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国内のサブスク200サービスの料金表/プライシングのトレンドについて調べてみた

以前、米国のSaaS企業の料金表のトレンドについて考察したところ、ありがたいことに多くの方にコメント、SNSシェアをいただきました。本当にありがとうございます。料金表のトレンドを知っておくことは、自社の料金表を検討する際、非常に重要なことであると考えています。そこで、前回のSaaSに続き、今回はB2Cサブスクリプションサービスのトレンドをご紹介しようと思います。ぜひお付き合いください😊

調査対象

今回は、国内サービスで、資本金3億円以上、ARR(年間経常収益)2億円以上の1つ以上にに該当する企業200社に絞って調査を行いました。

主な領域は以下になります。

①飲食・レシピ提供サービス(外食等の食品・飲料提供や家庭におけるレシピ動画など定額サービス)【10社】
②デジタルコンテンツ(月額定額で利用できる音楽や書籍、映像サービス)【40社】
③見守りサービス(家族・高齢者の見守りや、ペットの見守りサービス)【5社】
④医療・専門家への相談等のヘルスケア・生活関連のサービス【11社】
⑤オンラインでレッスンを受けられる・教材を受講できるサービス【13社】
⑥衣料品・ファッション関連の定額レンタルサービス【12社】
⑦定期宅配サービス(定期購入システムのプラットフォームを利用して提供される食料品や飲料、化粧品類等定期販売を行っている、D2C企業など)【14社】
⑧マッチングアプリやお見合いの設定を定期的に行う紹介型マッチングサービス【14社】
⑨モビリティ関連サービス(シェアサイクリングの定額利用や地図情報などをナビを表示する定額サービス)【12社】
⑩電子版新聞や経済情報メディア【40社】の10分野としています。
*他にも不動産(定額の多拠点今日中サービス)、エンタメ関連(定額のライブチケット提供サービス)の企業なども含む

契約期間の状況

まず、契約期間についてです。

変更

今回調査した企業のうち、80%の企業では1ヶ月契約のみのプランが採用されているようです。自動更新にしている場合がほとんどですが、年間契約が少ないのはB2Cサービスならではの傾向と言えるでしょう。

逆に年契約のみのサービスは、サービス利用にはモノが必要で製造原価が大きくかかり、長期間契約されないと利益が出ない構造になっているビジネスにおいて採用されていました。アプリケーションなどの、いわゆるインターネットサービスにおいては1ヶ月契約が主流となるようです。
Ex)キリン ホームタップ

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料金プランの種類

料金プランの種類を見ていくと業界毎に傾向が別れました。そこで、料金プラン毎に考察していきます。

【単一プランが多い業界】 
飲食、オンラインレッスン、ナビ、音楽、書籍、動画、ヘルスケア、レシピ、医療、見守り、専門家相談、ニュースなど
Ex)ディズニープラス

【段階利用量プラン X 機能別プランが多い業界】
ファッション、不動産
Ex)ブリスタ

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機能(今回の場合は借りられる服の数)に加え、ポイントの購入で追加利用ができるサービスがこれに該当します。このモデルはサブスクリプションのストック収益に加え、購買意欲の高い層からより多くの収益を得ることができるモデルのため、工夫次第では大きな武器になります。ただし、あくまでも通常のプランにユーザーが満足していることが大切になります。

他にも、年齢によって価格を変えたり(主に音楽業界)、性別によって変えたり(主にマッチングアプリ)、Netflixのようにアカウント数で料金を変えたりと、支払い意欲が異なるセグメント毎にプランを分けたり、顧客が価値を感じてくれている変数に基づいて価格を変えたりする企業も散見されました。
Ex)AWA

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このように、顧客のWTP(支払い意欲)が異なるセグメントの特定や、WTPに影響を与える変数を私たちはプライスレバーと呼んでいますが、これを特定することがサブスクリプションのプライシングを考える上で、非常に重要になります。

オプション課金の有無

次に課金オプションの有無について調べてみました。最初に採用率について調べたところ、次のようになりました。

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驚くべきことは、91%の企業がオプションによる課金を採用していないことです。サブスクリプションビジネスは、価格体系がシンプルが故に、全ての顧客セグメントのニーズに対応できない場合が多いです。オプション課金は、多くのニーズに対応することができるかつ、客単価アップに繋がるため、多くの企業に検討の余地がありそうです。

Ex)AmazonPrime Video チャンネル内で月額499円支払うことで、1950~90年代の懐かしの特撮ヒーロー等の作品を視聴できる「マイ★ヒーロー」は、子ども向けのコンテンツを必要としており、そのためにはもっとお金を支払ってもいいと考えている顧客セグメントの単価アップに成功しました。これはオプション課金の好例と言えるでしょう。

一方、オプションを採用している9%の企業は新たな機能の追加による課金(以下、機能追加オプション)と、利用量による課金(以下、利用料追加オプション)の二種類となっていました。

利用量追加オプション

利用量追加オプションは、月額料金で決められた範囲内で利用し放題、範囲を超える分に対し、追加で課金が発生するオプションです。
Ex)港区自転車シェアリングの月額会員 延長料金

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ちなみに、利用量追加オプションはモビリティサービスやマッチングサービスなどの業界に採用されていました。

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機能追加オプション

機能追加オプションは、月額利用料に加え、追加で課金することで、他の会員が利用することができない機能を利用することが可能になるオプションです。アプリ内のアイテムが買えるポイントを購入する場合もこれに該当します。
Ex)Omiaiのポイント

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機能追加オプションはマッチングサービスなどで採用されているようです。

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ディスカウントの有無

最後に割引について調べて見ました。まずは採用率です。

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割引は全体の30%の企業が採用しているようです。

期間で割引を行う企業は95%

割引は14日間無料といったような一定期間で割引が適応されるものと、連携サービスの利用をすることで適応されるものの二種類あるようです。
Ex)連携サービスによる割引の例 ウェザーニュース

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ちなみに、ほとんどの場合において、一定期間での割引が採用されています。

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ちなみに、期間で割引を行う企業は、どのくらいの期間で採用しているのでしょうか。次は期間ごとの割引の比率について調べてみました。

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このように、割引を実施している企業のうち67%の企業が初月の割引を採用していました。最後に補足で、最初の2週間や2ヶ月など、初月以外の期間で割引を行う企業の割引日数の平均を出してみたところ、19.9日になりました。初月以外だと、2-3週間の割引が平均となるようです。

まとめ

今回は国内サブスクサービスの料金トレンドについて考察しました。実は、業界によって、面白い特徴もたくさんありました。今後は、そういった業界毎の特徴なども積極的に発信していきたいと思います(ぜひTwitterのフォローもお願いします)。

プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

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