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ゲーム制作スタッフの新メンバー募集で実際に試したこと

ご無沙汰してます!インディーゲーム制作サークルBrainChain代表の胡麻です。皆さまお元気でお過ごしですか

久々のnote更新になりますが、今回はPixivFANBOXの記事投稿で評判が良かった「ゲーム制作サークルの新メンバー募集で試したこと」について書いていきたいと思います。同記事が弊サークルの開発ブログでも読めるので気になった方はそちらもチェックしてみてください!(※内容まったく同じです!面白かったらFANBOXもあわせてフォロー頂けますと嬉しいです!)


サークルの新メンバー募集の経緯について知らない人も多いと思うので改めて説明します。
2020年12月末、弊サークルBrainChainはSFアドベンチャーゲームRatParkに携わってくれる制作メンバーを新たに募集しました。


メンバー募集の結果ですが、今回新たにデザイナー3名、Unityエンジニア1名が参加してくれることになりました!本当に有り難い限りです!メンバー現在、仮加入中なので正式加入が決まった段階でスタッフロールは更新したいと思ってます。

本記事では、新メンバーが集めるときに具体的に何をやったのか、どのようなステップを踏んでいったのか、これまでの経緯を振り返りながら整理していきたいと思います。
同人サークルの方で、どうすればサークルメンバーを増やせるのか悩んでいる方は沢山いると思います。そういった人に向けて少しでも役に立つような記事にしたつもりです。ぜひご活用いただければ幸いです。

記事を読む前の前提ですが、私はゲームディレクターを担当しているので、プロジェクト全体を統括する立場としての意見になります。また現在制作中の作品「RatPark」はSFのアドベンチャーゲームなので、他ジャンルの場合だとまた事情が異なってくるかもしれません。そういった前提条件があることをご理解の上、参考にしていただければ幸いです。


STEP1)本当に人材が欲しいのか考える

いきなりちゃぶ台をひっくり返すような見出しで恐縮ですが大事なことなのでしっかりと書きます。STEP1はメンバー募集をかけるべきかどうかの判断に関するお話です。そもそも本当にサークルメンバーを増やす必要性があるのか、これについてはしっかりと時間をかけて検討を重ねたほうがよいと思います。

ゲーム制作において開発メンバーが増えることのメリットは以下の通りです
▶ゲーム制作の過程を楽しんでくれる仲間が増える
▶開発スピードが上がる
▶作業分担できるようになり一人当たりの制作コストが軽減する
▶各分野に精通したクリエイターが参画することで作品の品質が向上する
▶契約形態によっては費用を安く抑えられる

制作メンバーが増えれば、作業が楽になって作品のクオリティがアップして愉快なフレンズが増えて皆ハッピーだっピ!
…しかしよく考えてみてください。そんなに都合良く事が運ぶものなのか。

開発メンバーが増えることのデメリットについても同じように考えてみましょう。
▶タスク管理が複雑になる
▶人間関係のトラブルが発生しやすくなる
▶コミュニケーションコストが増えて作業ボリュームが増える
▶複数のデザイナーが参画することにより作品全体の統一感が薄れる

こうやって並べてみるとやっぱり多いですね。正直メリットとデメリットが衝突して対消滅してる気配すらあります。

これはあくまでも私個人の経験則なのですが、開発メンバーが増えることでゲーム制作が楽になるケースは少ないと思います。むしろ資料制作やらミーティングの時間がこれまで以上に増えていきます。そこに期待してしまうとガッカリするかもしれません。

ではなぜそこまでしてメンバーを増すのか。最大のメリットは作品のクオリティを底上げできることにあると考えてます。各分野の専門のクリエイターが参加することで、私個人が作るよりハイレベルなものが出来上がることですね。
RatParkプロジェクト(=サークルで鋭意制作中の新作ゲーム)は昨今のインディーゲームのクオリティに見劣りしないような作品を作り上げることが開発当初からの目標でした。それを実現するとなると当然個人の力だけでは限界があります。周りの人の手を借りなければ到底成し遂げられないと感じていました。
開発を続けて二年以上。サークル設立時メンバーは二人だけでしたが、人数が増えたことによってその目標は段々と形になってきました。今では確実に良い作品が出来上がっている、そんな実感があります。

