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25歳からやっていた「10分電話商談」と「ノートに書く」習慣

「私の未達時代」ではトップセールスを訪ね、彼らの考える営業の極意を語っていただいている。

記念すべき第一回目では、これまでのコンペで8年間無敗を誇る、TORiX株式会社 高橋浩一さんのもとへ突撃。

前半ではこれまでの営業人生を振り返りながら、失敗していた過去から売れるようになった現在までの過程を赤裸々に語っていただいた。後半となる本記事では、売れるようになった頃の話に絞り、彼の行動からより具体的な戦術に迫った。

たった10分の電話でも、お客様と「商談」はできる

——売れている時の1週間のスケジュールを教えてください。 

現在の役割としてはマネジメントなので、過去にさかのぼって「自身でたくさんの商談をする」ことを念頭に置いたときのスケジュールがこんなイメージです。

たとえば月曜日は午前中はMTGをして、午後はコンテンツ作成と勉強会をした後、商談。火曜日はほぼ1日商談をしている日で、水・木曜日は朝にコンテンツ作成と勉強会、午後はもっぱら商談をしていました。そして金曜日は商談をしつつも、午後は社内会議と来週の準備に時間を当てるという感じですね。

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——1週間のうち一番時間を使っていたのは、「商談」ですか?

そうですね。可能な限り「お客様との接点」に時間を充てることを重視していました。割合でいうと7割ほどは商談に使っていましたね。枠の中に10分を2本、30分を2本、60分を2本と書いてあるように、商談の中でも全てを同じものと捉えずに、「商談」「ミニ商談」と大きく2つに分けていました。

——「商談」と「ミニ商談」ですか?

ミニ商談は端的に言えば「電話」のことです。商談と商談の隙間時間に行うため、時にはビルの隙間に身を潜めて電話していたこともあります(笑)。営業活動の時間が限られている中で、いかにして最大限に時間を活用できるかと考えた上、この方法に辿り着きました。

意識していたのは、10分という短い電話でも、その10分を一件の商談のように活用することです。お客様の課題に迫る質問をしたり、出てきた悩みに対して深堀りをしたり。実はたった10分でも工夫次第で、1時間の商談で行うようなコミュニケーションに近づけることができるんです。

拙著『無敗営業』でも「10分電話商談」について書いていますが、これは20年近く前からやっていました。

——「準備」と書かれている部分はどのようなことを行っていたのでしょうか?

主には商談前の事前インプットです。もともとはコンサルティング会社にいたのもあり、調査をするのは得意で、比較的短い時間で情報収集していました。ホームページ、有価証券報告書、IR資料などは確認していましたね。

商談時間の設定には気を配りつつも、コンテンツを作成する時間や勉強会などインプットする時間もしっかり確保していました。

大前研ーにならって、毎日違う人とご飯を食べる

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——他に何か意識していたことはありますか?

これまで影響を受けたものの一つに、大前研一さんの言葉があります。

「人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える。二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える。この三つの要素でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは『決意を新たにする』ことだ」
——大前研一

この言葉を知ってから「じゃあ私は朝昼晩、毎日違う人とご飯を食べよう」と、思いまして。そこから異業種交流会には片っ端から参加し、近い業界で成功している方ともよくご飯に行きました。

——とにかくいろんな方に会っていたんですね。

そうですね。非効率と思うかもしれませんが、それでも5〜10万円の案件をくださる方も中にはいらっしゃいました。

あとは、最初に起業した25歳当時、テレアポに関しては1日100件は必ず電話をかけていました。100件かけると、だいたい2件くらいの確率でアポが取れるんです。11時と16時にはアポを入れて。商談後は全員をご飯に誘っていました。

——全員をご飯に……!どのようなことを話していたんですか?

食事中に質問していたことは主に2つあります。1つは「他社を使っている理由」、もう1つは「使っている会社の満足度は100点満点中何点か」ということです。

満足度に関して聞いた時に、相手から「88点以上です」と答えられると厳しいのですが、82〜85点あたりであればチャンスなんです。もっと踏み込んで良さそうだと判断したお客様に対しては「他社の営業はどれくらいの頻度で尋ねてくるのか」と、さらにヒアリングしていましたね。

——そこでお客様だけではなく、競合のヒアリングも行っていたんですね。

はい。「他社の営業担当者は何日おきに訪ねて来られますか」と聞いたら、お客様の返事は大体「10日です」と返ってきました。

つまり10日に1回ということは、訪問した10日後が1次提案で。その10日後が2次提案というようなサイクルが回っているんです。それに対して私は、できるだけ早く修正して、早く提案できるよう3日で2次提案をしていました。

ここで注意したいのは、「ファイナルアンサー」と判断されないで、「まだまだ直してきます!」というスタンスを持つこと。そうすることによってよりお客様の希望に沿った提案ができるようになります。

「ジャッジするVSジャッジされる」の関係をつくらない

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——売れる前と売れるようになってからのスケジュールに変化はありましたか?

「お客様とディスカッションをする商談」を理想としているのですが、売れるようになるにつれ、ディスカッションする時間は増えましたね。

ダメな商談とは「(お客様が)ジャッジするVS(営業が)ジャッジされる」という関係性を作ってしまうことなんです。お互いがしっかりと「一緒に作っている」という思いを持ち、議論を重ねながら、お客様には自然と受注してもらう。そんな理想的な商談を作れる回数が増えたように思います。

——ちなみに休日はどのように過ごされていましたか?

気分転換に本を読むこともありましたが、起業直後は、なんだかんだ仕事に関係することを考えていたように思います。ただマネジメントする割合が増えてくると、「仕事しかしていない」ことはマイナスに働くことが多いので、意識してリフレッシュする時間を作るようにしました。

——最後に読者のみなさんへコメントをどうぞ。

若手の営業の方におすすめするのは、ノートを書くことです。

私がやっていたのは、「直面する壁」と「どうしたらその壁を越えられるか」をコツコツと書きためることです。また、1日・1週間の周期で振り返りをしていました。こういった「ノートを書く習慣」というのは、実はいまも続いています。もちろん、書く内容はだいぶ変わってきていますが。

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営業を確率論にしないためにも、同じ壁にはつまづかないように、工夫と改善を重ねていくことが大事ですね。

●YouTubeにて、対談中の音声を配信中●
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記事には書けなかったマル秘話も公開されておりますので、是非通勤の合間などにお聞きください!

ライター:フジカワハルカ



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