり前か。作る作品もおしゃれですよね。

【谷】そうですね。でも、そう言っても、寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』とかやったり。

【山下】あれは、東京芸術劇場で、野田秀樹さんがプロデュースみたいな感じで。

【谷】野田さんの『小指の思い出』というのも、その前にやりましたね。すごくこれも難解なやつで、僕はちょっとついていけなかったんですけど(笑い)。

【山下】蜷川幸雄さんがまだ活動されていたころに、一緒に藤田さんとやるはずだった作品が……。

【谷】『蜷の綿』というね。アレは結局、このあいだ、去年かな、やったんですよね。

【山下】ああ、なるほど。蜷川さんの演出と両方観てみたかったけど、本当に、残念でしたけど。

【谷】あとは、いろんな人とコラボしていて、さっきのファッション系とコラボしているんですけど、名久井直子さんって……。

【山下】ああ、ブックデザイナーの。

【谷】本の装丁家ですね。

【山下】名久井さん、元マッキャンのアートディレクターさんですね。

【谷】あと、穂村弘さんって……。

【山下】あ、詩人の。

【谷】歌人かな?

【山下】歌人か。

【谷】歌人の方ともコラボしてたり、今、作家ですごくメジャーになっちゃいましたけど、川上未映子さん。

【山下】ああ、川上未映子。

【谷】川上さんとのコラボ、一緒に行ったじゃないですか、あの……。

【山下】VACANT(バカント)?

【谷】いや、渋谷のWWWってとこ。一人台詞をずっと……。

【山下】ああ、分かりました。青山劇場の近く。青山円形劇場の。

【谷】違う。パルコ劇場の真ん前。

【山下】へえ、行きましたっ?

【谷】うん、行った、行った。

【山下】ふうん、覚えていないな。

【谷】タカダさんと。

【山下】ああ、そうでしたっけ?

【谷】そのあと、鳥貴族に行った。

【山下】ああ、なんとなく思い出した。

【谷】僕、初めて鳥貴族に行ったの(笑い)。

【山下】ああ、鳥貴族ね。

【谷】あと、『ロミオとジュリエット』もやりましたしね。

【山下】そうですよね。アレは、なんか、覚えています。

【谷】このあいだ、たまたまやっていましたけど、NHKのプレミアムシアターというので、『BOAT』って作品。

【山下】『BOAT』ね。やっていましたね、放送。

【谷】アレも再放送でしたけどね。

【山下】『BOAT』も観ました。

【谷】そんな感じですかね。

【山下】そうですね。藤田さんはすごいですよね。

【谷】cocoonという、そういう意味では……。

【山下】cocoonは傑作じゃないですか。沖縄戦の、ひめゆりの女の子たちの。

【谷】沖縄の、ひめゆりのね。

【山下】アレは俳優さんがたくさん出るからね。

【谷】去年、今年か、今年の夏、やる予定だったんですけど、流れちゃったんですよね。

【山下】アレは、漫画家の今日マチ子さんとのコラボですよね。

【谷】ああ、そうですね。そういう意味では、今日マチ子さんともコラボしていると。

【山下】藤田さんって、いろんなアーティストとやれるというのは、すごいですよね。

【谷】飴屋法水さんとも。

【山下】ああ、飴屋さん。飴屋さんも素晴らしいですよね。

【谷】やっていますよね。すごいですよね。そう考えるとね。

【山下】いや、すごい人だ。蜷川さんから皆川明まで、すごい幅の広い。アートは横につながっていくんだな、本当。

続いて、「ままごと」という劇団をやっている柴幸男さんって。谷さん、何かご覧になりました?