上記以外にもメンバーを増やしたほうがよいケースはいくつかあると思います。制作過程を一緒に楽しんでくれる仲間が増えたり、開発スピードが上がったりなど。ただ楽しいことばかりでもないのも事実です。
なぜ人が欲しいのか、いますぐに人材を増やす必要があるのか、今一度自分の胸に問いただしてみましょう。なんとなく人が欲しいという理由なら人材募集は一度見直してみたほうがよいかもしれません。

STEP2)募集要項を考える

▶求めるスキルは何か
▶ 組織内でどのような役割を担ってもらうか
▶ 何名まで募集するか
▶契約期間はどれくらいか
▶ 報酬金の発生条件は?いくら払うのか
▶試用期間を設けるか
など考えることは山ほどあると思います。あとで募集要項を作るのでそのときのためにきちんと情報整理しておくことをオススメします

ちなみにうちの募集要項は最終的にこのような内容でした。
ご参考までにどうぞ。
(※現在新規メンバーの募集は受け付けていません)

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STEP3)受入れ体制を整える

当たり前といえば当たり前の話ですが各メンバーにどのタスクを割り振るかについては事前に考えていたほうがいいです。「参加したはいいけど何もやることがない」みたいな状況は控えめにいって地獄なので確実に避けましょう。

メンバーが参加してまだ間もない時期はゲームの遊び方や画面仕様、ストーリー、世界観などを把握してもらうところからスタートすると思います。できる限り企画資料や設定集、素材などはまとめておいたほうがいいです。
ドキュメント管理はPowerPoint、Excel、GoogleDriveでもアリですがオススメはNotionです。ビジネスの仕事効率化に使われるウェブツールで専用のウェブページなんかを作ることができます。タクスボードなんかを作ることもできるので、作業管理と情報整理をその両方を同時に行うことができます。めちゃくちゃ便利です。


これまで1~2名でゲーム制作していた開発者が、何の準備もなしに複数人体制で動かない始めると途端に体制が崩壊します。
開発の現場においてはメンバーのソースコードをブランチで管理する必要が出てきますし、アート周りも役割を明確に決めておかないとタスクの奪い合いが発生します。プロジェクトに入ってもらってから大火事にならないように、事前に準備することが肝要です。


STEP4)コンテンツを整備する

コンテンツはできる限り外向けに公開しておいたほうがよいと考えます。というのも参加希望者の立場になって考えてみたときに、余程の博打好きでもない限り、得体の知れない完全シークレットのゲームを作ってやろうという気は起きないんじゃないかなと。であればできる限り情報収集しやすい環境を整えておくのが無難です。
もし用意できるなら下記は準備しておいたほうがよいかもしれません。
▶ゲームの体験版
▶公式ホームページ

比較的後回しにされがちでなホームページ制作ですが、これは意外と重要です。実際、弊サークルのメンバー募集時も「ホームページを見てゲーム概要を知った」という人はかなり多かったです。


開発ブログだと情報が散らかっててわかりにくいし、Twitterも過去の呟きを全部見ようという気にはなかなかならないと思います。だから作品概要をシンプルにまとめたホームページがあると便利なんです。

STEP5)募集をかける

ここにきてようやくメンバー募集の話です。
自分が今回試した方法は以下の通り。一つずつ説明していきます。
▶知り合いに声をかける
▶Twitter経由で募集する
▶集英社ゲームクリエイターズCAMPで募集する

まずは「知り合いに声をかける」について。 王道といえば王道ですしオススメのやり方です。Twitterや掲示板で人を探すと見ず知らずの他人とイチからやり取りすることになるので、知人経由で紹介してもらえるとやっぱり安心できます。こういうのは紹介する側にも責任が生じてきます。過去に恨みを買うようなことをしていなければそれなりに信頼できる人を斡旋してくれるでしょう(たぶん)

