#09(最終回) 鬱期と鬱ぬけと今とこれからと
退院してから
病識(自分が病気であることを認識すること)を持ったオレは絶望の中、また4年近く引きこもった。
月に一度の診察日以外は基本的に何もしない。普段大好きな入浴もしないし、髪もヒゲも伸び放題。家族以外誰にも会わないしね。
外出するのは数週間に1度、マンションの横のコンビニにタバコ買いに行くくらい。
タバコは辞められなかったものの、1日3本食後くらいしか吸わなかったし、就職して以降ほぼ毎日呑んでいた酒もほぼ口にしなかった。
たぶん最初の1年間くらいは娯楽的なものも一切受け付けなかった。
音楽や映像が大好物な自分が、人生でこんなにメディアに触れなかった期間はなかった。
回復の兆しから今
そんな何もしなかったオレが暇を感じ初めて最初に暇つぶしに選んだのはラジオだった。それも音楽ではなくトーク番組。
TBSラジオのJUNK『おぎやはぎのメガネびいき』『深夜の馬鹿力』『爆笑問題カーボーイ』とかMBSラジオの『アッパレやってま〜す』とか『オレたちゴチャまぜ』なんかの深夜バラエティをradikoなどで聴きまくってた。何故か音楽は聞けなかった。記憶が思い出されて辛かったような気がする。
その後2年くらいしてAmazonプライムで海外ドラマとかアニメが観れるようになった。
それから1年くらいでスマホゲームの『State of survival』→『三国志真戦』ってのに夢中になった。これらのソーシャルゲームで他のユーザーと同盟組んでコミュニケーション取りながら一緒に作戦立てて、時間合わせて勝ったり負けたり楽しんでる中で
「これ出来るならまた仕事したりできるんじゃね??」
と思い出したのが2022年8月頃。
親に頼んでずっと使っててボロボロになったスマホを機種変した後くらい。
その後SNSを再度動かしだして、またさんぽできるようになり、ご迷惑をおかけした方に謝罪メッセージを送ったり、SNSでおかえりと優しくいってくれた友人たちに会いに行ったり、知人のやるイベントに顔出したり出来るようになって少しずつ社会復帰を目指しているのが今。
精神疾患による引きこもりの身内を持つ周囲の方々にお願いしたい事は、「引きこもってるのに遊びやがって…」とか思ってしまうかもしれないけれど、本人にとってはそれが生きる為に必要な事なのかもしれないことを少しでも考えてあげて欲しいなと思います。
もちろん大金を課金とかしだしたら止める必要はあるかと思いますが、小遣いで収まる範疇ならば認めてあげて欲しいです。
ぬるま湯につかってるようにみえるかもしれませんが、本人はきっとそれを自覚した上で改善できないんです。苦しいんです。
人により違いはあれど、健康な人が思うより精神疾患の回復には時間がかかってしまうものなんだと思います。
当人が医療機関に通っているのであれば、ご家族が主治医に直接コンタクトを取って相談しながら共に治療するのも良い方法だと思います。
これからのこと
これからの事はオレにも家族にも主治医にも分かりません。ただ双極性障害は完治する病ではありません。
基本的には一生薬を飲みながら定期的に問診を受け、精神的な浮き沈みをみつつ、危険になったら処方内容を見直したり休憩したり、場合によっては入院して再起を待つなどしながら生きていくことになります。
いちばん怖いのはまた躁の状態で歯止めが効かなくなること。これを避けるために今回は予防的に処方を見直してもらい、通院の間隔を2週間に1回に増やしました。
今のところはひどい副作用も出ていませんし、躁状態であるとの診断も受けていません。本人としても躁では無いと思っていますが正直確信は持てません。躁状態だと酔っ払いが言う「酔ってない」状態である可能性は高いはずなので。これを避けるためにも第三者の意見は出来るだけ注意深く聞いて行こうと思っています。
社会復帰に向けてえいっ!と頑張りたいところではありますが、主治医から無理をするなとも言われており、そのバランスの狭間で多少のしんどさも抱えながらも何とか前向きに、自分の出来ることを少しづつ試しながら自立して生きていける術を身につけたいなと思いつつ日々出来るだけのんびりを心がけて暮らしています。
このマガジンを終えるにあたって
「誰が興味あんねん!?」と思いつつも初めたこの『オレの双極性障害体験記』もひとまずこれにて最終回となります。
SNS上で繋がった方やリアルな知り合いが結構読んでくださったようで、感想や励ましや質問などのリアクリョンも頂けてとても嬉しく思っています。
この連載は幕を閉じますが、何か長文を綴りたくなったらnoteはつかっていくつもりにしています。
最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました!
そして、こんな不出来なおじさんですが、出来ることならこれからもよろしくおねがいします┏○))
このテキストが少しでも誰かのお役に立てる事を祈って(-人-)
2022年12月3日
Hedgehog Magic 山下一樹
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