【谷】僕は、実は「ままごと」は、ほぼ観ていないんですよ。1作品だけ、シアターイーストとシアターウエストを使った芝居があって、それ、同時でやるんですよね。

【山下】そう。俳優さんが出たり入ったり、シアターイーストに出たりウエストに出たりとかね、面白かったですよね、あれ。

【谷】それしか観ていないですね。それで藤谷理子ちゃんに巡り会ったんですけどね。

【山下】出会ったんですね。俳優の藤谷理子ちゃん。柴さんは、最近東京公演あんまりやっていらっしゃらないですよね。

【谷】小豆島とかあっちのほうでやっていますね。

【山下】わりと地方とか地域でやっていらっしゃっていて、僕がすごく覚えているのが、三鷹市芸術文化センターでやった『わが星』というのがあって、相当前の『わが町』という戯曲があるんですけど、それにインスパイアされたんだけど、全く違う戯曲になっていて、ラップみたいな音楽でみんなが歌いながら踊りながら、『わが星』なので、天体の物理の話とかに広がっていくんですよ、個人のあれと。それがすごく面白くて、この『わが星』は再演したら絶対お薦めです。あと、僕、『あゆみ』というのがあって、舞台の上手から下手へずっと女優たちが歩くんですけど、最初は赤ちゃんのころ、幼稚園のころといって、だんだん年をとっていって、おばあさんになって死ぬまでの……。

【谷】人類史ですね。

【山下】お、そうなんですよ、1人の女性のね。その女の子の関係が、上手から下手へずっと歩きながら描かれているんですけど、これもよく記憶に残っています。『あゆみ』と『わが星』はどこかで公演があったら、ぜひ観に行ってほしいと思います。柴幸男さんの演出じゃなくてもです。

【谷】僕も本当に行きたいんですけどね、なかなか巡り会えなくて、東京近辺では。

【山下】東京で、今、やっていないからね。

【谷】ええ。あ、このあいだ、蒲田かなんかでやっていたんですよね。でも、変な時期だったんで、行けなかったんですけどね。

【山下】ままごとは、『わが星』の話は、森元さんに聞くとさらに詳しく……。

【谷】ああ、そういう意味では、発見者の一人かもしれない。

【山下】いや、もう、絶対、そうですよ。ええ、本当に、あれ、素晴らしい。ということで、「ままごと」、柴幸男さんでした。

続いて、チェルフィッチュ、岡田利規さん。最近小説なども書かれていますけど、今、九州かなんかに住んでいらっしゃるけど、海外の人にすごい評価が高いんですよね。最近僕も観られていないんですけど、オンラインで1回、今年は拝見しましたけど。

【谷】今年のKAATのやつは、すごい斬新なかたちでやっていましたよね。いや、よく分からないっちゃ、よく分からないし。

【山下】ある種、現代アート。岡田利規さんは、最初『三月の5日間』という戯曲があって、テロかなんかがヨーロッパで起きているときに、ある男の子と女の子が、渋谷のラブホテルで5日間過ごすという話なんですけど、それは、同じ振りを繰り返しながら発話するという、独特な手法でやっていって、それが話題になったというのが最初ですよね。で、『三月の5日間』が岸田戯曲賞を獲ったのかな。それで、岡田さんの芝居を、みんな観に行くようになって。