今回自分もメンバー募集の際は積極的に知り合いに声をかけました。既存メンバーはもちろんのこと、友人数名にも「知り合いに腕の良いクリエイターいませんか?」みたいな感じで見境なくアタック仕掛けてました。今思うと完全に不審者ですね。「なんか急に人紹介してくれとか言い出したしコイツ、何や知らんし……」みたいな反応もありましたが親身になって話を聞いてくれる人も沢山いました。

欠点はやはり声掛けできる数に限りがあるということですね。残念ながらこのやり方で人は集まりませんでした。ただ粘り強く続けていたらまた状況は変わっていたかもしれません。

二つ目「Twitter経由で募集する」について。フォロワー数にもよりますが、おそらく他の人の目に留まる機会は最も多い思われます。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦。ぶっちゃけて言いますと今回のメンバー募集もほとんどがTwitter流入でした。他二つのやり方と比べて圧倒的に問い合わせ件数が多かったです。

Twitter募集で必要なことは何か。それは恥を捨てTwitterに魂を売ることです。拡散希望のハッシュタグを山盛りにして、これでもかというくらいリツイートを連打しましょう。「…リツイートは一回までしか押せない?」それはまだ恥を捨てきれていませんねえ。リツイートをボタンは一回リツイートを取り消せば何度でも押せますし、引用リツイートについては回数制限がありません。ちっぽけなプライドは捨ててとにかく擦りまくりましょう。

SNSや掲示板に掲載する際は募集要項をわかりやすくまとめることが重要です。しっかりとデザインを考えて、サムネイルだけでも目立つような外見にしょう。
ここでも参加希望の立場になって考えてみましょう。ゲーム制作という失敗するリスクのあるプロジェクトに参加するわけです。向こうだって相手をきちんと選びたいと思うはず。そんなときもしメンバー募集用のポスターのクオリティが致命的に低かったらどうなるか。実態がそうであるかはさておき、このサークル泥舟なんじゃないかと変に勘繰られてしまうかもしれません。自分が相手を選ぶだけではなく、相手に選ばれているということもしっかり意識したほうがいいです

細かい話ですが問い合わせの窓口はメールもしくはTwitterのDMでOKです。自分はメールでのやり取りはあまり好きではないので今回Twitterを採用しました。ただTwitterはデフォルトだとフォロー外のメンバーに対してDMを解放しない仕様になっているのでその点注意です。まずはリプライで会話して相互フォローしてもらうようお願いするか、はじめから設定変更しておいたほうがいいです。

三つ目は「集英社ゲームクリエイターズCAMPで募集する」について。

集英社ゲームクリエイターズCAMPを知らない方も多いと思うので簡単に紹介します。以下公式サイトから抜粋


「集英社ゲームクリエイターズCAMP」は集英社がマンガ業界で長年培ってきた、新人クリエイターの才能を発掘・支援するノウハウを個人・少数で活動する才気あふれるゲームクリエイターの支援に活かせないかという想いでスタートします。

ゲームクリエイターを中心に、漫画家、小説家、映像作家、イラストレーター、サウンドクリエイターなど、ゲーム開発に関連する様々なジャンルのクリエイターとその卵たちのコラボレーションを支援し独創性に富んだ、新しいゲームが世の中に出ていくための一助になりたいと思っています。

いやーゲーム制作のメンバー募集にぴったりなサイトですね。

このサイトが便利なところは二つあります。一つはクリエイターの役割が細かく設定できるところ。メンバー募集するときはコアな技術をもった人が欲しくなるケースがあります。「2Dのアイテム素材だけひたすら作ってくれる人いないかなあ」とか「映像制作得意な人がいたら助かるんだけどなあ」など。インターネット上でそういった人材を見つけるだけでもかなり骨が折れます。
ゲームクリエイターズCAMPではジョブが細かく分かれていて、クリエイターは自身が得意な領域を登録することができます。これにより探す手間が大幅に下がります。
イラストレーターと2DアーティストとUI/UXデザイナーが分かれてるのも嬉しいですね。偉いぞ!よく分かってる!と褒めたくなるような作りです。
二つ目は「仲間募集」と「仕事募集」のタグを設定できることです。仕事募集は「有償系の依頼を探してる人」仲間募集は「金銭のやり取りよりもやりがい重視」と勝手に都合よく解釈してます。報酬に関するポリシーがそれとなく意思表示されているのでそういった意味でも探しやすいかと。

