【検証】ローカル路線バス乗り継ぎの旅第9弾(出雲⇒枕崎)
シリーズでお送りしている「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を今のダイヤで行ってみたらどうなるかの検証も、第9弾を迎えました。
第9弾は、2011年7月に放映されました。マドンナは芳本美代子さん。日本海側の島根県出雲市から九州最南端の鹿児島県枕崎市を目指すルートは実にダイナミック。蛭子さんが今でも鮮明に覚えているという秋吉台の絶景や、バス旅ではZも含め何度も出てきた香り芽本舗、そしてゲリラ豪雨やゴール枕崎へと向かうバスの中で起きたマドンナ号泣事件など、見どころの多い回でした。
第9弾の実際ルート
勝因は3日目、「バスはない」と西鉄バスの案内所のおじさんに言い切られながらも、福島へと向かうバスの中で、女子高生から別会社のバスがあると教えられ、堀川バスの案内所で有力な路線を聞き出すことができたことでしょうか。案内所でないと言われても、バスの車内で有力情報を入手することはこれまでのバス旅でもありましたね。案内所の人も他のバス会社のことは知らないでしょうから仕方がないと思いますが、時おり観ていて「もっと言い方あるよなぁ」と思うことはあります。
2022年のルート検証
それでは、2022年3月のダイヤで行ってみたらどうなるでしょうか。
実際ルートでは津和野まで進むことができましたが、益田駅前から津和野行のバスの最終は17時ちょうど。浜田から来るバスの益田駅前着が17時01分で何と1分差で乗り継ぐことができません。どこかですれ違って乗れないかとも思いましたが、残念ながらすれ違うバス停はないようで、本当にタッチの差で津和野へ進めない形となります。日常的にバスを乗り継いで津和野へ行く乗客はほとんどいないのでしょうが、バス旅的には悔しい形です。
実際ルートでは、砂津から後藤寺へ抜けて、そこから福岡天神まで一気に移動していますが、現在、この砂津から後藤寺へと抜けるバスは廃止されています。途中の中谷というところまでしか行かず、本数は少ないながら、そこから途中の峠の近くまで行くバスがか細く残っていますが、そのルートで行くと、歩きも発生しますし、結局乗り継ぎはよくありません。
実際ルートのように博多の方面へ行きたい場合は、黒崎から直方へと向かう形になりますが、直方から博多へ向かうバスは既に終わっており、直方宿泊となります。
なお、他に博多へ向かうルートとしては、折尾から赤間へと抜けていくルートもあり、それですとその日のうちに博多に到着できますが、15km以上の歩きを挟むことや、博多まで行っても、3日目に直方宿泊ルートに収斂してしまうため、ここでは歩きの少ない直方ルートで検証していきます。
実際ルートでは、久留米から福島行の西鉄バスに乗り、その車中で堀川バスという別会社の路線があることを教えてもらい、堀川バスの山中というバス停から歩いて県境を越えて、鹿北道の駅から山鹿、熊本を経て、松橋まで一気に移動しました。
しかし、今では堀川バスの運行本数が激減しており、福島からの山中行は17時発まで乗り継ぎができません。そしてそこから数km歩いた先にある鹿北道の駅から山鹿へ向かう最終バスは同じく17時発で乗れません。
もうひとつ、福岡・熊本県境を越えていく方法としては、瀬高からくすっぴー号の山川瀬高線に乗って真弓橋というバス停へ向かい、そこから3.8km歩いて熊本県側の南関町から山鹿・熊本へと入っていくルートもありますが、南関発の最終山鹿行は16時51分発、玉名行も17時43分発で、いずれも乗ることができません。
というわけで、博多を経由して行った場合、この日に到着できるのは大牟田から先、熊本県側に少しだけ入った荒尾までということになります。
枕崎行の鹿児島中央駅発最終は18時38分発です。実際ルートと同じように八代・水俣・鹿児島空港経由で進もうとすると、鹿児島中央駅で打ち止め、失敗という形になってしまいます。
水俣から内陸を行かず、海沿いに阿久根・川内と抜けていくルートもありますが、こちらも乗り継ぎが悪く、いろいろ調べましたが、枕崎行最終バスに間に合う方法はなさそうです。
別ルート検証:博多を通らずに進む方法
さて、実際ルートが辿った博多経由で進もうとすると、現在のダイヤでは乗り継ぎが悪くて4日間でゴールすることができないことがわかりました。
枕崎行最終に間に合うように、逆側から乗り継ぎを確かめてみると、どうやら、3日目の夜に熊本市に到達していれば、何とか間に合うようです。3日目中に熊本に行きつく方法は他にあるのでしょうか?
調べてみましたら、ありました。
このように、歩きを挟むことなく、きれいに繋がり、枕崎へは最終の1本前のバスで向かうことができました。
ただし、このルートでは、JR九州の日田彦山線代行バス、そしてやまびこ号という都市間特急バスを利用します。列車代行バスは、これまでのバス旅シリーズでも第11弾で名松線の代行バスを利用していましたので利用できると思いますが、原則予約が必要で座席定員制のやまびこ号を利用できるかは微妙なところです。
いわゆるデマンドバスと呼ばれる事前に予約を入れておかないと運行されない路線バスは利用できないようですが、定期ダイヤがあってその日、空席があれば乗ることができる座席定員制の都市間バスは利用できるというのが、何となくこれまでのバス旅ルールのようです。これまでのバス旅でも第23弾でこのやまびこ号を利用していますし、第25弾やZ第10弾、Z第17弾では山形交通の48ライナー、Z第7弾とZ第17弾では岩手県北バスの106急行という予約が必要な都市間バスを利用していました。というわけで、このルート検証でもやまびこ号で移動ができると判断しました。
まとめ
このとおり、実際ルートが辿った博多経由ですと、福岡・熊本県境区間で乗り継ぎに苦労し辿り着きませんが、行橋を回って、添田から列車代行バスを利用し、さらに都市間バスを乗り継いでいくルートを探し出したことで、無事に枕崎まで3泊4日でゴールできることがわかりました。こうして別ルートを編み出すのはこの検証作業の醍醐味です。
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(トップ画像は「CraftMAP」さんの白地図を使わせていただいております)
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