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あの日、あの街で、彼女は。

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【2023.4.2〜日曜日に更新】 前職の営業時代エッセイを書いています (※マガジン画像は、都内某駅で撮影した夕暮れどきの写真)
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#営業時代エッセイ

あの日、あの街で、彼女は。〜プロローグ〜

東京、とうきょう、トーキョー、TOKYO 2017年の春、「東京」への憧れを4年ぶりに果たすことが…

あの日、あの街で、彼女は。〜横浜駅〜

師走の挨拶巡り、別れ際の言葉。 「年末もしくは年始のご挨拶に伺いたいのですが…」デスクの…

あの日、あの街で、彼女は。〜溜池山王駅〜

「あの日」の重なりに、馳せる思い。 "数字"に怯える月末最終日、8月31日17時10分。16時30分…

あの日、あの街で、彼女は。〜渋谷駅〜

変化と未完の街、渋谷。 就職活動以来、約1年ぶりの再訪だった。兵庫県の女子大に通っていた…

あの日、あの街で、彼女は。〜上野駅〜

一発逆転のチャンスの先に。 上野駅は上京する前から知っていた駅のひとつだ。幼少期に上野動…

あの日、あの街で、彼女は。〜大井町駅〜

尻拭いの行方と、梅雨のある日。 「前にも御社のAさんって人が訪問に来てくれたんだけど、な…

あの日、あの街で、彼女は。〜大塚駅〜

高低差、温度差、忘れられない一日。 山手線池袋駅の一駅隣の大塚駅、都電荒川線という路面電車が通る大塚駅前駅。初上陸は仮面浪人時代のこと。受験日の前日に上京し、大塚駅のビジネスホテルにチェックインする。受験会場の下見を終え、ロータリー沿いの本屋さんに立ち寄り、ロイヤルホストでハンバーグを食べた心細い夜。 寒さに手がかじかみ、満員電車で押し潰されてパンがぺちゃんこになった日。東京での大学生活を夢に見ていた日。 あの日から何年経っただろう。「過去に執着する自分」を遠ざけて、都

あの日、あの街で、彼女は。〜馬喰横山駅〜

営業人生はじまりの地。 ー2017年4月3日(月)入社式 鎖骨にかかる長さの髪を内巻きにして、…

あの日、あの街で、彼女は。〜下落合駅〜

目まぐるしい変化の狭間で。 「しもおちあい」耳馴染みのない駅だった。西武新宿線の3駅目、…

あの日、あの街で、彼女は。〜恵比寿駅〜

罪悪感に駆られた金曜日。 恵比寿駅は、彼女が通う美容院の最寄駅だ。上京してすぐの頃、お気…

あの日、あの街で、彼女は。〜浜松町駅〜

道、人、食べ物。思い出が凝縮された街。 お盆明け、照りつける太陽の下、産休育休に入る先輩…

あの日、あの街で、彼女は。〜自由が丘駅〜

おしゃれな街に再訪のとき。 「自由が丘」という言葉の響きがすでにおしゃれだと思うのは、彼…

あの日、あの街で、彼女は。〜九段下駅〜

曖昧な思い出に潜む、白いもの。 ドラマを観ながら、既視感の正体に気づく。言語化できないけ…

あの日、あの街で、彼女は。〜初台駅〜

ときには、記憶の輪郭をあやふやにしておいたほうがいいのかもしれない。 ハッキリくっきり鮮明に、表情や言葉やシチュエーションを覚えている。季節も相まって、映画や写真のように"画"として思い出せるできごとがある。思い出せるというより、強制的に記憶の引き出しを引っ張られているような感覚は、いわば、フラッシュバックだ。 京王新線の初台駅。新線新宿駅から一駅隣で、新国立劇場とオペラシティが直結している。改札をくぐり、向かい風に煽られながら地上に出ると、一気に視界が開け、広場が出現す