【谷】僕が印象的なのは、コンビニのやつですね。

【山下】面白かったですね、コンビニのやつ。あれもKAATでやったんじゃないですかね。

【谷】KAATでもやったし、再演でシアタートラムでやったかな。

【山下】シアタートラムでやったときは、『コンビニ人間』を書いた作家の方と。

【谷】村田さんかな。

【山下】村田さんと対談されていましたよね。

【谷】アフタートーク的な、やっていましたよね。

【山下】面白かったですよね。あれは、すごい面白かったな。岡田さん、現代の、今の世相を、わりとすっと掬い取って、独特な世界観を作っていくという。

【谷】あれに、なんと、川崎麻里子さんが出ているんですよね。

【山下】ああ、女優の。

【谷】ナカゴーの(笑い)。

【山下】ナカゴーもそうだけど、あれもそうじゃないですか、東葛スポーツ(笑い)。

【谷】東葛は準レギュラーですよね。

【山下】もう川崎さんなしには語れないというやつですけど。

【谷】ナカゴーでは、事務もやっていますからね、受付もやっていますから。売り子もやっていますから(笑い)。

【山下】全てやっている。ワンオペでそこまでやるのかみたいな。

【谷】ヤクルトスワローズのジャンパー着てね。古いジャンパー着て。

【山下】(笑い) 楽しみだな、今度の東葛スポーツは。

【谷】最終日に行くと、だいたい喉がかれているんですよ。すごい声になっている。「いらっしゃいませ」とかって(笑い)。

【山下】それは、俳優としていいのかという話はあるけど、でも、チャーミングですよね。

【谷】でも、劇自体は、ちゃんと声出ているんですよ。普通にしゃべると駄目なんですよ。

【山下】あ、そうなんだ。

【谷】だから、受付にいるときはすごい声なんですけど、芝居はちゃんと歌えているんです。

【山下】違う声帯を使っているのかな?

【谷】そう、そう。使うとこが違うんですよ。

【山下】ふうん、なるほどね。発声なのか、ちょっと分かりませんけど。まあ、チェルフィッチュもなかなか東京公演がありませんが、独特なスタイルで、これも演劇なのかと思う人もいると思います。

続いて、ロロ。三浦直之さん。『いつ高』シリーズ、僕、今年初めて観ました、オンラインですが。面白かったです。

【谷】僕は劇場行きましたけど、50分? 50分でしたっけ?

【山下】50分くらいでしたよね。アレ、なんで『いつ高』というんですか?

【谷】長いんですよ、タイトルが(笑い)。なんて言ったっけな。

【山下】『いつ高』の高って、高校の高だよね?

【谷】「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校」という高校の名前なんですよ。

【山下】(笑い) それが『いつ高』なんだ。すごいですね。

【谷】それで『いつ高』シリーズというのが、全国高等学校演劇大会の上演の規定に合わせて作ってあって。(※上演時間が60分以内と決められている)

【山下】だから60分以内なんですね。

【谷】それで、高校生以下の学生が上演する際は、上演料を取らないというシステムになって。

【山下】上演許可を取ったら、無料でやっていいよと。

【谷】ええ。勝手にやっていいよということになって。

【山下】いいですね。

【谷】セッティングも「何分でやります」「何分経過」とか言ってやるんですけど、生で観ると、配信のときどういうふうにやったかちょっと分かんないですけど。

【山下】配信のとき、それはなかったな。

【谷】じゃあ、もう、それスタートでやっちゃっているんですね。で、配信のときに、いくつか過去作品もやってくれたんで、僕も全部やったのを観ました。そのときによって登場人物ば変わっていて、人間相関図があって、なかなかあれを知って観ないとややこしいんですよね。

【山下】そうですね。分からなくなっちゃいますもんね。

【谷】名前がまた変わった名前で、普通の名前じゃないんで。で、三浦さんって、日芸の演劇学科を中退されていて……。

【山下】じゃあ、野木萌葱さんと一緒じゃないですか、日大の演劇。

【谷】時期は野木さんのほうがちょっと上なんでしょうけどね。もともと映画学科に入りたかったらしいんですけど……。

【山下】日大の。

【谷】ええ。で、結局駄目で演劇学科に入ったそうです(笑い)。で、同期のメンバーが何人かいて……。

【山下】ロロに。

【谷】ええ。ロロで、亀島さんって人と、望月さんって女性と、篠崎さんって男性。これが同期で、あと、板橋駿谷。

【山下】ああ、板橋さん。有名になりましたよね。

【谷】ええ。有名な板橋さん。マッチョな、ラッパーでもある。

【山下】NHKの……。

【谷】これは先輩なんですって。日芸の先輩。で、後輩に、森本華と、島田桃子。

【山下】そうか。森本華もそうなんだ。

【谷】全員、日芸なんですって。

【山下】日芸は、すごいですねええ!才能の宝庫じゃないですか。

【谷】そうなんですよね。

【山下】東北新社も日芸のゼミを持たせていただいていますけど。頼もしいですね。
ということで、ロロでした。

アート、音楽系ということで、最後に、月刊「根本宗子」。ネモシューと言われていますが、ヴィレッジというところが制作しているんですけど、これ、どうですか、谷さん?

