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続•note創作大賞にむけて『真夏の絶望編』

7月。今年も室外機が溶けそうなほどの酷暑が猛威をふるっている。先月の時点ですでに真夏日を観測した地域に住む俺は、世界が音もなく崩壊してゆくのをただ傍観していた。劣化した新紙幣の発行、終わらぬ戦争、トランプにイヤリングの機会を与えた野田草履似の狙撃犯の凶行。

この世はすでに壊れたおもちゃで埋め尽くされている。俺もその歯車の一片にすぎない。

ジュースばかり飲んで育ったこどもは、味がしないからという理由で夏場でも水を飲めなくなっているという。そんな新世代を否定する気はない。俺も夏にそうめんをすする人々を理解できないからだ。(あれ栄養ゼロだろ

異常が続くと、やがてそれは通常となる。

KADOKAWAがサイバー攻撃で甚大な被害を受けているなか、むかし某横溝正史ミステリ賞に送った500枚の原稿のネタが流出しないかと要らぬ心配を働かせつつ、俺はふとキングダム全60巻を一気に読んだ真冬の1日を思い出した。容赦のない豪雪によってノイローゼとなった2年前の精神的外傷トラウマがぶり返してきそうだが、なぜ今になって?…

俺はこの文を高速道路上で生成している。

その前にまず、あの話題を展開しなければならない。
note創作大賞である。7月23日が締切となっている本賞、結論から言うと今回は見送りとなった。Xではつぶやいているが、不定期でやってくる腰の爆弾が7/5、風呂場で暴発してしまい(マジで死んだ)、大事な初夏の執筆期間を療養にあてるほかなくなった。

本腰を入れるの意味が違うだろ。
気づけばコイツ⬇︎より歳がいってしまっている自分、常に欠陥だらけのこの身体とだましだまし付き合ってきたが、今後のメンテナンスが思いやられる。

日比野カフカといい、少年マンガ界隈では30過ぎたらジジイのレッテルを貼られがちである。

ギックリ腰と前後して、愛車の故障も重なり、今夏は極端に行動を制限されてしまった。(パワーウィンドウの部品パーツ取り寄せの間、待ちぼうけを食らっている)
しかし何もしないわけにもいかない。
ガス抜きではないが、だれも期待していないことを承知のうえで、この記事はひとつ予定が進捗しなかったことを海容いただきたく書いている。

ところでだ
前回のアンソロ評記事でも多少ふれたが、読む前に注意書きのような記述(自分の場合、寄稿者のnote記事内のレビューで「爬虫類検索注意」の類の文言が置かれた)をするのは果たして物語を消費するうえで必要だろうか?
テレビでもニュース記事でもない、フィクションの世界にテンプレの注意喚起は興を削ぐ行為では?
だったら小説とか読むなよ。映画見るなよ。
『サンショウウオの四十九日』に結合児注意⚠️なんて言わねえだろ? 天然記念物につきノータッチ、とかなしな。
お行儀のよさこそが差別的になる場合だってある。
そしてその「お行儀の良さ」に世間はなびきがちだ。
俺はそれが耐えられない。
そこに文化はない。

直木・芥川賞の話題を引き合いにしといてあれだが、最近とにかく国内のあれこれにマンネリ気味である。

ので、腰が破綻してる間に海外文学を読んだ。

Make America Great Again…

ジョン・ダニングの代表作、古書シリーズである。
昨年物故したミステリ作家で、元刑事が営む古本屋に舞い込む謎から事件がはじまる『死の蔵書』が代表作だ。ミステリ史に残る名作と名高い本書、初読時の楽しさはいまでも鮮やかに思い出せる。粋なハードボイルド文体、力みのないワイズクラック、本好きをうならせる含蓄と本格ミステリの見事な融合体。
「なんかおもろい世界観、とにかくかっこいい」これが原初の体験だ。言葉で満たさなくても豊かだったあの時、俺は20代だった…!

このシリーズ、かねてより読もう読もうと思って、数年の月日が経っていた。

こんなつぶやきをしていた頃、まだダニングは存命だった(23年、5/23逝去)

小説は適度に長いものがいい。最近、X上で積読の記事が話題になっていたが、2000頁以上めくってたどり着いた『愛書家の死』に、こんなくだりがある。

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