集英社ゲームクリエイターズCAMPでメンバーをするときは「募集を作る」機能を利用するとよいです。実際にうちのサークルで以下の内容で募集板は用意しました。すでに締め切っていますが、書き方等の参考にしてみてください。


どれくらい人が集まるか何とも言えませんが、参加希望者が殺到するといった感じもないと思います。実際うちのサークルの場合でもクリエイターズCAMP経由の問い合わせはそれほど多くありませんでした。そういうときはただ待っているだけではなく、参加してほしいクリエイターに個別メッセージを送るなどして積極的にアプローチしてみてください。「仲間募集」のタグを出しているクリエイターについては前向きに検討してくれるケースが多いと思います。ぜひ検討してみてください。

STEP6)面接をする

運良く参加希望者が沢山集まると全員を採用するのは難しくなります。実際うちのサークルのメンバー募集も想定以上に人が集まって後半のほうは大変でした。その場合、面接フローを設けて採用メンバーを絞っていく必要があります。

面接前の準備として、事前にポートフォリオの提出を依頼しておくとその後のやり取りがスムーズです。ポートフォリオというのはクリエイターの自己紹介シートみたいなもので「過去にこのような作品を作ってきました」「こういった取り組みをしてきました」ということをアピールするための作品集です。ポートフォリオそれ自体が採用判断の材料になりますし、面談希望者と一緒に作品をみながら「例えばこういうの作れます?」みたいなやり取りができるのでなかなか有意義です。

面接の質問に関して、個人的に最も気を遣ったのはゲーム制作へのモチベーションと報酬面でした。ほとんどの個人サークルがそうだと思いますが、サークル参加者に支払える金額には限りがあります。そんな中、報酬金目当てにサークル参加してしまったらミスマッチが発生してしまいます。ゲーム制作の過程を純粋に楽しみたいだとか、インディーゲームの開発を体験してみたいだとか、実績を作りたいとか、個人の目標は何でもよいのですが、サークルの方向性と金銭感覚がマッチしているかは面接の段階で確認しておいたほうがいいです。

その他、相手の人柄を知っておくことも大切です。あえて誤解を恐れない言い方をすると、クリエイターは癖が強い人が沢山います。自分も人のことは言えませんが、それにしてもこの界隈多いような気がします(※この記事を読んでるあなたのことではないので安心してね☆彡)。クリエイターの人柄は面接時にしっかりとを見極たほうがいいです。社会人経験があるか、チームでの制作に慣れているかなど、コミュニケーションに関わる要素は可能な限りヒアリングしておきましょう。

もし余力があれば、普段どのようなことをやってるのか、何に対して興味があるのか、こういったことを知るためにも雑談っぽい話題も適度に振ったほうがいいかましれません。好きなゲームの話は鉄板ネタですね。趣味が合うかというのは意外と重要です。制作してるゲームに愛着をもてないと、モチベーションアップに繋がらないと思いますし、周囲のクリエイターと趣味がかけ離れているとそのまま離脱の原因に繋がったりします。


以上です!いかがだったでしょうか…?
今回はゲーム制作のメンバー募集について弊サークルの取り組みを紹介しました。

元々こういった経験が豊富なわけではなく我々も手探りで色々と試してます。なのでもしかしたらもっと別の良い方法があるかもしれません。そういった場合は、ぜひTwitterでコメントなどいただけますと幸いです!

メンバー募集ぜひトライしてみてくださいね!
GOOD LUCK!

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