【谷】根本さんは、すごい強い女性なんですよね。すごい、苦労された人で、このあいだ本人も語っていましたけれども、もともとモーグルですごい……。

【山下】ああ、スキーの? 

【谷】モーグルの選手だったんですよ。

【山下】ああ、そうか。それでけがしたんでしたっけ?

【谷】けがしたのは、運動会かなんかでけがして、言ってみれば、そこから車いす生活……。

【山下】しばらく、車いす生活だったんですよね。

【谷】中学、高校が車いす生活だったのかな。で、たまたま中村勘三郎さんと母親かなんかが知り合いで、それで芝居を勧められて、さっきの、松尾さんの大人計画の『ニンゲン御破産』ってあって、その芝居を観て演劇にのめりこんで。

【山下】大人計画からなんですね。

【谷】で、高校時代に、もう120本くらい観ていたそうですよ。

【山下】年間? すごいですね。財力も含めてすごいな。

【谷】たぶん、だから、すごいんじゃないですか。東洋英和のご出身なんですけどね。

【山下】お嬢様なんですね。

【谷】高校はね。で、大学は行ってないんじゃないかな。で、高校卒業して、さっき出た赤堀雅秋さんが講師を勤めているということで、ENNBUゼミに入ったということ。で、そこからすぐに月刊「根本宗子」って、ここに書いてある通りなんですけど、そこで、脚本、演出を、全部手掛けてやっているという方で、まだ31歳かな。いろいろやっていますよね。僕も高校……、3年くらいかな、見始めてから。精力的にやっていますよね。

【山下】なんか、すごくコアなファンがいっぱいいますよね、根本さん。

【谷】いや、すごいですね。それと女性ファンも多い。

【山下】ラジオ出ているんですよね、彼女。オールナイトニッポンですよね。

【谷】今、やっているのかな? さっき出た、ロロの亀島さんの奥さんの長井短さんという人と一緒にやっています。

【山下】すごいですね。そういうファンも観に来ているのかもしれませんね。

【谷】そうかもしれないですね。でも、すごく才能ある人ですよ、この人は。

【山下】あと、エナジェティックですよね。すごい、精力的にたくさんやる。

【谷】それで逸話があって、たまたま年末かなんかに、下北沢の駅前劇場が空いているというふうなことを、誰かから電話があったらしいんですけど、それで、急遽、お金がなくて借金をして公演をうった、そういう人……。

【山下】へえ、激しいですね。今だと、クラウドファンディングとかで集められそうだけど。

【谷】そこから、役者も集めて。

【山下】すごいですね。

【谷】年末年始だから、みんなスケジュールは入っていないはずなんですよ。

【山下】空いていると。お正月だからね。

【谷】だから、無理矢理公演をやったみたいですよ。

【山下】へえ、すごい。熱量がすごいわ。

【谷】そういう逸話が、聞きましたね、どっかで。

【山下】そういえば、根本さんって、プロデューサー的なところもあるのかもしれないですね。

【谷】そうかもしれないですね。

【山下】また公演があれば観に行きたいと思いますが。

これの回の最後に平田オリザさんからの系譜ということで、
青年団と平田オリザさんの教え子とか、さっきもいろいろ出てきましたけど、いろんな方がいらっしゃいます。ということで、ここにいろいろと挙がっていますけど、音声だけの人は分かりませんが、岩井秀人さん、「ハイバイ」の岩井さんは、今、もう人気ですよね。今度また公演があるんでしたっけ?

