マガジンのカバー画像

Afsonalar

9
中央アジア・ロシアサッカーの読み物記事
運営しているクリエイター

#ロシア

空に消えた星たち — パフタコル1979

0. まえがき(本旨とは関係ありません)  私事で恐縮だが、初めてウズベキスタンサッカーに触れてから10年以上が経つ。  2つのぼんやりしたことだけが記憶に残っている。ひとつは会場がタシケントのパフタコル・マルカジー・スタジアムだったこと、もうひとつはワールドカップ予選のウズベキスタン対日本の試合だったこと。得体の知れない代表チームの荒削りな攻撃サッカーと、日本人に似た面立ちの選手に漠然と興味を持った。(しばらく後、その顔の持ち主はアスロル・アリクロフだと分かった。)  

ふたりのカルチャトーリ — ショムロドフとゼイトゥッラエフ

 2020年10月1日、驚きと喜びに満ちたニュースが飛び込んできた。ロシア1部ロストフ所属のウズベキスタン代表FW、エルドル・ショムロドフの移籍が決定した。移籍先はイタリア・セリエAの古豪ジェノアCFC。移籍金は合計900万ユーロの4年契約、以降の移籍で移籍金の15%をロストフが受け取れる条項付きだという。  彼はまだセリエAの試合には出場していないが、仮に出番が来ればウズベキスタン人選手としては15年ぶり2人目の快挙となる。ということは、すでに「先人」がいることになるのだ

新生ロシアが見た白昼夢 — アスマラルというサッカーチーム

 「アスマラル(Асмарал)」というロシアのサッカーチームを聞いたことがあるだろうか。  このモスクワに本拠地を置く一風変わった名前のチームは、1992年の新生ロシア1部リーグに突如姿を現した。ロシアのサッカーファンにさえ聞き馴染みのないこのチームは、予想だにしない躍進を遂げる。  暗く苛烈な時代の荒波を豪快に突き破り、陸離として光を放ち、破壊と混沌に満ちたロシアサッカー界に新時代の到来を高らかに告げたかと思えば、あっという間に波濤に呑まれ消えていったチームがかつてあった