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#逆噴射小説大賞2021
そしてハナズオウへ至る季節
その塊は、伊東にとって、最初の娘だった。
たしか、五歳と覚えてる。
大根田は塊を一瞥した。
花と蔓、蝋と蜜で飾られた、豪華な本か、人革の飾箱のようなそれを。
表に嵌めこまれた、まだ、ぴくぴくと動く心臓を。
嫌な顔をした。
伊東は気にも留めてない。
彼は恋人に語る口で、狭い部屋に澄んだ声を響かせる。
俺の出番はまだない。
「死んだら、灰になるだけだ。僕は彼女に意味をもたせた」
大根田は太く大
その塊は、伊東にとって、最初の娘だった。
たしか、五歳と覚えてる。
大根田は塊を一瞥した。
花と蔓、蝋と蜜で飾られた、豪華な本か、人革の飾箱のようなそれを。
表に嵌めこまれた、まだ、ぴくぴくと動く心臓を。
嫌な顔をした。
伊東は気にも留めてない。
彼は恋人に語る口で、狭い部屋に澄んだ声を響かせる。
俺の出番はまだない。
「死んだら、灰になるだけだ。僕は彼女に意味をもたせた」
大根田は太く大