【谷】そう、僕、行きますね。だけど、過去作品ですかね。12月、確か、『投げられた石』かなんか、そんなタイトルで。

【山下】岩井さんの舞台もすごく人気で、なかなかチケットが取れないということになっていますけど。NHKの番組にちょっと何回か出られたと。

【谷】ああ、『オドモTV』。

【山下】そう。『オドモTV』というのに出ていましたけど。

【谷】『投げられやすい石』だ。

【山下】ああ、『投げられやすい石』ね。僕、昔観たかな、それ。で、岩井さんは俳優としても面白いですよね。

【谷】一時、引きこもりで何年間か引きこもっていたときの話を芝居にしていますね。

【山下】『ヒッキー・カンクーントルネード』といって、引きこもったお兄ちゃんと妹が、プロレスを掛け合って遊ぶみたいなところから始まって。

【谷】吹越さんがやっていたんでしたっけ? 違います?

【山下】いや、誰だったかな。僕、ちょっと、俳優さん……覚えてないです。

【谷】2つあるんですよね。『ヒッキー・ソトニデテミターノ』とか(笑い)。

【山下】何回か僕も観ているので、。ちょっと忘れちゃいましたけど。

【谷】あと、お父さんとのやつも、あれなんだっけな?

【山下】『て』とか。

【谷】『てと父』だっけな? 猪俣さんが……。
   (『て』と『夫婦』でした)
【山下】猪俣俊郎さんが、お父さんと……。

【谷】お父さん役で、すごい怖いお父さんで。

【山下】葛藤があってね。今どきあんなお父さんなかなかいないと思うんですけど。お医者さんかなんかだったんですよね。岩井さんのお父さんが、たぶん、そうだと思います。

あとは、玉田企画というのがあって、玉田真也、これ、しんやさんと読むのかな?

【谷】うん。玉田真也。

【山下】この人も面白いですよね。この人、最近テレビの番組の本とかも書かれていますよね?

【谷】40万年、なんだっけ? また忘れちゃった。

【山下】40万年、40光年、40万年、光年かなんかの恋とかというような。テレ東の深夜のドラマとか書かれていましたけど(※『40万キロかなたの恋』)独特なオタクな感じがあって、良かったです。

【谷】千葉雄大、門脇麦。

【山下】コロナ禍で、たまたまスケジュールが空いていたというね。

【谷】はい。声だけの出演で、あの子が出ていたんですね、ロボット役で。吉岡里帆。

【山下】ああ、吉岡里帆。ああ、なるほど。

【谷】ロボットというかね、なんて言ったらいいんだろう?

【山下】AI?

【谷】コンピューター、AIですよね。

【山下】HALみたいなやつですね、「2001年宇宙の旅」の。
あとは、この辺は……、あと、映画監督の深田晃司さんという人がいて、すごい人なんですけど、その人は青年団の演出部だったんですね、なぜか。で、深田晃司は、今、コロナ禍で、映画について、やっぱりアートシアター系の映画館を守ろうというようなことを、活動されています。海外ですごく評価が高くて、カンヌとかも何回も作品が出品されているという方です。

【谷】僕は、今年アゴラの会員になったので、そういう意味では、ここら辺の人たちは……。

【山下】いろいろ観られるかもしれませんね。

【谷】ええ。観られますね。今度、ここには書いていないか、綾門さんもやりますし。

【山下】綾門優季。あやかどさんは、独特な、なんかわりと……。

【谷】結構難しいです。

【山下】そうですね。

【谷】難しかったですね。あと、やしゃごの伊藤さん。このあいだ観ましたけど。

【山下】どうでした? 伊藤毅。

【谷】素晴らしいですね。高山さなえさんも……。

【山下】この前、高山さんは、まさに『馬留徳三郎の一日』。

【谷】これは、もう、本当、絶賛ですね、僕は。

【山下】本当に、今の幸せみたいなのが。高山さんって、そのときにチラシに書いてあったけど、長野の松本にお住まいなんですよね。いいとこですよね。ああいうとこを借りて、本を書いて、大学とかでちょっと教鞭を取りながらというのは、理想的な感じがしますよね。

