キハ40系セレクション-東日本編
私も愛読している雑誌「旅と鉄道」の5月増刊号は「キハ40系特集」です。
キハ40系は、国鉄時代からずっと走り続けているディーゼルカーです。かつては、あまりにも大量にあって、キハ52形やキハ58系といった名車と比べると希少性に乏しく、被写体としてはあまり好まれない車両でしたが、名車が次々と引退し、また、国鉄からJRになって30年以上が経った今、いよいよキハ40系も続々と引退を始めています。そんなさなか、ついに特集が組まれるまでになりました。
ローカル線を主に撮影している私も、これまで、いくつものローカル線でキハ40系をたくさん撮ってきました。このキハ40系を撮ってきて楽しかったのは、地域それぞれで塗色が違ったことです。
JRになって、より地域密着をアピールするために、各路線や地域鉄道部によって、車両がさまざまな色に塗られました。最近では、リバイバルブームがあって、旧国鉄時代の色に戻すことが流行りましたし、JR西日本は、それまでの各地域独自の塗色をやめ、一色の塗装に塗りなおし、その結果、キハ40系は、旧国鉄時代と同じく朱色一色の塗装になりました。ただし、私としては、国鉄時代のリバイバルはあまり望ましいとは思わず、むしろ、地域独自色の方が、その地域でしか見ることができないカラーリングとして、コレクション的な意味合いもあって、撮っていて楽しいものでした。
そこで今回は、これまで私が撮ってきたキハ40系の中から、各地域独自色をまとった車両(一部特別塗装含む)を選んでみました。数が多いので、東日本編と西日本編とに分けてご紹介したいと思います。
(1)JR北海道色(石北本線・生野-生田原)
妻の実家がある北海道には、帰省を兼ねて、これまで何回も行っています。その度にJR北海道のローカル線を撮りに行きますが、非電化区間が多いJR北海道では、まだまだたくさんのキハ40系が走っています。その標準的なカラーがこのJR北海道色で、白地にJR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンと青のラインを入れています。四季を問わず、北海道の鮮烈な大地によく映え、よく似合うカラーリングだと思っています。
(2)日高色(石勝線夕張支線・鹿ノ谷-清水沢)
もともとは太平洋沿いを走る日高本線の専用車両として、太平洋の青を基調としたカラーリングで、運転台の下には、馬の産地である日高らしい「優駿浪漫」のアクセントがついていました。太平洋の大海原を眼前に見て走る日高本線には本当によく似合った車両でしたが、高波被害で大部分の区間が運休となってしまった関係で、現在は室蘭本線などでもこの車両が使われています。この写真も、2019年3月に廃止された石勝線夕張支線で撮影したものです。
(3)五能線色(五能線・深浦-広戸)
日本海を望む絶景路線として名高い五能線には、「リゾートしらかみ」というリゾートトレインが走っていて人気を集めていますが、普通列車ではキハ40系が使われています。カラーリングは白地にうすい青というかパープルの色で、これがまた五能線の海の景色によく似合います。昔は赤をベースにした色で、これも五能線の夕陽によく似合っていましたが、残念ながら撮ることはかないませんでした。
(4)男鹿線色(秋田駅)
トップ写真もこの男鹿線色ですが、五能線色の色違いです。こちらは濃いグリーンの帯を巻いています。追分から男鹿までを結ぶ男鹿線は、秋田市近郊の路線として、沿線も市街地が多く、通勤時間帯はキハ40系が5両も連なって走ってくる様は迫力満点でした。なお、男鹿線のキハ40系は2017年3月に蓄電池電車「ACCUM」にすべて切り替わっています。
(5)東北地域本社色(只見線・会津柳津)
仙台を中心に、東北地方の太平洋側でよく見られた、通称東北地域本社色。東日本大震災で壊滅的な打撃を受け、BRTに転換された気仙沼線などもこの車両が使われていました。JR東日本のイメージカラーの濃淡の緑が腰部に巻かれ、東北地方によく似合う塗装でした。この塗色も、この3月、只見線からキハ40系が引退したことに伴い、見られなくなっています。
(6)新潟色(米坂線・手ノ子)
白地に青の細かい線がたくさん走り、腰部を細い赤帯が走っているのが新潟色と呼ばれる車両。写真ではよく写っていませんが、腰部の赤線は車端のところで小さく新潟の「N」を表現していました。115系電車などでも見られた塗色です。かなり細かな塗色だったことを思い出します。この写真を撮った米坂線の手ノ子駅。既にキハ40は引退しています。今見るとかなり雪深かったですね。
(7)新・新潟色(磐越西線・尾登-荻野)
青基調の新潟色は115系でも見られましたが、その後、115系は緑基調の第二次新潟色、青のグラデーションが入った第三次新潟色へと変遷していきました。一方のディーゼルカーは、一部が赤と黒の線が入った新・新潟色に塗り替えられました。どちらかというと、こちらの塗色の方が私は好きでした。磐越西線からもキハ40系は撤退しています。
(8)烏山線色(烏山線・下野花岡)
宇都宮市近郊の烏山までを結ぶ烏山線は、オリジナルカラーのキハ40系を走らせていました。2010年には旧国鉄気動車一般色と呼ばれる朱色とクリーム色のツートンカラーに変わりましたが、個人的にはオリジナルカラーの方が好きでした。今では男鹿線同様、蓄電池電車「ACCUM」が走っています。それにしても、この下野花岡駅前のポピー畑、今見てもきれいです。
(9)JR東海色(高山本線・角川-坂上)
JR東海のラインカラーはオレンジと緑の通称湘南色ですが、ディーゼルカーにもそのカラーリングが施されていました。白基調に細いオレンジと緑の帯をまとい、一面の雪景色の中を駆けていく様は、なかなかに美しかったのを覚えています。高山本線をはじめ、紀勢本線などのJR東海の非電化ローカル線を走っていましたが、早々に引退し、今はもう走っていません。
(10)高岡色(城端線・城端)
東日本編最後のご紹介は、高岡鉄道部の高岡色と呼ばれる車両です。えんじ色に白い帯を巻いていました。元々の高岡鉄道部の車両は青地にピンクの斜めストライプを入れた、かなりドギツイ色をしていましたが、2001年からこの色に変わり、こちらはよくまとまった車両になったと思います。氷見線、城端線で今でも運用が続いていますが、車両更新のタイミングでLRT化の話が出ているのは、以前、私が記事に書いた通りです。
東日本編まとめ
今回ご紹介した以外にも、盛岡色や水郡線色など、いろいろなカラーバリエーションがありましたが、2005年から本格的に撮影を始めた私では撮影ができませんでした。
次回は西日本編と称して関西以西の車両をご紹介します。
(掲載写真はすべて筆者撮影)