で、次のページにいくと、

あ、そうだ、五反田団ね。五反田団を、ちょっと忘れていましたね。五反田団は、今、五反田にアトリエヘリコプターという劇場があって、そこで活動されているんですけど、その前は、こまばアゴラ劇場で結構やっていて。

【谷】このあいだやりましたよ、アゴラで。本人は出なかったかな。

【山下】本人、俳優としても、結構出ていて。前田さんは、結構多才で、小説書いて賞を獲ったりとか、番組で……。

【谷】テレビの脚本も書いていますね。

【山下】向田邦子賞獲ってね。すごいですよね。

【谷】すごいですね。

【山下】独特な、緩い感じの方なんですけど、書くものがすごく面白いと。

【谷】アトリエヘリコプターって、お父さんがやられていた工場をちょっと改造してやっているんですよね。

【山下】そう。それが劇場になっていて。

【谷】五反田と大崎のあいだぐらいにあって。初めて行くとびっくりするんですね(笑い)。

【山下】周りが高層マンション群なのに、ポツンと昭和が……。

【谷】昭和が残っている(笑い)。

【山下】ね、不思議な感じですよね。ぜひ行ってみてください。

あと、サンプルの松井周さん。この人も独特なお芝居をしますけど、戸川純とかが出演したり。

【谷】このあいだやっていましたね。去年か、一昨年かな。

【山下】すごいですね。戸川純さんが出るんだと思って。

【谷】本人、口説いたと言っていましたよね。あのとき、終演後に、山下さんとご本人とお話したら……。

【山下】はい、ちょっとお話ができたので。いや、よく出てくれた。僕、戸川純が、すごい大学生時代好きで、ファンで、コンサートとか行っているんですよ、本当に(笑い)。
だから、久しぶりに拝見できたという感じで、貴重な体験でしたけど。
あとは、あれかな。谷さん、どうですか? 他に何か。

【谷】あとは、田川さんは、ちょっと最近活動が、あんまりしていない……。

【山下】そうですね。劇団名「水素74%」ですけど、いっときすごい面白かったんだけど、最近やっていないですね。

【谷】ちょっとトラブルがあったりして。

【山下】1回公演が中止になったんですよね。なんでだか知らないけど。

【谷】ただ、最終的に青年団が助けて、やったんですよね、あれはね。駅前劇場が流れて、アゴラで振り替えてやった。僕も行きましたけどね、たまたま。
あとは、ホエイの山田百次さん。

【山下】山田百次さんは俳優としてもいいですよね。

【谷】俳優として、僕は、すごい買っていますね。

【山下】面白いですよね。

【谷】味があってね。

【山下】味がありますよね。ちなみに、ホエイというのは、牛乳を攪拌すると透明な部分が出てくるんですけど、それをホエイというらしいですね。

【谷】ああ、そうなんですか(笑い)。

【山下】で、なんでそれになったか、説明したけど、忘れちゃったけど、ああ、それなんだと、なんだろう、ホエイと思ったら、というようなところで……。

【谷】ホエーイ?(笑い)

【山下】そう、そう。そうなんです。

【谷】そういうことですね。

【山下】ということで、一応、これで5番目のところが終わったんで、1回休憩します。

以下、文字起こしをしていただいたブラインドライターズの青山さんのコメントです

担当 青山直美

今回もご依頼ありがとうございます。特徴のある劇団をたくさん教えていただきましたが、今回は、ヨーロッパ企画と五反田団が気になりました。特に、アトリエヘリコプターには、ぜひ行ってみたいです。好き過ぎて毎回行くようになってしまうでしょうか。
ポッドキャストでの配信も楽しみにしております。


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